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CO2排出権市場ってどうなっている?7〜CO2本位制による新しい序列社会の登場〜

IPCC.bmp
「CO2排出権市場ってどうなってる?」シリーズの7回目、いよいよ最後です。
「CO2排出権市場ってどうなってる?」シリーズバックナンバー
1.プロローグ [1]
2.排出権取引の仕組み [2]
3.排出権には種類がある [3]
4.排出権市場をリードするEUの試み [4]
5.EUに追従しようとする日本の排出権市場 [5]
6.東京都の取り組み [6]
7.CO2本位制による新しい序列社会の登場(今回)
このシリーズ最後となる今回は、CO2排出権市場がもたらす社会への影響について考えてみたいと思います。
応援よろしくお願いします 😀


①『地球温暖化』という危機を煽ることで『CO2削減』という世界共通価値を作り出した
 IPCC(気候変動に関する政府間パネル)は、地球温暖化についての科学的な研究の収集や整理を行なう政府間機構で、国連環境計画(UNEP)と世界気象機関(WMO)によって1988年に共同で設立されました。IPCCの報告書によれば、「人為的な温室効果ガスが温暖化の原因である確率は90%を超える」とされています。
これにより、『地球温暖化』は地球規模の危機であり、人類全体で取り組まなければならない課題であるという認識が広まりました。
「地球温暖化という危機に対してどうする?⇒CO2削減」という世界共通認識が、マスコミによる価値意識の擦り込みによって見事に出来上がりました。さらに、CO2削減という謳い文句だけでは、実効性が上がらないため、CO2削減を制度化してしまったのです。「地球規模の危機」を連呼するマスコミによって、CO2排出は悪という価値観が出来上がり、CO2排出権なるものが誰からの反対もなく創出されました。
以下に引用したのは、UNEPで特別顧問を務める末吉竹二郎氏の文章です。

世の中のあらゆる基準がCO2を中心に動いていきます。CO2の大幅削減が世界の義務となり、CO2を最も効率的に削減していくにはどうしたらいいのかが、重要な課題になってきます。現在、年間に地球が吸収できるCO2の量の3倍近くが排出されています。しかし50年後には現在より30億人もの人口増が予想され、人類すべてが生活レベルアップを目指すなか、CO2排出レベルを現状の1/4程度にまで減らさないといけない。こういう課題に立ち向かわなければいけないのです。低炭素社会への競争の始まりであり、既存の産業をいかにグリーン化し、同時に未来産業をどう育てていくかにも大きくかかわってきます。

こちら [7]から引用しました
zuhyo2007_02_02a.jpg
IPCC第4次評価報告書2007   図表は、全国地球温暖化防止活動推進センターウェブサイト [8]より お借りしました
②CO2排出権取引の仕組みを構築
 CO2排出権市場の仕組みについては、前回までの記事で詳しく見てきました。空気を売り買いするという、なんとも観念的な市場であり、だまされている感がめちゃめちゃ高い
 世界の国や都市で様々な排出権市場が作られていますが、その先頭を走っているのはEUです。
そして、世界の大きな流れを見ていると、先行しているEUに倣って、キャップアンドトレードによるCO2排出枠の制限と入札制による排出枠の獲得競争へと全てが収斂して行きそうです。
 そうなると、最終的にはCO2によって世界が統合されることになる
③CO2本位制による新しい序列社会の登場
引用 [7]続き)

今後は「CO2本位制」下での炭素制約のある資本主義になると考えていますが、それに対応するには社会規範と法的規制が重要です。それらによって「CO2を減らすことが良いことだ」との新しい価値観と共有することで、既存のビジネスモデルにとらわれない大きなパラダイム変化が訪れるでしょう。「みどりの消費革命」も起こり、いかに低炭素であるかが消費の判断基準になり、明らかにビジネスルールは変わります。どの業種でも、自分の仕事を通じて問題解決に役立てることを考えなくてはならない時代が始まっているのです。

 
CO2排出枠が制限されると、どうなっていくかというと。。。
 CO2排出枠の制限 → 生産活動の制限 → 消費生活の制限 → 人口の制限
国、都市、企業、家庭、人、つまり、あらゆる集団、人がCO2によって制限を受けることになるため、世の中のあらゆる基準がCO2を中心に動いていくという、正に『CO2本位制』の世の中になっていきます。それはつまり、CO2による新たな序列社会が登場することを意味しています。
人口の制限なんて、とても恐ろしいことですね 😥
CO2を牛耳れば、戦争を起こさずに世界を統合できる、そんな世の中になるかもしれません。。。
私たちの知らないところで、こんなおそろしい制度が着々と整備されています。マスコミは都合の悪いことは一切報道しないため、『事実が共認されない』というのが現実です。このことこそ、一番おそろしいことなのです。事実の共認がいかに大切なことか、ひしひしと感じました。
このシリーズは一旦今回で終了しますが、排出権市場はこれからもどんどん進化していくと思われますので、継続課題にしたいと思います。

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