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宇宙船地球号パイロットのマニフェスト(6)                 地域通貨「アトム」から国際準備通貨「UNI」への出世街道

子供のころ夢中で読んだ雑誌に「少年」という月刊誌があり、かの手塚治虫の「鉄腕アトム」が連載されていました。それを読むのが楽しみで、毎月発売日を前にして、そわそわしていたのを記憶しています。そう。人類の全面的崩壊を救うには、わが「鉄腕アトム」の力を借りなくてはなりません。
いずれ国際準備通貨「UNI」になる「アトム」は、第2次世界大戦において、ドイツの爆撃機を撃墜する任務に着いた洋上要塞の跡、「シーランド」を生地として誕生することになります。何かと話題に事欠かないシーランドですが、後世この地球上の一点が、サスティナブルな人類共同体の存続を可能にした特異点であったということが、伝説となるに違いありません。
ということで、6回目をお届けしますが、例によって今後の進捗を一覧にしておきます。バックナンバーについては、リンクになっています。
 1.「石油・ドル本位制」に代わる世界システムをつくる [1]
 2.石油に代わる代替エネルギー資源としてのトリウム [2]
 3.人類が必要とする8万kWe、84万基のトリウム原子炉 [3]
 4.トリウム原発によるBOP優先の安価な電力供給計画」 [4]
 5.トリウム・エネルギーが生むポスト・ドルの準備通貨「UNI」 [5]
 6.地域通貨「アトム」から国際準備通貨「UNI」への出世街道(本稿)

 7.「見えざるカミの手」による布石か? シーランド要塞跡
 8.金融崩壊の今こそ、金融再生を担う新しい人材が必要
 9.工程表に従い、エンジニアリング企業とシーランドを確保
10.2050年の人口を基に策定したマーケティング・エリア
11.総額1680兆円の建設費を要するトリウム・エネルギー
12.トリフィン・ジレンマのない「アトム」だから「UNI」に出世できる
13.ケース・スタディとしての「朝鮮半島エリア」(上)
14.ケース・スタディとしての「朝鮮半島エリア」(下)

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ありがとうございます。
シーランド公国のシニョリッジ特権によって創設する新通貨「アトム」
いずれにしても、通貨の発行のためには、まずなんらかのシニョリッジ(通貨発行)特権ありきであって、この特権を手に入れなければ、一切何事も始まりません。今の時代に、現実的にシニョリッジ特権を手に入れようとすれば、「シーランド公国」の統治権を買収することくらいしか、方法は存在しないでしょう。
シーランド公国は英国のフェリックストウという街から東南東10キロの洋上にある、英国の主権が及ばない要塞跡を、1967年9月2日、元英国軍人のロイ・ベーツ氏が領土として独立を宣言した自称「国家」です(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%BC%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%89%E5%85%AC%E5%9B%BD [6])。国として認められる十分条件を満たしているかどうかはともかく、今のところは、英国をはじめあらゆる国の主権が及んでいないという必要条件さえ満たしていれば、それだけで十分です。
フェリックストウから東南東10キロの洋上といえば、たまたま「東京湾アクアライン」の川崎から東南東10キロの東京湾上にあるのが「海ほたる」ですから、フェリックストウとシーランドの関係は、実にアクアラインの川崎側と海ほたるの関係に相当することになります。
もっとも世界最小の「国家」とされるシーランドは、幅10メートル、長さ33メートル、国土面積0.00033平方キロメートル、テニスコート一面にも満たない洋上要塞跡ですので、海ほたると比べても、はるかにはるかに小さな超マイクロ「国家」ということになります。そしてなんとこの「シーランド公国」の統治権が、実は売りに出されているのです。
私はこのシーランド公国の統治権を手に入れることによって、とりあえずトリウム・エネルギー産業とリンクした新しいローカル・カレンシーである「アトム」を創設し、21世紀最大の基幹産業となる必然性をもつこのエネルギー産業の拡大にリンクしつつ発行、流通圏を拡大し、しかるべきタイミングでこれを、国連機関による管理下に移行させることによって、確実に「UNI」に転換していく可能性が拓けるのではないかと考え、その道筋を検証し、追及しています。
基軸通貨になれる通貨の二大特性は、実体経済の存在と資本輸出力
「人」の「夢」と書けば「儚い」という言葉になりますが、はたしてこの道筋もまた、「儚い夢」に終わる夢想なのでしょうか? いったい基軸通貨になれる通貨とは、どのような特性を備えていなければならないのでしょうか。
一つは、その通貨をサポートする強力な実体経済が存在することです。この点で、「アトム」はまさに適格です。シーランドで創設される新しい通貨「アトム」は、トリウム・エネルギー産業という、21世紀最大規模の基幹産業に支えられているからです。
もう一つの条件は、強い資本輸出力をもっていることです。シーランドには、せいぜい数万kWeの電力(下記)を生産して輸出する以外に、貿易収支がほとんどない一方で、グローバルな規模でのトリウム・エネルギー産業に「アトム」を供給していく抜群の資本輸出力をもつことになります。

New_currency_ATOM.jpg
新通貨「アトム」の創設

上記二つの条件が相俟っていることから、「アトム」には、少なくとも基軸通貨のワンノブゼムとしての地位を実力で獲得していく可能性が大いに備わっているのです。その際、石油の取引が「ドル」との排他的・独占的交換性の上でなされてきたように、私たちが手掛けるトリウム・エネルギー産業についても、一定期間は「アトム」との排他的・独占的交換性を強制する政策をとることが可能です。これも一つの「ビジネス」だからです。
「アトム」は地球の平和に貢献しつつ、国際準備銀行の管轄化で「UNI」になる
「アトム」はシーランドのローカル・カレンシーですから、他通貨との間の交換レートは、FX市場に任せることなく、任意に、かつ恣意的に決めることができます。核拡散を政策とする国の通貨との交換は行わない、あるいは高い交換レートを設定するなど、核や軍備の廃棄に向かわせるインセンティブを意図的に利かせた通貨政策を、トリウム・エネルギーを人質にとった形で実践することができるのです。「アトム」はまさに、「鉄腕アトム」よろしく、地球の平和実現に向かう強制力として機能することができます。
国連スティグリッツ報告の第5章39項は、平和実現とは別の観点からですが、この任意で恣意的な「アトム」の割り当てについて示唆を与える、次のような内容になっています(訳文は、森史朗氏の「和泉通信ブログ」http://izumi-tsushin.cocolog-nifty.com/blog/2009/10/post-d8f7.html [7]による)。

39.割り当ての仕事はその中にインセンティブと/或いはペナルティ(大きな黒字を維持することをやめさせるため)を内包させることができるし、内包させるべきである。過大な輸出超過を維持している国はすべての或いは一部の外貨割り当てを失うことにするのである。もし割り当てが世界の需要を増すために適切な時期に使われないのであるならばである。

「アトム」から「UNI」への移行については、さらに第5章33項を見ていただきます。

33.発行業務については大きく意見が分かれる。国際準備通貨制度の経営責任はIMFに与えることもできる。IMFは現在のところは唯一の準備通貨、特別引出権(SDR)のみを発行しているが、そこにシステムを起ち上げることもできる。しかしシステムは例えば「国際準備銀行」といった新しい機関に与えることもできる。もし我々が現行の機関を利用するとしても、これらの機関に必要な改革がなされることが条件となる。

シーランドにおいて十分にインキュベートされた後、このような「国際準備銀行」のような新しい機関(それが改革されたIMFであれ、)が整った時点で、「アトム」はこの新しい機関の管理下に移管され、一ローカル・カレンシーから、単一の超国家的国際準備通貨「UNI」に孵化されていけばいいのです。
(7)「見えざるカミの手」による布石か? シーランド要塞跡 [8] につづく)

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