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『商品市場の背後に性市場あり』 最終編 ・・・ 市場の歴史とその本質

 
本シリーズで、①市場の真の支配者は『性権力者』であり、②近代思想は性権力を正当化する詐欺的思想であること、③自由な性市場の拡大を背景に資本階級が冨を集積してきたこと、④彼らの元で生産階級(われわれ)はあたかも主人公であるかのように思い込まされ、盲目的に市場の住人・市場の囚人と化したこと、を明らかにしてきました。
 
一般には語られたことの無い内容ですので、図解にしてまとめて見ましょう。
 
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以上は、商品市場の基本構造を示すものですが、実際の市場拡大の歴史、すなわち性市場(性権力)の拡大の歴史はどうだったのか、今までの総まとめを兼ねて市場の歴史を振り返っておきましょう。真の文明の歴史は、市場構造(≒性を背景とした欠乏の歴史)を読み解くことで明らかになっていくと思います。
 
 
 
市場に着目して長い歴史の幹をお浚いする一助として、昨年12月29日の「なんでや劇場〜学者・官僚・マスコミは骨の髄まで金貸しの手先である〜」なんでや劇場レポート① [1] なんでや劇場レポート② [2] を引用しながら要点をまとめます。先のなんでや劇場では、今の官僚や検察の暴走構造にも触れながら、市場が国家を超えて人々を市場の囚人に戒めてきた歴史とその構造を展開していますので、そのレポート全文も是非御一読下さい。
 
では、古代から近代の市場の歴史を(駆け足になりますが)みてみましょう。
 
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古代市場
 

古代市場は「略奪」そして宮廷サロンにおける性市場に発生する性幻想をテコにした幻想価値の捏造(騙し)にもとづく商品市場により発達した。しかし国家に寄生して始まった古代市場の規模は国家規模の枠内にとどまっていたし、性市場も家父長権の下で、その肥大化には歯止めがかかっていた。

 
身分序列の強い古代市場では、性権力にも歯止めがかかっており、商品市場拡大の要因の1つである「商品の幻想価値化」も宮廷サロンという小さな(しかし金額は大きい)市場でしか無かったのですね。ちなみに、大衆の生活必需品は価値の幻想化(≒実質価値以上の値付け)ができませんし、そもそも大衆は非常に貧しかったので、大衆を巻き込んだ市場の拡大には限界があります。
 
 
十字軍という持続的略奪を契機に市場拡大へ
 

ルネッサンス運動の拠点となったベネチアの金融力の興隆は、十字軍以前にまで遡る。つまり、十字軍遠征の時代200年を通じて、ベネチアは持続的成長を続けたのだが、このような長期にわたる成長は、他の古代市場では起こり得なかったことである。この古代市場で実現しなかった市場の持続的拡大は何故、ベネチアをはじめとする近世欧州において起こったのだろうか?
 
その背景には、国家を超えた普遍宗教としてのキリスト教が教団としてのネットワークを形成していたことが大きい。もともとキリスト教自体に騙し的要素が内在されているが、この国家権力を超えた教会権力をうまく利用して(騙して)、教会ネットワークを金貸しネットワークへと変換させたことが、欧州商品市場が国家の枠組みを超えて特殊な長期にわたる繁栄を実現させた原動力である。しかも欧州はイスラムの富を略奪しただけではなく、欧州内での騙しあい、奪い合いも激化させ、欧州全域に「騙せば官軍」というムードが確立していき、多くの貴族や騎士に商人的(投機的)体質が形成されていった。

 
古代市場が国家に付随した宮廷サロンという小さな場に限定されていたのですが、あの「十字軍遠征」によって貴族や商人が市場の主人公となっていく契機となりました。元手の掛からない「略奪」を原資としていることから、市場も冨も急激に拡大し、商人や貴族らもその旨みに酔いしれていたであろうことは容易に想像できます。
 
市場の歴史を見ていく上で重要なのは、十字軍は始めて経験する『持続的な拡大』だったということです。今までの小さな市場が拡大するためには、多くの商人や貴族に市場の旨みを染みこませながら、より幻想的な市場のあり方を醸成させる必要性があったと云えるでしょう。実は現在の投機的な市場の原点もここに見て取れるのです。一定の持続的な成長によって、商品市場の基礎がここにできあがります。
 
しかし、それだけではまだ市場にとっては不十分でした。なぜならば、大多数の性権力、すなわち多くの女性達はいまだに身分制度や家父長権というタガを嵌められていたからです。そのタガが外され、市場が大衆を巻き込んで社会全体(いずれは世界中)に拡大していく歴史の転換点が、あの『ルネッサンス(人間主義)』なのです。
 
なお、ルネッサンスという大転換が可能となった背景には、それまで絶対的権力であった国家(国王)や宗教(教皇)らの権威失墜があります。そしてその決定的な契機が「十字軍」であり、十字軍によって開放された市場を牛耳る商人や貴族の台頭です。金貸しの源流もここにあり、騙した者勝ちという市場の価値観もここに深く内在していることが理解できます。
 
 
中世ヨーロッパ 

しかし、近世になると性市場は都市全体に広がっていき、それを契機に商品市場は国家の枠を超えて拡大していった。決定的だったのは、ルネッサンス時代、人間主義(ヒューマニズム)という名の下で自我・私権・恋愛・自由の追求が是とされたことである。
 
古代において、私権闘争は序列原理=身分制度によって箍がはめられており、暴走できないようになっていたが、ヒューマニズムは、自由、恋愛など自我・私権の追求を正当化し、序列原理を解体していく。そして、無制限な自我・私権の追求を是とする人々の意識潮流が形成されていったことで、国家権力も、市場主義を是とするしかなくなっていった。

 
さあ、「自由」「恋愛」「ヒューマニズム」といった近代思想の登場です。近代思想は、それまでの宗教や封建的身分社会のアンチとして、個人を原点とした人間主義を打ち出しました。それを望んでいたのは今まで抑圧されてきた性権力者達であり、市場拡大を目論む商人(金貸し)達であったことは明らかです。
 
当時の商人や貴族にとっては、国王や教皇が市場拡大=彼らの冨の拡大の障壁となっていましたから、大衆を利用して封建的社会を打倒し、一気に市場拡大の突破口を開くことに成功したのがルネッサンスだったと云えます。実際に、近代思想を生み出した学者や思想家達の多くが商人や貴族をパトロンとしていましたし、潜在的な大衆の欠乏を満足させる観念が力を持つ時代だったのでしょう。
 
「個人が原点」。その思想には、十字軍以来の商人気質となっている「騙した者勝ち」「他人は敵」「自分が全て」が内在していることも見逃せません。欲望は隠そうとしても隠しきれないものなのでしょうが、巻き込まれた大衆の悲劇は(今思えば)はかり知れないものがあります。この先、更なる略奪と殺戮の時代に突入します。
 
 
大航海時代
 

更にこの200年間で蓄積された原資を活用して、欧州はアジア・アメリカといった世界中に略奪範囲を拡大させ、またしても騙しの市場拡大を成功させる。こうして、「騙せば官軍」という欧州に特殊的な価値観を起点とした近代市場は、ついに世界中の国家権力を凌駕するまでに拡大していったのである。

 
大航海時代を改めて解説する必要はないでしょうが、彼らは欧州を飛び出して北米〜南米、インド〜中国へと略奪を拡大し、莫大な冨を蓄えます。侵略の経過では原住民を殺戮し、ある時は奴隷化し、宗教と近代思想を植え付け、彼ら自身を市場の囚人へと導いて行くのです・・・
 
それが市場拡大の本質であり、近代思想の本質だといえるでしょう。
 
この時代以降、明らかに市場は国家を超えて拡大していきます。そして市場を支配者するものが、国家も動かし、大衆を扇動・洗脳する時代(すなわち、現在)に突き進みます。
 
 
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<終わり>

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