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震災後の日本経済どうなる?〜6.阪神大震災の復興の経過〜

震災後の日本経済どうなる?シリーズの第6回
第1回目 1.人的被害の大きさ [1]
第2回目 2.物的被害の大きさ [2]
第3回目 3.今後の世界経済予測:前半 [3]
第4回目 4.今後の世界経済予測:後半 [4]
第5回目 5. 各種産業の被害をフローで見る [5]
前回までは、死者23,743人、被害総額17.78兆円にも及ぶ東日本大震災の人、物、産業の被害状況被害総額とフローの両面で確認してきましたが、今回は、①1995年の(死者数6,434人、被害総額約9.9兆円に及ぶ)阪神大震災の復興過程及び②今回の東日本大震災いおいて現在被災地3県で立てられている復興計画を確認していきたいと思います。
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(画像はこちら [6]より)
いつも応援ありがとうございます。


①阪神大震災の復興の経過とは?
緊急復興3ヵ年計画
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住む為の土台が固まると人口が増え始めます。阪神大震災では、震災から6年後には、被災地の人口が震災前を上回り、9年後には、神戸市の人口が震災前を上回ります。
震災後の人口の推移
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一方で、産業の方は、震災から3年間は復興特需があるものの、その後3年間は足踏み、その後は景気動向に沿った動きとなります。
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阪神大震災では、震災復興に向け、まず、インフラ、住宅、産業の3分野に力を注ぎ、3年間で震災前を上回りました。また、これらの整備が進むにつれて、応急仮設住宅の入居者は減り、震災から6年で被災地の人口は震災以前より増加しました。
それでは、今回の東日本大震災ではどうでしょうか?
②東日本大震災の被災地における復興計画は?
続いて、東日本大震災の被災地における復興計画を岩手県、宮城県、福島県の3県について見ていきたいと思います。
■岩手県
【岩手県東日本大震災津波復興計画復興基本計画】 [7](H23年8月)より)
財団法人 国土技術研究センター [8]より)

単なる現状復旧にとどまるのではなく、科学的、技術的な知見に立脚した津波対策の方向性やグランドデザインを基にした安全で安心な防災都市・地域づくりによる復興の実現。
・計画期間:2011〜2018年度
・第1期(平成 23 年度から 25 年度までの3年間)、第2期(平成 26 年度から 28 年度までの3年間)、更なる展開に向けた連結期間となる第3期(平成 29 年度から 30 年度までの2年間)に区分し、取組を推進する。
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 岩手県の計画案の特色は、職住近接を望む水産業者などの事情を踏まえ、津波への対応方法でまちづくりのパターンを整理した点だ。具体的には、▽回避型(高台移転)▽分散型(V字形の防潮堤で津波のエネルギーを分散)▽抑制型(多重の防災施設活用)——の3パターンを提示。地域の状況に応じ、これらを組み合わせてグランドデザインを描くことを促す。
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予算については、現在の復興基本計画では言及されていない。

■宮城県
【宮城県震災復興計画(最終案)】 [9](H23年8月)より)
(財団法人 国土技術研究センター [10] より) 

◇復興スケジュール
まず復興を達成するまでの期間をおおむね10年間と設定し、平成32年度を復興の目標に定めている。
全体10年間の計画期間を下記のように3期に区分している。
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3期それぞれの目標は以下の通り。
復旧期:被災者支援を中心に生活基盤や公共施設を復旧させる
再生期:直接の被災者だけでなく、震災の影響により生活・事業等に支障を来たしている方々への支援を更に充実させるともに、
本県の再生に向けたインフラ整備などを充実させる
発展期:県勢の発展に向けて戦略的に取組を推進する。
◇復興計画案
主に防災対策の進化を図ることを軸に計画されている。
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◇予算
復興計画に対し、10年で総額12.8兆円の予算を見込んでいる。(ちなみに東日本大震災での政府復興試算は23兆円) 

■福島県
財団法人 国土技術研究センター [8]より)

基本理念としては、ふくしまを愛する人すべての力を結集した復興、原子力災害の克服、ふるさとへの帰還の実現 活力の早急な回復と飛躍、安全・安心で持続可能な新たな社会の構築。
原発が収束していないため、県は12月までに最終版を発表する。

3県のうち福島県が復興計画の目処が立っていないことからも分かるよう福島原発事故は、地震、津波以上に、周辺環境はもちろん、今後の日本経済全体に与える影響が非常に大きいと考えています。そのため、震災後の日本経済の行方を読むためには、この原発事故の影響について追求していく必要がありそうです。

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