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減価する貨幣を導入すればどうなる!?

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ゲゼルが明らかにしたお金の特徴は、
〜貨幣の問題性 シルビオ・ゲゼルより引用〜 [1]

お金の特徴① 価値が劣化しない・陳腐化しない=蓄財が可能
お金の特徴② いつでも・どこでも・何にでも交換可能=高い流動性

です。
ゲゼルは実際に、オーストリアの人口5,000名弱の小さな「ヴェルグル」という街で、実際に特徴①の機能を弱める「減価する貨幣」を導入しています。当時(1929年)、株式大暴落による世界大恐慌の影響をまともに受けた街を、短期間の内に失業者を減少させ、税収が増えるなど、見事な成果を残すに至りました。
それを見た風辺の200以上の都市が減価する貨幣の導入を検討し始めましたが、これは金貸しにとって不都合なシステムだったのでしょう。1933年にオーストリア中央銀行(金貸し)によって禁止されています。
周辺に広がる前に禁止してしまう金貸しの手際の良さが際立ちます。
しかし私達にとってみれば、金貸し支配からの脱却を考える上で、「減価する貨幣」の可能性を感じざるを得ません。
減価する貨幣が流通すれば、金貸しの力は弱体化していくものと考えられます。
そこで、現代社会で「減価する貨幣」を導入するとすれば、どういった可能性や問題点が挙げられるのか?
順を追って明らかにしていきたいと思います。
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減価する貨幣を導入するとなれば、金貸しは国際間を広く跨って活動するため、世界中の金融システムを変える必要があります。しかし現実的には、ある一国レベルで成功を収め、その先進的な成功事例をもとに周辺国家が真似をし、波及していくことが想像されます。
よって、まずは一国レベルでの問題点や可能性の発掘に焦点を置きたいと思います。
疑問1. 諸外国との貿易はどうなるのか?
ある一国の通貨が減価する貨幣の場合、為替はどうなるのか?という点が問題になります。
つまり、減価する貨幣との交換を前提にした取引など、成立しないのでは無いか?という問題です。
これについては、一案あります。
ここで、減価する貨幣を導入する国をA国、他方をB国と仮定して考えてみます
B国が、製品を輸出した場合に受け取る通貨がA国通貨(減価)であれば、前述通り受け取りを拒否するでしょう。A国通貨とB国通貨の直接的な交換は成立しないと思われます。
しかし、B国が減価しない他国通貨又はB国通貨で代金を受け取ることができれば、減価するデメリットを受けず、交換が成立すると考えられます。
ここでポイントになるのは、A国は常に原資となる外貨を稼ぎ続ける必要があるということです。それは、常に諸外国にとって魅力的な資源なり製品なり、認識群を世界に向けて供給し続けることができるか否かにかかってくることと同義です。
例えば、日本は世界中でも技術力の高さには定評がありますが、それも外貨獲得手段の大きな可能性です。
次に、輸入の原資になる貴重な外貨をそのまま企業に帰属させて良いのか?という問題があります。
結論から言えば、国家が管理する形が望ましいと思います。
より具体的に考えれば、A国内で国家と民間での交換レート(為替)を決めておき、外貨を獲得した企業は国家との為替取引によって、減価する貨幣に交換するという流れが考えられます。
交換レートは、他外国との為替取引が発生しない以上、通貨バスケット制を利用して自国内の基準を設ける形が良いでしょう。
上述のようなシステムで考えれば、減価する貨幣の導入があっても、貿易を継続していく可能性は大いにあります。
疑問2. お金の貸借はどうなるのか?
ゲゼルが導入した減価する貨幣では、1ヶ月に1%ずつ減価していくことが分かっています。
 この減価が金貸しの力を弱体化させる原動力になるのですが、一方で減価分をカバーするか、もしくはそれ以上の金利を付けて金の貸借が行われないか?という問題が考えれます。そうなれば、結局金貸しの力は温存されることになります。
日常生活においては減価する貨幣で十分生活ができそうなものですが、生活に直結する課題で且つ一時的に纏まったお金が必要なケース(住宅購入や病気等)はどう考えるか?
これについては、市場に乗せず(金貸しの手に委ねず)に国家管理とする形が望ましいのでしょうか?国家管理とする場合の出資金配分については、判断基準をどうするか?という問題が残ります。
疑問.3 消費を喚起することが国力に繋がるか?
減価する貨幣を導入すれば、一時的にモノとの交換が増えることは予想されます。
但し、1970年に貧困は消滅し物欲は衰弱し続ける一方であり、また昨今のデフレ現象が象徴的なように、大前提として生存圧力克服→物欲が衰弱している以上、また再びモノが売れなくなることは容易に想像が付きます。
ゲゼルの時代には、前提として生存圧力がかかっていたましたが、現代に当て嵌めれば必ずしも経済が復興するとは考え難い面があります。
お金の使い道が物欲を中心とする消費主体ではなく、市場に乗らなかったが、社会にとって必要な事業への応援料のような形で流通するシステムが構築できれば、可能性が開けそうです。
引き続き減価する貨幣の情報を探索し、順次記事にしていきたいと思います

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