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TPPから見る世界の貿易情勢〜第1回ニュースのおさらい

22年11月13・14日、横浜市でアジア太平洋経済協力会議(APEC)が開催されました。その中で管直人首相は、日本のTPPに参加するかどうかの協議開始を表明しました。
TPP・・・・・11月になってマスコミ等でよく取り上げられるようになりました。
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どうやら日本経済にとって大きな岐路に立たされているようですが、急遽動き出した感じで、十分な議論もなされないまま不安感だけが煽られている感じがします。
このシリーズではそのTPPとは何なのか?日本にとって、世界にとってどういう意味があるのかを可能なかぎり解明したいと思います。

改めてTPPとは一体なんなのでしょうか?

TPPとは「環太平洋戦略的経済連携協定(Trans Pacific Partnership)」のことで、太平洋周辺の国々によって自由貿易圏を作ろうという構想なのです。
この場合の「自由貿易」とは例外品目がない、まさに関税完全撤廃(10年以内という期限付)を行うことで、これまで幾度となく自由化の波を回避してきた「コメ」も当然その対象品目になるのです。TPPに参加すること=「コメの自由化」を認めること、ということで大きな話題になっているようです。

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TPPの始まりは、その壮大な名前の割りにといっては失礼ですが、2006年5月にチリ、シンガポール、ニュージーランド、ブルネイの比較的小さな4カ国からでした。当時はP4(pacific Four)という名称でした。

それが、09年3月からオーストラリアとペルーを加える交渉をスタートさせることになり、さらにその後アメリカ、ベトナム、マレーシアが交渉に加わり9カ国による交渉となりました。アメリカの参加で規模が飛躍的に拡大し、その影響力が大きくなったのです。

そして2010年10月に日本でも「TPPへの参加を検討する」と表明しました。当然、各方面に波紋を呼び、国民新党や共産党等はもちろん、民主党内部でさえ反対の声があがりました。
さらに10月27日に内閣府、農林水産省、経済産業省の3省がTPPに参加した場合の影響を試算した結果を発表しましたが、3省の結果がバラバラで、余計に混乱させたようです。

例えば、内閣府は、日本がTPPに参加するとGDPが2.4〜3.2兆円増加すると見込んでいます。
一方農林水産省は、日本がTPPに参加するとGDPで7.9兆円の損失になり、さらに環境面で3.7兆円の損失を被ることになり、合計11.6兆円の損失と算出しています。そして340万人の雇用が失われ、自給率は現在の40%→14%にまで落ち込むと予想しています。
次に経済産業省は、仮にTPPに参加しなかった場合には、アメリカやEUと自由貿易協定を結んだ韓国に押され、日本のGDPは2020年までに10.5兆円も減少すると予想しています。そして81万2000人の雇用が失われるということです。

元々、民主党は2009年の総選挙の際にマニフェストの草案段階では、アメリカとの2国間の自由貿易協定(FTA)を「締結」するとうたっていましたが、最終的にはアメリカとの「交渉を促進する」とトーンダウンしましたが、比較的アメリカよりでした。
それが鳩山政権時代には、東アジア共同体構想をぶち上げ、アメリカ離れを感じさせていたのです。
そう振り返ると、今回のTPP参加は、再びアメリカ寄りの方向性をとっているようです。

いずれにしてもTPPが今後の日本の方向性を大きく左右することは確実です。
どうなる日本?、どうする日本?の視点で一緒に考えて見ましょう。

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