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経済学って正しいの?12「政府紙幣(国家紙幣)でインフレはおきるか?」

皆様いつもブログ記事を見ていただいてありがとうございます。
今回は前回から紹介されている「政府紙幣(国家紙幣)」発行の影響について
詳しく調べてみたいと思います。
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ジンバブエ紙幣 この紙幣の山は100ドルの価値があります。
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前回のブログ記事で、「政府紙幣」の発行の可能性を提示させていただきましたが、
現在の日本銀行が発行するシステムと何が違うのでしょうか?
現在の紙幣発行の流れ
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路上で世直し なんで屋【関西】 [3]参照
政府は紙幣を発行するたびに、国債を発行し、銀行や日本銀行に利子を
払わなければなりません。

紙幣全てを政府紙幣にした場合
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路上で世直し なんで屋【関西】の図を変更しました。
政府は国債を発行しなくて良いので、国債利子分を国民に使えます。
さらに日本銀行自体が不必要になり、銀行も本来の事業である
国民の預金(お金)を必要な企業などに融資することに専念できます。

政府紙幣を発行するにあたり、インフレーションを懸念する意見が多く出ています。
それに関して、るいネットでの投稿記事がありますので、紹介いたします。

政府紙幣を発行してもハイパーインフレは起こらない!① [5]
政府紙幣発行に関する議論がこの間、非常に盛んである。
賛否両論というのが現状であるが、反対の根拠になっている論には、
冷静に考えると、疑問が生じるものが多いと感じている。
政府紙幣発行に対する反発の主な根拠は、政府紙幣を発行すると、
ハイパーインフレが起こる、というものである。
私の経験的には、大抵の場合、その根拠を問うと
「当たり前じゃないか」といった反応が返ってくる。
つまりは固定観念的にそうした論調が拡がっている、
というのが現状であろうと想う。
そこで、ハイパーインフレの可能性に関して、
参考になるいくつかの論文を紹介したい。
以下、日本経済再生政策提言フォーラム「カネがなければ刷りなさい」
(リンク)より引用します。(※1998年5月の論文なので、古い内容が含まれます。)
そもそも最も初歩的な教科書にも必ず書いてあることですが、
国家が財政収入を得る方法は三つあります。
一つは租税の徴収、もう一つは国債の発行、そして三つ目が通貨の発行です。
いまわが国は国家財政が破綻に瀕しており、
総需要への(したがって景気への)悪影響を考えると、
租税はこれ以上徴収できない、国債発行も限界まできているとなれば、
ラーナー教授が推奨しているように、通貨(政府紙幣)の発行でそれを賄うというのは、
極めてオーソドックスなことなのです。
■「政府紙幣」を財源に大規模な財政出動を行え
 いまの経済状況への処方箋としては、「政府紙幣」を発行し、
それを財源に大規模な財政出動を行え、というのがケインズ経済学の
最も基本的な教えであり、いま選択可能な有効な政策はこれしかないのです。
 日銀券のほかに新たに紙幣を刷るのは、まるで「贋金」づくりではないか、
というイメージを持つ人もいるでしょう。
しかし貨幣経済においては、すべての貨幣は本質的には贋金のようなものです。
南洋諸島では今世紀になってからも、石の円盤が貨幣として機能してきました。
またかつて徳川幕府は佐渡の金山から掘り出した「金」という金属
(これも石と同じで、本質的な価値を持つものではなく、
あくまで信用が付与されることで貨幣として成り立っています)を鋳造した
「政府通貨」を発行することを財源として、三百年にわたって財政を維持してきました。
何よりも、いまわれわれが日常的に使用している硬貨は
日銀が発行したものではなく、政府が発行した「政府通貨」です。
これらはすべて贋金ですか?

・現在流通している紙幣も日本銀行券ですから、
日本銀行が倒産すればただの紙切れです。
(かなりの極論ですが、存在としてはそうなります。)
歴史的にもお金は信用というあいまいなものでの裏付けしかありません。
日常的に硬貨と紙幣は同じなのですから、
政府紙幣を贋金と思うのは理論的ではありません。

■わが国には「真の財源」がある。
しかし大量に政府紙幣など発行したら、
それこそハイパー・インフレが発生して国民経済が破壊されるのではないかという
疑問を持つ人もいます。もちろんそんなことはありません。
 なぜならば、現在のわが国においては、この政府紙幣は経済全体の生産能力の余裕
−−いまそれはデフレ・ギャップという形で存在しています−−
という確固たる裏打(言うまでもなく、これこそがわが国の経済社会の「真の財源」です)
があって発行されるものだからです。
 いま日本では膨大な生産能力がムダになっています。
経済企画庁の国民所得部が行っている推計によると、
1970年、高度成長時代の末期と比較して、現在(引用者注:1998年)は、
企業の資本設備は約6倍半になっているのに対し、
実質総生産(実質GNPないしGDP)は2倍半、
鉱工業生産も2倍程度にしかなっていません。
これだけ見てもかなりの資本設備が遊休していることがわかります。
また労働力も同じで、失業率の上昇や就職難だけではなく、
残業時間の短縮、また社内失業というものも含めると、
相当な労働力が遊休状態になったままです。

・現在デフレスパイラルといわれ、供給>>>需要となっています。
なおかつ失業率の増大や残業時間の短縮などこの記事が投稿されたときから
もっとデフレキャップは増大していると考えられます。

■デフレ・ギャップが大きいときにハイパー・インフレは発生せず
 このようにマクロ的に需要が不足して実質生産が
生産能力を下回っているとき、その差をデフレ・ギャップと呼ぶわけで、
資本設備と労働力を総合した生産能力から見て、
いま日本では控えめに見ても、
GDPベースで30〜40%ものデフレ・ギャップが生じています。
つまり年間、200〜300兆円という巨額の潜在的なGDPが、
実現されないまま虚しく失われているのです。
(近年、経企庁はこのことを国民の目から秘匿し続けています)。
 これとは逆に、需要が生産能力を上回っているとき
(実質生産は生産能力を上回ることができませんから、この場合はモノ不足になります)
、その差を「インフレ・ギャップ」といい、
インフレ的な物価上昇(ディマンドプル・インフレ)を引き起こすことになります。
 このように生産能力の上限という「天井」よりも、需要が下回っているか、
それとも上回っているかで、デフレ・ギャップ、インフレ・ギャップが生じることがわかれば、
デフレ・ギャップが存在する間は、決してインフレ・ギャップは発生しないことがわかります。
 もちろんデフレ・ギャップが生じているのに物価上昇が起きることもあります。
たとえば74年〜80年の石油価格上昇期がそうでした。
これはOPECの独占力にものを言わせた力ずくの原油価格値上げという、
わが国の需給とは関係のない特別なコスト・アップ要因が、
不況にもかかわらず物価を押し上げました。
こういうケースを「スタグフレーション」といいますが、
現在(引用者注:1998年)、世界を見渡しても、OPECも力を失っていますし、
スタグフレーションを起こす要因は見当たりません。

・前述の通り、現在の方がデフレキャップが大きいのですから、
政府紙幣を発行しても物価上昇が起きるとは考えにくいです。
少し前の原油価格上昇の時も日本が大混乱した事実もありませんので、
スグタフレーションがおきる可能性も低いと思われます。

■毎年実質7%成長しても、10年間インフレ・ギャップは生ぜず
 年間でGDPの30〜40%という巨大なデフレ・ギャップを抱えている以上、
そして生産能力の上限という「天井」が、いまでも少しは上向き勾配である以上、
いま日本経済が急激に好転し、たとえば毎年実質7%といった高度成長に
入ったと仮定しても、10年くらいは、このデフレ・ギャップ状態は解消せず、
当然、その問はインフレ・ギャップは生じないという計算は、
経済学者ならずとも、誰でもできるはずです。

・現在の日本国民が収入として政府紙幣を手にしても、
簡単に需要が上がるとは思えません。
毎年7%の高度成長などは現在の日本では無理に近いので、
インフレはおきそうにありません。

前述の図で、現在の紙幣発行システムでは、国家は国債を発行し、
その利子を毎年支払っています。
そこで大きな疑問が生じます。
国債発行に伴なう利子としてのお金はどこに流れているのでしょうか?
言い換えると誰が国債を買い、0.3%くらい(現在)の利子を得ているのでしょう?

■日銀について①
日銀HPより基本データ [6]

資産 120兆円(内国債64億)
20年経常利益 4390億
税・経費等をのぞいた剰余金 3002億は国庫へ
給与総額 510億
社員 4766人
※想定平均収入1000万程度

るいネットより(リンク [7]

日本銀行の経営は、どうせ利益が出ても国家に納付するだけなので、
経営圧力がかからず、給与が高くなる構造にあります。
(注:株主配当については、日銀法で出資額の5%が上限に設定されており、
資本金1億円の5%=500万円なのでたかが知れています。)
さて、日銀は日本国債を100兆円近く保有しており、
利益の過半が国債の利子です。
つまり、利益=血税が日銀職員の給与に消えていき、
残った利益は日本政府に再吸収される仕組みとなっています。

・国債の利子は日銀の職員と日本政府に流れていく仕組みになっています。
 また、民営の銀行や保険会社も国債を購入していることから
その利子を得ていると考えられます。
・上記から国債発行=特権階級の利益となり、
政府紙幣を発行してしまうと利益がなくなってしまうので、
これまで政府紙幣を発行できないと言われていたのでしょう。

政府紙幣の発行は国の借金を減らす(無くす)可能性をもっていることは
提示しましたが、もちろん短所や実施するための壁も存在します。
政府が大暴走すれば、インフレーションが起きる。
・現在紙幣発行で利益を得ている人たち(組織)から妨害が考えられます。
アメリカではリンカーン大統領、ケネディ大統領は政府紙幣を発行したために
暗殺されたとも言われています。
「やられる、陰謀だ」と副大統領 ケネディ暗殺直後。 [8]
財務省によって発行された総額42億ドルの政府券は、
ケネディ暗殺後、速やかに回収されました。

マスコミも金融資本家の影響をうけていますので、
国家紙幣の弊害(インフレ)などを宣伝してくると考えられます。

・政府紙幣を発行するための法改正などが煩雑になる
しかし、そんなに難しいことではないので、何かの圧力がありできないと考えられます。
では、インフレを起きない程度にどんどん紙幣を発行し、借金をなくせばよいのでしょうか?
前回の記事でも提起しましたが、今のように国民が活力を得られないようなところに
お金をつかったところで意味がありません。
ましてや、特権階級や特定の企業のためにお金を使ったのでは、
逆に国の活力はさがるでしょう。
国家紙幣を発行する目的は
・紙幣発行によって、特権階級が国債の利子による利益を得られないようにする。
・国民にとって本当に必要なものや活動のためにお金を使う。

の二つであり、
今の経済システムを維持するためのばらまきの資金をつくるためではありません。
そのためには税金の使い方を私たちが真剣に考える必要があるのではないのでしょうか?

次回は「政府紙幣でインフレは起きない!2」で
政府紙幣の具体的な事例を提示してみたいと思います。
長い文章を読んでいただきありがとうございました。

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