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新シリーズ「経済が破綻したらどうなる?」プロローグ

米国債暴落を皮切りとする、世界中の国債暴落→貨幣価値の崩壊という形での経済破局の時期が迫っていると見て、まちがいないだろう。

るいネット「経済予測1」 [1]より
 
[2]
 
先月、米国債デフォルトの瀬戸際をなんとかくぐり抜けたアメリカですが、根本的な対策を特に講じたわけではなく、問題が先送りされたに過ぎません。

米政府の債務上限を引き上げる法案が2日、上院を通過し、オバマ大統領が署名して同法は成立した。米国債の債務不履行(デフォルト)は期限当日になって回避された。
(中略)
同法は、2.1〜2.4兆ドルの債務上限引き上げと、今後10年間にわたるほぼ同額の財政赤字削減を、2段階に分けて実施する内容。第一段階として9170億ドルの歳出を削減し、債務上限を9000億ドル引き上げる。第二段階では、上下両院の与野党議員12人で構成する特別委員会が1.5兆ドル以上の追加削減策を勧告し、今年末までに議会で採決にかける。これが可決されれば大統領は債務上限を同額引き上げ、否決されても1.2兆ドル引き上げる。否決された場合、1.2兆ドル規模の一律削減策を強制的に実施する条項も盛り込まれた。

2011.08.03 CNN.co.jp [3]より
 
現在のアメリカ経済はもはや自立的な回復力を喪失し、連邦政府の巨額の景気刺激策に依存しながらかろうじて維持されている状態です。
今回の法案では、債務上限引き上げ額とほぼ同額の財政財政赤字削減が要求されており、今までのような景気刺激策の実行に対して足かせがはめられました。しかしその結果、景気が急速に失速し、それを回避するために再び大量の新規国債発行を余儀なくされるのは目に見えています。
 

上限の引き上げ幅
5月16日に使い切った以前の上限は、2010年2月に1兆9000億ドルほど引き上げられたものであった。この上限枠を1年3カ月で使い切った。
 
今回の2兆1000億ドルは前回の1兆9000億ドルにかなり近い数字である。このまま行くと、やはり1年ちょっとで使い切る可能性は非常に高い。

ヤスの備忘録 [4]より
 
つまり、遅くとも1年後には、今回と同じ問題が再燃し、米国債デフォルトの危機を迎えることになります。
 
さらに、経済危機に直面しているのは、アメリカだけではありません・・・
 
いつも応援ありがとうございます
 
 


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写真はこちら [5]からお借りしました
 
秒読み段階のユーロ危機
実は、ギリシャ危機に端を発したユーロ危機の方が、アメリカよりも緊迫した状態にあります。

メルケル首相の辞任の噂まで出るようになった
  
ギリシャは国家破綻(デフォルト)していないものの、すでに死んでいるのは誰でも知っていて、誰もお金を貸そうとしない。だから、43%の利息を払ってでも金を集めなければならない状況になってしまっている。
 
こんな国に第2次支援をしたいと言っても周辺国の国民も「なぜ我々の稼いだ金をギリシャにくれてやらなければならないのか」という国民感情もある。
 
ユーロ存続のためにはそうするしかないという建前があったとしても、国民としては「そんな国はユーロから追い出してしまえ」という感情のほうが強い。
 
それをなだめすかしてユーロを守り、支援しようとするのがドイツのメルケル首相でありフランスのサルコジ大統領の姿でもあった。
 
しかし、もうそのユーロ防衛も限界に来ているのは、それぞれの支持基盤からも反発が出ていることからも分かる。
 
ドイツではこのギリシャ第2次支援に対して、独連邦銀行(ドイツ中央銀行)が2011年8月22日に公然と批判した。
 
メルケル首相の支持基盤キリスト教民主同盟もまた「支援策に反対する」との声を上げた。
 
また名誉職の立場にあるドイツ大統領までもが「このギリシャ第2次支援は長く続けられない」と言い出す事態になっている。
 
これらの批判や、支援策自体の流動化に伴ってメルケル首相はロシア行きをキャンセルせざるを得ないところまで追い込まれている。
 
あげくの果てに、なんと9月には辞任するのではないかという噂まで立ちのぼるようになった。

株式日記と経済展望 [6]より
 
ギリシャ支援に対する世論形成ができず、ギリシャ支援失敗が現実味を帯びてきました。
その危機を敏感に察知しているのが国際投資家たちで、今、猛烈な勢いで投資家がユーロ圏内から逃げ出していて、銀行株についてはほとんど全世界の銀行株から資金が抜け始めています。ヨーロッパだけに限っても、ドイツ銀行、UBS銀行、ING銀行、ロイズ銀行、とヨーロッパを代表するすべての銀行株はほぼ「暴落」「壊滅」と言ってもいいほどです。
 
リーマン・ショックに並ぶ、どん底の大恐慌がやって来ると国際的な投資家は判断しており、それがゆえに資金の回収を急いでいるのです。

支援に失敗したら突如としてユーロ瓦解
 
世界中の銀行株の下落、ユーロ危機、投資家の現物逃避。そして世界各国の政情不安。いつでも起こり得る暴動。
 
破滅的な事態がやってくるかどうかの瀬戸際に世界は立たされていて、ユーロ問題も深刻な「世界破滅」のトリガーのひとつになりつつある。
 
ユーロ危機はもう解決できないので、あとはどこまで先延ばしできるかにかかっている。先延ばししても、どんどん足元が崩れていくので、深刻な問題が次々と起こってくるだろう。
 
ギリシャ第2次支援の行方を占うのは9月である。支援に失敗したら突如としてユーロ瓦解という「終わり」がやってくる。  
何とか支援に成功しても、あとにはスペインもポルトガルもイタリアも控えているので、真綿で首を締められるように死んでいく。
 
それでも危機が先延ばしできるのであれば、全力で先延ばしするしかない。
 
ユーロの破綻とは、ユーロ加盟国17カ国が同時破綻と同じだ。これはヨーロッパが死ぬのと同じである。

株式日記と経済展望 [6]より
 
 
kokusai.bmp
 
日本国債を暴落させる準備が進行中
 
日本も対岸の火事ではいられません。ドル暴落やユーロ崩壊の影響を受ける、といった間接的な問題ではなく、日本国債そのものを暴落させる準備が、現在着々と進んでいます。

東北大震災と福島原発事故によって日本は大打撃を受け、GDPは急落し、2ヶ月連続貿易赤字が続いている。当然、円安になるはずである。
にもかかわらず、円高が進んでいる。
 
いったい、円高=円買いを仕掛けている金貸しの狙いは何なのか?
 
実は、過去にも今回と似たような、おかしな円高状況があった。
それは、’90年バブル崩壊後の円高状況である。バブル崩壊で日本経済は大打撃を受け株価が暴落していったが、その暴落の間5年半に亘って株価下落と反比例するように円高が進んでいった。これは、金貸し勢が日本の銀行や優良企業の底値に落ちた株式を買い占めるために、強力な円買いに入った結果であると見てまちがいない。
 
「日本の国債はその95%を日本が保有しているので暴落しない」という話をよく聞くが、その話は重大なポイントを見落としている。日本国債を保有している日本のメガバンクは、既に外資(金貸し)に支配されている可能性が高い。とすれば、日本国債も米欧の国債と同様に、いつでも暴落させることができる可能性がある。
 
(中略)
 
今回の東北大地震と福島原発事故以降の円買いは、米国債デフォルト→米国債暴落→世界中の国債暴落という経済破局にむけた最終局面の動きであると考えられる。その狙いは何か?  
どうやら金貸しにとっては、日本の国債だけが暴落しないという状況は都合が悪いらしい。とすれば、金貸し勢は、世界中の国債暴落=旧紙幣価値の崩壊を計画していることになる。したがって日本国債も同時に暴落させる必要がある。
そのための日本国債買い、それこそが金貸しの狙いであり、不自然な円高の理由であろう。

   
’85年以降、金貸しは政府・日銀に圧力をかけて米国債を買わせてきた。それは、’85年プラザ合意当時、双子の赤字に陥り債務国に転落した米を延命させようとする時間稼ぎにすぎなかったが、今回外資が直接、日本国債買いに入ったのは全く新しい局面に入ったことを意味している。このことは、世界の国債暴落計画がいよいよ最終段階に入ったことを示している。
 
実際、短期国債市場では、数ヶ月続けて外資による毎月50兆円の買い越しが続いている。それだけの短期国債を買い占めていれば、短期国債を暴落させることで、(もともと彼らが支配しているメガバンクが所有している)長期国債をも暴落させることは可能である。
 
米国債暴落を皮切りとする、世界中の国債暴落→貨幣価値の崩壊という形での経済破局の時期が迫っていると見て、まちがいないだろう。

るいネット 「経済予測1」 [1]より
 
過去経験したことがない全世界的な経済破局が、しかもそう遠くない将来(遅くとも数年以内)に起こることは、どうやら不可避のようです。
 
経済破局が起きたら国民の生活はどうなるのか、国家はどういう政策を打ち出すのか、過去の事例を研究していくところから出発して、その事態を冷静に乗り越える準備をしておきたいと思います。
 
次回は、シリーズ第1回「戦後日本のハイパーインフレ時はどうだったの?」からスタートします。お楽しみに。
 

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