シリーズでお届けしている「世界の闇の支配勢力から日本の支配史を読み解く」江戸編 😀
No.1 幕府の独占貿易 〜本当は鎖国ではなかった江戸時代〜 [1]
No.2 金貸し(カトリック)の狙い⇔時の為政者の思惑 [2]
No.3 鎖国の狙い 〜貿易を独占し、大名の経済基盤を奪った江戸幕府〜 [3]
に続いて、今回は幕藩体制を確立した江戸時代初期の政策に注目していきます。
戦乱の時代に終止符を打ち、300年近く安定秩序をもたらしたポイントはなんだったのでしょうか?
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戦乱の世(武力による私権闘争)から「天下泰平」を実現するためには「序列原理(力=私権の強いものに弱いものが従う原理)」により統合される必要があります。
その為には幕府と諸大名の間に「圧倒的な力の格差」があることが不可欠となります。
江戸初期(家康−秀忠−家光)の政策は「武断政治」と呼ばれ、豊臣側についていた旧勢力を中心に、諸大名の力を徹底的にそぎ落とすことに成功しています。
これが265年も続いた、江戸時代の安定秩序の礎となるんですね。
では、その政策の中身について見てみましょう。
◆「武力(権力)」抑制政策
①諸大名への統制
a. 武家諸法度の制定:武士としての規範を成文化。
→「改易」「減封」「転封」などの処分により旧勢力(豊臣側)の衰退→幕府の権限強化。
b. 一国一城令:各藩の軍事拠点の破壊。
②朝廷・宗教勢力(寺社・神社)への統制
a. 禁中並公家諸法度:朝廷(天皇家)や公家の権限を抑える成文法
⇒後に幕府への大政委任に法的根拠を与えることに
b. 寺院法度:寺院に対する統制
※後には「諸社禰宜神主法度」も制定し、神社への統制も強める。
c. 禁教令:キリスシタン大名の台頭を抑制
d. 江戸儒教(朱子学)を重んじる政策:朱子学の説く身分秩序が、江戸時代の幕藩体制、また士農工商の身分制度を支える思想的支柱として受け入れられ官学化。
◆「資力(経済力)」抑制政策
a. 参勤交代制:定期的に経済的出費を強いることで諸大名の「資力」を削ぎ落とすことに成功。
b. 鎖国=独占貿易:貿易による旨みを幕府が独占→貿易により大名が資力を付けないための施策。
(詳細は前回記事 [3]を参照ください)
c. 金銀山(佐渡、石見)直轄:金銀山を有する大名の経済的自立を阻止。
d. 手伝普請:幕府が行う土木・治水事業の負担を課すことで、諸大名の資力を低下。
e. 統一貨幣経済:統一通貨を図ることで地域独自の経済圏が発展することを阻止。
注目すべきは、諸大名の「武力(権力)」抑制だけでなく「資力(経済力)」を徹底的にそぎ落とす政策にも力を注いでいることです。
前回記事 [3]で紹介した「鎖国」政策もその一貫といえますね。
少し世界史に目を向けると、江戸幕府が開府された17世紀初頭は、言わずと知れた「大航海時代=近代市場の幕開け」の真っ只中です。
家康はウィリアム・アダムスやヤン・ヨーステンなどを重用したことからも、早くから国家覇権の制覇力が「武力」⇒「資力(経済力)」へと移行する時流を読み取っていたことが推測されます。
▼まとめ
「武断政治」により諸大名・抵抗勢力の「武力」だけでなく「資力」を徹底的にそぎ落とすことに成功。「力の原理=力の格差による序列原理」を発揮できるような体制を確立していきました。
しかし江戸も世界史に違わず、序列体制の抜け道として市場が拡大していきます。
とくに、統一貨幣導入により、江戸は貨幣経済に移行。そのことにより、新たな勢力として商人階級が台頭し、安定秩序を蝕むようになってきます。
次回は江戸の貨幣経済化が社会構造にどのような変化をもたらしたか追究していきますので、お楽しみに! 😉