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新政権予算、亀井語録の意図を読む。特別会計の埋蔵金に切り込め!

新政権発足以降3ヶ月、亀井金融担当大臣による予算関連の言動が世間を騒がせ注目を集めている。特に気になるのが裏付けとなる財源問題である。亀井大臣の発言に焦点をあてて、その意図を探ってみたい。 
 
  亀井静香公式サイトより引用

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アメリカ型グローバリズム・・弱肉強食の市場原理至上主義が横行・・・弱者が切り捨て・・深刻な格差社会・・・ 
 
辛いときこそ支えとなり万人に生きる喜びと希望を与えるのが国家の役割であり、政治家の務めです。 
アメリカに追従するだけでなく、同盟国として対等な立場に立ち自らの方法で世界の平和と安定のために貢献。

上記のサイト、特にその和歌に亀井大臣の政治理念や心情がよく表われているように思う。
財源問題解決の秘策が何処にあるのか国士亀井大臣の言動から追求してみます。 
 
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1.新政権が第2次補正予算案7.2兆円を決定 
 
①12月15日、3党協議を経て第2次補正予算案7.2兆円を閣議決定 
 
そこに至る新政権内の動き、特に注目すべきは亀井大臣の動向である。

亀井静香金融・郵政改革担当相は10月27日の閣議後会見で、2次補正を巡り「10兆円を超えるくらいやらないと。力強い内需を出していく。金はうなるほどある」と積極的な財政出動を促した。大幅な歳出拡大には民主党内に慎重論が強いが、亀井氏は「民主は分からず屋なところがある。我々の経済政策を丸のみしたらいい」とも述べ、特別会計の見直しや国債の追加発行で財源を手当てすべきだとした。
亀井氏「民主は分からず屋」 2次補正巡り [1]

経済対策の規模にこだわる亀井氏は、当初の政府案だった2.7兆円に反発。財政支出を8兆円まで積み増すよう求めていた。4日には7.1兆円まで膨らんだが、要求に届かないことを知るや、予定されていた与党党首級による基本政策閣僚委員会を欠席。最終的には、国民新党の要求を一部受け入れて総額を1000億円増額することで、調整は決着した。
重要政策、社・国の言いなり=民主内は不満うっ積 [2]

②7.2兆円の中身。中小企業金融モラトリアムと地方交付税の増額を果たす 
 
7.2兆円の中身を簡単に見てみます。 
 
☆雇 用/6,140億円(緊急対応2,640、成長への布石3,500億円)
☆環 境/7,768億年(エコ消費5,945億円、成長への布石1,822億円)
☆景 気/1兆5742億円(金融対策1兆1742億円、住宅投資4,000億円)
☆生活の安心確保/7,849億円(医療保険及び生活保護関係)
☆地方支援/3兆4515億円(交付税減少補填2兆9515億円、上乗交付金5,000億円) 
 
金融対策の中に、<「景気対応緊急保証」の創設等8,681億円>が計上されている。これは、中小企業の金融モラトリアム関係の金額である。 
 
地方支援では、国税(所得税・たばこ税等)の減収に伴い、国から地方に回る「地方交付税」が減少してしまうので、その全額補填を行った(2兆9515億円)。
その上に、<地方公共団体によるきめ細かなインフラ整備等を支援する交付金5,000億円>が計上された。 
 
中小企業と地方の疲弊を実感している亀井大臣の主張が貫徹されたのである。 
 
財務省サイトに概要が出てきます。
平成21年度補正予算(第2号) [3] 
 
2.亀井大臣の社会経済観と予算スタンス・・・亀井語録 
 
まずは、大臣就任の記者会見 [4]

★市場原理至上主義というか、利益を得るためには、金をもうけるためには何をやったってもいいんだという倫理観、そういうものの中で、(一部略) 自分たちは利益さえ上げればいいのだ、と小泉さんがそういうことを奨励したという面もある。それに乗ってしまって、自分たちの社会的責任というものを考えないということを、銀行から何から、やり出してしまったと。そういう状況が、もっと自公政権が続いていった場合には、本当に日本経済は大変な状況になるし、国民の相当数というのは、本当に大変なことに、私はなっていくだろうと思っていました。 
 
★鳩山政権が生まれたのは、ある意味では私は神の手が動いたと、アメリカでは神の手が動いてオバマ政権が生まれたけれども、日本では神の手が動いて鳩山政権が生まれたと、私はこのように思います。

以下は、誰でも参加できる『第2記者会見』から。

★話がまた余談になるけれども、小泉・竹中改革によって、利益を得るためには何をやったっていいと、大企業まで、利益を得る道具だというやり方をしてきてしまっているのです。だからそれを変えないと、幾ら鳩山政権が仕事をどんどん出すことをやったって、中小・零細企業が儲からない。ただの働き蜂。それをやはり変えなければ駄目なのです。 
 
★これも昔から、日本の場合は、下請、孫請け、みんなが儲かるようにしながら、自分たちも儲けるというのがかつての大企業だったと。それが小泉時代から変わったわけです。錦の御旗をいただいて。だから、新政権になったら、そういう弱肉強食の経営はやめてくださいと。大企業の皆さん方もみんなで幸せになるような経営をやろうではありませんかと。 
 
★私に共鳴してくれている方はたくさんいますよ。東レの前田勝之助さんなんていうのはそうですよ。だから、財界、経団連の中ではむしろ意見が合わない。あそこなんかパートなんかつくらない、正社員でしょう。解雇しない。そういうやり方でもちゃんと業績を伸ばしているのです。下請も大事ですよ、ということで。これは昔の経営者はそうだったのですが、土光(元経団連会長)さんの時代の後に変わってしまった。

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   動画中継もされる第2記者会見(PJニュースから借用)

★私は30年いるけれども、マスコミは従来、縮小予算を組んだら拍手喝采しますよ。どの予算も、今まで見ていると全部そうです。積極予算は、そんなにマスコミに拍手喝采されないですね。これは、大蔵省にコントロールされているのです。 
 
★「入るをもって出ずるを制する」、総量予算、財政赤字を少しでもつくらないという予算をつくれば良い予算だと。その結果、日本の将来がおかしくなったって関係ない。 
 
★主計局長は任期が1年だから。財務当局は中・長期で見ていないのです。私は、ずっと長い付き合いだけれども、(彼らは)別に優秀なアナリストでもなければ何でもないのです。財務省の役人は、ある意味では「切り屋」なのです。財務省には、未来をつくるという力がないのです。 
 
★それは、内需が順調にどんどん出ているときはそれで良いのだけれども、そうではないときには、私は別にケインジアンでも何でもないけれども、国の役割ということをやはり無視してはいけないときに、「入るをもって出ずるを制する」、そんなことをやったら景気が悪くなる。 
 
★今のマスコミというのは、これは財研(記者クラブ)がそうです、本当に。私は記者会見でも言っています。財研はそれ(財務省)にコントロールされています。大本営発表のあれにコントロールされて、そういう感覚でしか予算を見ないし、経済を語れないのです。 
 
★それを国民が見て、それで自分たちを不幸な方向に連れていっている予算であっても、拍手喝采してしまうのですね。そういうことから抜け出さなければ駄目です。

亀井大臣の発言は、『第2記者会見』をみるのが良いです。 
 
最後に、補正予算を巡っての脱官僚(脱財務省)の発言です。

★財源をどうやって作るかについては、前から総理にも言っているが、特別会計に思い切って切り込んでいくべきだ。20兆、30兆はすぐ出る。今の特別会計は役人が抱え込んで、彼らの小遣いになっている。ただ、各省の大臣にやれといってもダメだから、仙谷(行政刷新担当相)あたりにやらせろと言っている。 
 
★たとえば『環境国債』という名前で、利子のない国債を発行する工夫もしたらいいんじゃないかと思う。
亀井金融相「特別会計に切り込むべきだ」 財源「20兆、30兆はすぐ出る」 [5] 
 
★10兆円を超えるくらいやらないと。力強い内需を出していく。金はうなるほどある。民主は分からず屋なところがある。我々の経済政策を丸のみしたらいい。 
 
★95兆円を下回るような縮小緊縮予算を組んだら、経済に大変な影響を与える。財源は後からついてくる。税収が37兆円を切ろうかという状況の中で、国債を出すのは当たり前の話だ。財務省がろう固に守ってきた(財政規律の)壁を国民新党が削岩機となってぶち開ける。

亀井大臣の発言を拾ってきましたが、やはり気になるのは「財源はいくらでもある」という発言です。亀井大臣の隠された意図、その戦略と勝算は何処にあるのでしょうか。 
 
 
3.特別会計の余剰金28兆円、積立金203兆円を使え 
 
亀井大臣の切り込むといっているのは、国の特別会計です。 
 
平成18年度段階で、31の特別会計があります。(予算規模で約500兆円、但し、国債整理基金や財政融資資金等の借換分を除くと200兆円規模でしょう。)
この特別会計は、毎年度多額の余剰金を計上しています。(余剰金=歳入額−歳出額) 
そして、余剰金は、各特別会計に積立金として保留されています。
財務省は、これらの特別会計について、正確な実態を公開していません。断片的な資料から、余剰金と積立金を見てみます。 
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気になる特別会計の平成18年度余剰金及び18年度末積立金、20年度余剰金は表の通りです。 
 
例えば、労働保険特別会計は、毎年1兆円〜2兆円の余剰金を出し、12兆円超の積立金を抱えています。
労働保険特別会計は、雇用保険や労災保険ですが、毎年大幅な黒字を出している。つまり、雇用保険や労災保険の保険料が高すぎるという事です。
労働保険特別会計は、保険料の値下げ(減税)を行う余裕があります。また、積立金は、一般会計に拠出することもできます。例えば4兆円なら3年間継続して拠出できますね。 
 
外国為替資金特別会計は、3兆円以上の余剰金を出し、17兆円の積立金を抱えています。この会計は、約100兆円の外貨(主に米国債)をもち、その金利収入が4兆円近くあります。100兆円は、3ヶ月の短期政府証券で調達していますので、支払金利は数千億円で済みます。だから、差額の3兆円以上が余剰金です。 
この会計からも、毎年5兆円規模の拠出が可能でしょう。 
 
国債整理基金や財政投融資は、複雑な仕掛けをもった特別会計なので、余剰金や積立会計からどれだけが拠出できるかは正確にはわかりません。 
 
亀井大臣は、これらの『特別会計』に切り込めば、財源は10兆円、20兆円規模で出てくるとみているのですね。 
 
 
次回は、平成22年度予算案が具体的にでてくる時期に、新政権が『特別会計』へどこまで切り込んで行くのか扱ってみます。 
 

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