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アメリカ覇権、今後のシナリオ 〜デフォルト構想〜

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写真はこちらからお借りしました [1]
前回、ドイツをモデルにしたアメリカの「北米地域共同体」戦略 [2]
において、途上国を新しい市場として取り込んだドイツとその成功をモデルに、
北米地域共同体(アメリカ・カナダ・メキシコ)を画策するアメリカの戦略を見てきました。
今回は、このアメリカの世界戦略に関して別の角度からも見てみたいと思います。
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“Electronic Jornal”の記事「覇権を維持する4つの方法 [3]」によれば、
世界を支配する権力=覇権には以下の4つがあると述べています。
1.「武力」
2.「通貨」
3.「知財」
4.「資源」

前回の投稿で触れた北米地域共同体の通貨(アメロ構想)は、主に「通貨」覇権に関するものでした。
今後、アメリカがどのような覇権構想を抱いているのかについて、いくつかを展開します。
2.「通貨」による覇権構想
北米地域共同体を模索するということは即ち、「多極化」ですが、もう少し分かり易く言えば、経済圏を国外から国内にシフトすることになります。すなわち、鎖国(ブロック)政策です。
このような新しい経済圏をつくる上で、邪魔になるのがこれまで膨大に積み上げてきた「借金」です。
そこでこれまでの借金をチャラにするデフォルト構想が出てきます。
デフォルトをすれば、当然、国と通貨の信用を著しく失うことになります。
しかし、これが鎖国政策の一環であれば、それば不可能ではないでしょう。
為替がガタガタ、他国との貿易が途絶えてしまっても、自国内(北米地域共同体内)で循環すれば経済を回すことが可能です。つまり、北米地域共同体は、デフォルトの布石とも取れます。
“Electronic Jornal”ではこれを以下のように説明しています。

アメリカはこれまでの国家運営という「ビジネス・モデル」について明らかな行き詰まりを見せている。(中略)そうである時、アメリカ勢が資本主義の大原則に則ってできることはただ一つ。「国外」という過去100年近くにわたって築き上げてきたビジネス・モデルが展開されたグラウンドを壊し、捨て去る一方で、一度打ち捨てたはずの「国内」という古くて新しいグラウンドで展開すべき新たなビジネス・モデルへと回帰することなのだ。原田武夫著 『計画破産国家/アメリカの罠』/講談社刊
オバマ大統領の役割は何でしょうか。それはデフォルト宣言をすることである——オバマ大統領の仕事はまさにこれであると原田氏はいうのです。「デフォルト宣言」といってもストレートに宣言するのではないのです。そんなことをしたら、世界中がパニックに陥ってしまうでしょう。新ドル紙幣——部分兌換紙幣を発行すると同時に金本位制に復帰し、巧妙かつ精緻にデフォルトを実施するのです。
>中略) しかし、そのさい大損害を被る大国として中国と日本がありますが、米国は中国には事前に手を打っておくでしょう。中国の損害分は全額負担する、と。しかし、おそらく日本は一顧だにされないはずです。どうしてそうなるのでしょうか。もし、中国に手を打たないでデフォルトなどをやったら戦争が避けられなくなりますが、日本とはそういうことには絶対にならないからです。日本は何でもいうことを聞くからです。

デフォルトによって戦争となりそうな国(中国)に注意を払い、何も起こらない国(日本)は無視する。
ここでは、1.「武力」覇権がデフォルト暴動を封じ込める【力】となっています。

>アメリカという国は状況次第でどんなことでもやりかねない。
ニクソン大統領の声明だけで、昨日までできたドルと金の交換をチャラにしてしまったことを思えば、この「アメロ」も単なる構想ではすまないのである。

覇権とは、相手を否応も無く強制的に従わせる権利であり、支配することができる。
つまり、ドル覇権が崩壊しても、アメリカにはまだ「武力」覇権が残っている。
さらに、次の覇権構想も着々とアメリカは狙っています。
そのあたりを次回紹介したいと思います。

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