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現物価格は今、どうなっているのか?

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ドルを筆頭に、世界の通貨価値の下落が続いている。今月初めに起きた米国のデフォルト問題によって、NYや日本の株式市場も下落。米国債の暴落を契機にした旧貨幣価値の崩壊⇒経済のリセットの時が、着々と近づいているように見える。
るいネット 経済予測1 米国債デフォルト→世界中の国債暴落→旧貨幣価値の崩壊 [1]
 
デリバティブ市場や債権市場、株式市場から逃げ出したマネーは、金や原油、食糧などの現物市場に流れ込んでいる
 
現在、これらの現物価格はどのようになっているのか?貴金属、食糧、エネルギーの主要品目について、2001年から現在までの現物市場の価格推移を調べてみた。


■金属価格の推移

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金・銀・プラチナ価格の推移(1996〜2011)

金の価格は、2001年は約280ドル(33,600円)で2011年は1571ドル(120,967円)に上昇し、5.6(3.6)倍となっている。推移を見ると、2001年以降激しい右肩上がりとなっており、2008年の価格高騰・下落はあったが、現在も高値を更新している。
プラチナの価格は、2001年は約450ドル(54,000円)で2011年は1764ドル(135,828円)に上昇し、約4(2.5)倍となっている。金よりも激しい右肩上がりで2008年に超高騰・暴落したのち、2011年には再び2008年高騰時に近い価格にまで上がっている。
銀の価格は、2001年は約5ドル(600円)で2011年は38.3ドル(2,949円)に上昇し、7.7(4.9)倍となっている。金に近い推移をしているが、2008年以降の上がり幅はどの金属よりも大きい。
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鉄価格の推移(2000〜2011)

鉄鉱石は、2001年に30セント(36円)で2011年には182セント(139円)で、約6(3.9)倍となっている。他の金属と同様に右肩上がり、2008年に高騰・下落し、2011年まで再び高騰し続けている
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チタン価格の推移(2004〜2011)

レアメタルであるチタンの価格推移は比較的横ばいで、金属の種別によって推移も異なるようだ。
※金・プラチナ・銀は1トロイオンスあたり、鉄鉱石は1トンあたりの価格を示す。
※ドル/円の為替レートは、2001年当時を1ドル=120円、2011年現在を1ドル=77円で換算。
■食糧価格の推移
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コメ・小麦・トウモロコシ・大豆価格の推移(1985〜2011)

小麦の価格は、2001年に約120ドル(14,400円)で、2011年に約300ドル(23,100円)となり、この10年で2.5(1.6)倍に上昇していることになる。
2008年まで横ばいで推移し、この年の半ばに一度急上昇し、その後下がったものの、再び2011年になって上昇している。
トウモロコシの価格は、2001年に約90ドル(10,800円)で、2011年に約300ドル(23,100円)となり、この10年で3.3(2.1)倍に上昇している。
2007年ごろから上昇しはじめ、2008年にいったんピークに達し、その後下がったが、2010年から再び上昇に転じ、2011年には2008年を上回る最高値に達した。
大豆の価格は、2001年に約190ドル(22,800円)で、2011年に約520ドル(40,040円)と、この10年で約2.7(1.4)倍と上昇傾向にある。
2004年に一度上昇して落ち着き、2007年ごろから再び上昇しはじめ、ピークの2008年以後高止まりしている。
コメの価格は、2001年に約160ドル(19,200円)で、2011年に約580ドル(44,660円)となり、この10年で3.6(2.3)倍となっている。
2001年以降、緩やかに上昇していたが2008年に急騰し、その後下落している。
穀物全体は、2001年以降上昇基調にあり、特にリーマンショック以降急激に上昇して高止まりした。現在は、2008年末の値前後で落ち着いており、依然より高水準で推移している。
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砂糖価格の推移(2000〜2011)

穀物と同様に、世界規模の市場がある砂糖の価格は、2001年に約10ドル(1,200円)だったものが、2011年には約30ドル(2,310円)と3(1.9)倍にまで上昇している。
特に、2009年以降の上昇が激しくなっている。
※小麦・トウモロコシ・大豆・コメは1トンあたりの価格、砂糖は1ポンドあたりの価格を示す。
※ドル/円の為替レートは、金属価格の推移と同様に換算。
■原油・天然ガスの推移
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原油・天然ガス価格の推移(2000〜2011)

WTI(West Texas Intermediate 原油価格の指標になっている)の原油先物価格は、2001年11月当時で1バレルあたり17.45ドル(2,094円)だったが、2011年8月現在では、1バレルあたり79.30ドル(6,106円)まで上昇し、約4.5(3)倍になっている。
2001年から2008年まで右肩上がりに上昇を続け、2008年7月には1バレルあたり145.29ドルの最高値をつけた。その後、2008年12月に33.87ドルまで急落するが、再び上昇を続けて現在の価格に到っている。
一方、天然ガスの価格は、2001年当時に1MMBTU(※)あたり約11ドル(1,320円)だったものが、2011年6月現在では1MMBTUあたり約5ドル(385円)と、5割(3割)以下にまで下落している。
この10年間では、2006年と2008年に価格が急騰した直後に急落している。2010年からはほぼ横ばいで推移している。
※英国熱量単位 British thermal unit の略。天然ガスの熱量としては、一般的に百万BTU(MMBTU)が用いられる。 weblio辞書 [8]
※ドル/円の為替レートは、金属価格の推移と同様に換算。
■まとめ
総じて、貴金属も食糧もエネルギーも、現物価格は史上最高値もしくはそれに近い水準に迫っている。従って、今後世界中でインフレの進行が予想される。ただし、現物市場の規模は債権・株式に比べ非常に小さく、現在の価格上昇は金貸しの主勢力の動きではなく、一般投資家の動きの範囲だといえる。
 
このジリジリとしたインフレ進行=通貨価値の下落がいつまで続くのか、どの段階で米国債の暴落が仕掛けられ、世界ハイパーインフレ→経済リセットが起こるのか?今年〜来年にかけて目が離せない時期が続く。
〈図表の引用元〉
社会実情データ図録 [9]
統計情報サービス [10]

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