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エネルギー市場はどうなっている?(11)〜経済破局を見据えた日本のエネルギー戦略は?〜

これまで、原子力、石油、天然ガス、石炭の4大エネルギー資源に関して、世界市場の支配状況を押えてきました。金融市場が崩壊過程に入る中、いずれの資源も激しい覇権闘争が繰り広げられています。
エネルギー市場はどうなっている?(8)〜【中間整理】 [1]

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追い詰められるロックフェラー、さらなる利権拡大を狙うロスチャイルド、傍らで存在感を放つロシア

 
では、この混迷した状況を受けて、エネルギー自給率5%に満たない日本はどのような路線に舵を切るべきなのか?を考えていきたいと思います。
 
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現在、ユーロ危機、米国の財政危機は日を追うごとに悪化、さらに中国のバブル懸念も強まってきて、世界経済が崩壊の淵に立っていることは明らかです。日本をとりまく世界経済の情勢と、資源・エネルギー市場は今後どうなっていくのでしょうか?
 
■経済破局→その後の世界の姿
国債経済の限界が訪れ、追い詰められた金貸したちは、世界国債の同時暴落→金融経済リセットを目論んでいると考えられます。現在、ギリシャの破綻が確実になりユーロが揺れていますが、皮切りとなるのはやはり、本命アメリカの財政破綻でしょう。
以下は、るいネット 国債暴落後の世界経済はどうなる? [2]からの抜粋です。

米国債のデフォルトを皮切りに、世界中の国債が暴落すると、まずパニック買いや銀行取付騒ぎが始まり、デフォルトから1〜2週間で預金封鎖が強行される(但し、ex月50万円までは引き出し可)。
国債暴落とは貨幣価値の暴落と同義であり、あらゆる物価が2倍→3倍→5倍と跳ね上がっていく。この超インフレ状態が、1〜2ヶ月続くだろう。

そういう状況に追い込んでおいて、1〜3ヶ月後に世界中で一斉に新紙幣が発行される。ここで、旧紙幣は新紙幣とは交換不可とすることで、旧紙幣は完全に紙クズになる。(※新1:旧100といった低い交換比率でも、交換される限りは通貨単位が変わるだけ、つまり単なるデノミと同じで、それでは何も変わらない。)
交換不可とすることで、国債をはじめCDS債権etcあらゆる貸借関係は消滅する。旧紙幣や旧国債の価値はゼロとなるが、企業の銀行借入や家計のローンetc全ての借金もゼロとなる。

旧紙幣資産や国債資産がリセットされても、土地や現物資産の所有権は従来のままであり、また株式価格は簿価レベルに低下するものの各企業における株式保有比率は変わらないので、金貸しは企業支配権をそのまま保持し続ける。つまり、土地や企業の所有権はそのまま存続する。

巨額の負債と金融資産を一旦放棄=リセットし、現物から世界を再支配する。これが金貸しの決死の生き残り戦略であり、現在の資源争奪戦もこの中に位置づけられています。
 
しかし、金融経済をリセットして、そのまま世界がすんなり現物市場に移行できるわけはありません。
実現論:序5(下) 経済破局の下で秩序は維持できるのか? [3]からの抜粋です。

米・中をはじめ、欧州やロシアの過半etc、骨の髄まで個人主義に染まり共同体質がほとんど残存していない国々or民族の場合、農家の過半が供出に応じず、流通業者の大半が買占めに走る可能性が高い。従って、食糧不足による大暴動は必至となる。

至る所で殺し合いが発生し、アメリカは数百万→数万→数百の略奪集団が割拠する無法地帯と化し、リセットから三年後には人口は1/5に激減しているだろう。
中国は現在でも暴動が頻発しており、食糧3倍〜5倍で秩序が維持できるわけもなく、アメリカ以上に暴動→殺し合いが激化し、人口が1/10に激減している可能性も充分にある。

[4]
最近の中国の暴動

しかも、秩序崩壊するのは米・中だけではない。おそらく、欧州やロシアの半分、さらにアジアや南米やアフリカの一部でも崩壊する国が、次々と出てくるだろう。

 


■日本をとりまくエネルギー市場はどうなる?
こうした状況の中、原油や天然ガスをはじめ、日本をとりまく資源・エネルギー市場はどのようになるのでしょうか?
 
日本自体は、戦後の食糧配給の成功や阪神大震災、東日本大震災の事例からも証明されているように、米欧中のような大暴動には発展せず、秩序が維持されると思われます。しかし、海の向こうの国々は混乱の極みで、貿易も壊滅状態に近いでしょう。
 
仮に秩序がある程度回復し、現物経済に移行した場合はどうでしょうか?

本来、バクチ経済から現物経済への回帰は、日本にとって望ましい方向と思われます。投機市場と違い、現物市場は実際の消費者がいて初めて成立するため、通常なら輸入価格は消費国が支払えるレンジに収束してゆくからです。また、新通貨システムが変動相場制を踏襲するなら、秩序が維持された日本の通貨は、ここでも世界から買われ、通貨高→資源安となり、結果、日本の生産力を再び活かせる可能性も出てくるからです。
 
しかし、今回の現物経済化は金貸しの覇権戦略である点が決定的に違います。この場合、生産力も秩序も保持した日本は、金貸しの世界支配戦略にとって喉から手が出るほど手に入れたい国になります。従って、彼らが日本支配を磐石にするため資源・エネルギーの兵糧攻めを仕掛ける事は容易に推定できます。
 


■金融リセットを見据えたエネルギー戦略の方向は?
この金貸しの再支配に対抗するために、日本の資源・エネルギー戦略はどうあるべきか?国債経済のリセットが作動する前に見定めておきたいところです。そこで、本シリーズ終盤では、以下の観点で日本のエネルギー政策の可能性を追求してみたいと思います。
 
【1】エネルギー自給の道を阻む壁は何か?
一時期話題に上ったメタンハイドレード、様々なレアメタルが眠る世界有数の都市鉱山、豊かな水資源を活かした小水力発電など、実は日本は、資源・エネルギーを自前で確保する手段が無いわけではありません。
 
しかし、その実現は遅々として進みません。この可能性を阻んでいる壁はなんなのでしょうか?
 
【2】エネルギー消費→生活水準はどこまで縮小できるのか?
生活水準のダウンサイジングによるエネルギー消費の縮小は、貧困が消滅し、物的欠乏が衰弱した日本の本命路線かも知れません。
 
実際に過去の各年代のエネルギー消費はどの程度だったのか?PCや携帯電話、エアコンを当たり前のように使っている私たちが、実際にどの時代の生活にまで戻る事が可能なのでしょうか?
 
【3】日本が協働できる国家・地域は?
米国の没落は、世界の秩序そのものを塗り替えることになり、戦後ほぼ一貫して従米一色でやってきた日本にも大きな転換を迫ることになります。
 
この新しい世界状況の中で、日本が資源・エネルギーの確保に関して協働できる国があるとしたら、それはどこなのでしょう?
 

次回は、日本のエネルギー自給を阻む壁は何なのか?どこまで自給可能なのかを追求します。

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