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「市場の原理(価格格差の秘密)」−4〜格差拡大のメカニズム〜

前回は、十字軍遠征、大航海時代以降、産業革命を経て、市場はどのように拡大していたのか?について調べました。(リンク [1]
その中で「産業革命」と言う時代を学校で学ぶ一般的な捉え方として
『産業革命による機械化、大量生産が資本主義社会を成立、発展させた』としているが
本当にそうだろうか?と追求しています。
今回も同様に「大航海」→「産業革命」→「資本主義社会」の真相に迫ってみたいと思います。
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前回の中で「産業革命」と言う時代の一般的な捉え方を「中学校の歴史ノート」から
工場制手工業から工場制機械工業への変化の時代として捉え、
・綿織物工業等の発達によって、工業製品の大量生産が可能となった。
・資本家と労働者、二つの階級の区別が顕著となり、労働問題が発生した。
・生産の高まりから市場や原料供給地を海外へ求め、植民地の拡大を促した。
としています。 もっと深い捉え方として『るいネット』の秀作投稿から
幻想共認⇒格差拡大のメカニズム(リンク [2])を紹介します。

先日のなんでや劇場で、幻想共認のもたらすメカニズムについて改めて気づきがあった。それは「幻想価値自体の原資としての力」だ。
ある“磨くと少しだけ光る石ころ”に「百万円の価値がある」という幻想共認を成立させたとする。その幻想価値は古代商人たちが支配者層から、彼らの持つ富の一部を掠め取るための道具となった。これ自体インチキ手品のようなものだが、実はそれだけではない。
新しい幻想価値を手に入れた者は、同じ価値体系を共有する他の人間に、“より多くの労働をさせる力(原資)”を手に入れたことになる。それは必然的に力も幻想を捏造する術も持たない者、例えば具体的には農民や職工たちに向かっていく。農民や職工たちも、その価値を共認した以上、自分たちの労働との交換に応じるほかない。すると、幻想価値はその原資が増えた分だけ、同じ社会の中での私権格差を拡げるテコになっていく。
つまり、幻想共認に基づく価格格差の成立とは、「支配者の富を掠め取る」抜け道のメカニズムであると同時に、「市場社会の下層の者をこき使う」格差拡大のメカニズムでもある、ということだ。
しかし、古代国家の枠内、あるいは中世の域内交易の枠内では、その幻想価値の力には限界があって、域内での人口の増加分と、その人口の中で可能な生産性の上昇分までしか、幻想価値のテコは機能しない。従って、拡大の限界が訪れれば、或いはよりうまみを得ようとすれば、ある段階で自分たちの市場世界に新たな住人と新たな原資を取り込まなければならない。それが、15世紀に起こった大航海時代=植民地時代である。
 

 
10〜14世紀、中世の市場は封建制度の領主配下における地域内流通=域内交易が中心だったが、十字軍遠征による東西流通の発達は、市場の目を文字通り世界に向けさせることになる。そして流通の発達は綿・絹織物や香辛料の値段を下げていくことになる。
14世紀、十字軍遠征の終了と、封建領主の衰退→中央集権化の流れは、統合安定化・秩序安定化をもたらし、200年来の「平和状態」を生み出した。(ルネサンス)
このような状況下で、支配者層(文化人・学者の類も含む)は解脱収束(=性収束)を強めて行き、遅れて庶民にも解脱収束(=性収束)が浸透(共認)していくのである。
農民や職工たちも、その価値を共認した以上、自分たちの労働との交換に応じるほかない。つまり綿や絹織物、香辛料のために働かざる負えなくなる。
こうして人々の意識・技術・市場のターゲットが見事に一致し、大洋の外に市場拡大を図る大航海時代がスタートする。ルネッサンス→大航海時代を経て、ヨーロッパの市場構造は、「域内交易」から「侵略交易」へと大きく転換していくのである。
大航海による市場の拡大とは、文字通り侵略による市場拡大に他ならない。
植民地から資源や労働力を搾取し、幻想共認させることで下層の者をこき使う市場社会を作っていったと言える。
つまり、幻想共認に基づく価格格差の成立とは、「支配者の富を掠め取る」抜け道のメカニズムであると同時に、「市場社会の下層の者をこき使う」格差拡大のメカニズムでもある、ということだ。
  
 
 

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