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「国の借金が800兆円になったのは何で?」7〜市場に支配される国家〜

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前回は、政府紙幣発行に対する、「インフレの可能性 [1]」について書きました。通貨流通量が増えるだけではインフレは起こらない。インフレが起こる背景には、物的供給を上回る物的需要が必要という話でした。
今回は、国債問題の要因になっている「市場と国家の力関係」について書いてみたいと思います。
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まずは「るいネット」 [2]秀作記事の「日本の国債はどうなるのか?(3) [3]」を紹介します。

1995年以降、世界的にマネー経済が急拡大する中で、様々な金融商品が開発されては消えていった。全世界的にマネー経済の規模が拡大する中で、「今はまだ価値が顕在化していない商品を買って、高値になったときに売る」という手法のウラで、「今はまだリスクが顕在化していない商品を買って、売り抜ける」という手法が広がっていった。リスク隠蔽型の金融商品である。バブルは必ず崩壊するが(227714)、サブプライムローン関連証券のようなリスク隠蔽型の金融商品の場合は、リスクを他人に押し付けていることになる。押し付けられ、たらい回しにされていったリスクは、バブルが崩壊し連鎖金融危機が顕在化した途端に、政府がその穴埋めに奔走することになる。世界を駆け巡ったリスクは、最後は政府の発行する国債に蓄積して行っているのだ

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金融市場が自らの儲けの為に作り出したリスクの隠蔽を、最終的には政府が国債を発行することで引き受けているのだが、国債に回されたリスクの評価もまた金融市場が行っていることになる。「どこの国家を破産させるか」もまた金融市場が決めているのだ。およそ社会を統合することなど出来ない市場が、国家の命運を決定する立場に立っている
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「日本国債は、暴落するのか?」を巡っては、「暴落の可能性は無い。もっと発行するべきだ」という識者もいれば、「暴落の可能性はある。抜本的な手を打つべきだ」という識者もいる。(消費税5%UPに何の意味も無いことについては、共通している)
日本国債という問題について、これだけ議論が分かれるのも、「市場がどう出てくるか」については、何とも言えないからだ。
今や国家の財政運営は、国民の共認ではなく、市場に委ねられている。そうなるのも、流通する紙幣は中央銀行が国家の債務を元にして刷っているからだ。政府債務の信用と、その国の紙幣の信用は完全に連動している。
国債が置かれているこの不安定な状況は、国家財政が市場の支配の下にあることを示しており、これら全体の構造は(負債からマネーを生み出す)中央銀行制度が作り出している。つまり、国債問題とは、中央銀行制度をどうするかという問題と表裏一体の問題であって、制度的な解決無しには国債問題に答えは出ないのである。
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国家の行く末を決めるのが国民や政府でなく、市場である事に驚いたのではないでしょうか。
市場はリスクを隠蔽してまで儲けようとしますが、いざそのツケを払う事になれば、このままでは国が崩壊するぞと脅すかのように、政府に国債を発行させて穴埋めをさせます。しかし、その国債のリスク評価は市場が行なっています。
このように、社会を統合することのできない市場に国家の財政運営が委ねられている以上、この原因になっている中央銀行制度という問題を解決しない限り、国債問題の解決にはならないのです!!
現在、民主党では事業仕分けにより、独立行政法人や政府系の公益法人等の税金の無駄使いを見直しています。しかし、根本的な財政問題の解決には至っていません。なぜならば、本当に必要なのは、お金をいかに無駄使いしないかの見直しでなく、中央銀行からお金を借りて国に借金ができるという制度の見直しだからです!
しかし、この現状に気づいている人は少なく、制度的な解決をするにも準備が不十分だと思います。現段階で政府紙幣発行などの抜本的改革を提案しても、実施することは難しいでしょう。今、大切な事は、まず今の制度がおかしいと疑問を持ち、見直しが必要だという世論を形成する事だと言えます。そして皆が現状の問題を共認できたとき、初めて制度の見直しが実現可能になるのではないでしょうか。
次回、シリーズ最終回は「国の借金の行方」を探り、今後の可能性を追求します!
ヨモギ

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