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エネルギー市場はどうなっている?(12)エネルギー自給の可能性とそれを阻む壁は何か?

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(メタンハイドレートと小水力発電:画像はコチラ [3]コチラ [4]からお借りしました。)
巨額の負債と金融資産をリセットし、現物から世界の再支配を目論む金貸は、リセット後においても、暴動もなく生産力を保持し続ける日本を支配するために、資源・エネルギーの兵糧攻めを仕掛けてくることが予想されます。
エネルギー自給率が約5%の日本にとって、リセットに向けたエネルギー資源の確保はもっとも重要な課題のひとつとなります。
今回のエントリーでは日本におけるエネルギー自給の可能性はあるのか?そして、自給を阻む壁は何かを明らかにしたいと思います。
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■日本におけるエネルギー自給の可能性
 現在日本の一次エネルギー消費量と構成比は、
 石油    9.04 ×10^18J(42%)
 石炭    4.92 ×10^18J(23%)
 天然ガス 4.02 ×10^18J(19%)
 原子力  2.25 ×10^18J(10%)
 水力    0.67 ×10^18J(3%)
 その他  0.67 ×10^18J(3%)
となっています。
 
 
国内でエネルギーの自給は可能なのか?、現在の消費量で計算すると、それぞれ何年自給できるかを各エネルギー毎に検証してみます。
 
 
【石油】
現在はほぼ100%輸入ですが、94年の政府発表では尖閣諸島周辺で32.6億バレルの埋蔵量とされています。日本の消費量は約2億バレル/年なので、現在の消費量で16年分の石油が埋蔵されていることになります。
ただ、尖閣諸島は中国との領土問題が決着されていないのと、68年の国連調査では1000億バレル以上の埋蔵量との調査結果もあるので政府の数字も信憑性にかけることなど、実用化への道のりはかなり長い。当面は実用化は難しいと考えざるを得ません。 
 
 
【原子力】
 日本では広島でウランが採掘できるようですが、福島原発事故後原発を安全に稼動できる保障はないため自給の可能性は無いと判断します。ただ、リセット直後のエネルギー確保の手段として、日本に備蓄してある核燃料を使うことは、現実判断として考慮に入れる必要はあるでしょう。
 
 
【石炭】
日本は戦前から炭鉱で石炭を自給してきたので、リセットに向けて炭鉱を再開させる案を考えます。
石炭には、火力発電所で使用されている発熱量が高い高品位炭と、発熱量が約半分となる低品位炭の2種類があり、1対1の割合で存在すると言われています。リセット後という状況を考えて低品位炭を利用し、且つ市場採算ベースという枠を外すと埋蔵量は約38億トンと推定されます。38億トンのうち約半分は低品位炭が含まれるので、これを高品位炭に換算すると約25億トン、現在の消費量(高品位炭で)1.8億トン/年なので、約14年分の石炭が確保できることになります。
(推定埋蔵量は、『『次代を担う、エネルギー・資源』状況編5 〜石油・石炭の使用量・利用先〜』  [5]の記事を参考にしています。)
 
 
【天然ガス】
日本近海に眠るメタンハイドレートでの代替を考えます。
1996年時点で分かっているだけでも天然ガス換算で7.35兆立米以上と推計されており、現在の年間消費量976億立米なので、約80年分の採掘が可能となります。
では、15年前にその存在を確認されていたにも関わらず、実用化が進まないのは、なぜか?

日本の『海上保安庁』が、20年に亘る調査を続け、(中略)膨大な資源が眠っていることが確認されたのです。ここで突如、国連(専門委員会)がこのように言ってきたのです。
『大陸棚の確定には、今までの規定の調査では不十分であり、より詳細のデータが必要である』と。(中略)国連の中に、日本が資源国になることを妨害する勢力が居たのです。
日本が妄信しています≪国連≫が、『日本が資源国になるような事はまかりならん』、とこの大陸棚の開発に邪魔をいれてきたのです。 
 
「国連」が日本のメタンハイドレートの資源国家になることを妨害 [6]より引用 

わが国では経済産業省主導で、主に太平洋側(南海トラフ)あたりの海底に眠るメタンハイドレート(MH)を発掘しようとするプロジェクトを、税金500億円(10年間)を投入して進めてきた。しかしこの領域のメタンハイドレートは、3000メートルほどの海底のさらに地中に砂とまじって「広く薄く」存在するので、現状ではその砂から取り出す方法がネックとなり、採算ベースにのっていない。
それとは逆に日本海側の海底で発見されるメタンハイドレートは、比較的浅い海底、もしくはその少し下の地中に、石ころのようにゴロゴロと集中的にかつ固まって見られる。日本海のMHはなんと魚群探知機で簡単に見つかる。大掛かりでカネもかかる海底探査装置を使う必要がない。
 
メタンハイドレート開発妨害の「事情」(1/2) [7]より引用

日本海側は太平洋側に比べて簡単に採掘できるにも関わらず、その研究費は太平洋側の20分の1の年間250万円しか付かない。調査も一部の研究者が赤字で行っている程度で、実用化に向けて全く進んでいません。
 
[8]
(メタンハイドレートの海底分布:画像はコチラ [9]からお借りしました。)
 
  
【水力】
 ここでは小水力発電の可能性を考えます。小水力発電は、中小河川、用水路、さらにはトイレの洗浄水等、様々な水流を利用して発電を行います。日本に豊富にある水を使った発電です。
 『『次代を担う、エネルギー・水資源』水生圏の可能性、水力エネルギーの活用12.水力発電の可能性(後編)』 [10] によれば、
 ①日本国土には、2万か所・1500万KWの小水力発電所が可能
 ②原子力の都合で歪められている水力発電の低い稼働率の改善
 ③水力発電で電力供給の37%を賄える可能性がある 
また、小水力発電は日本の気候が変化して水資源が減少しない限り、半永久的に使用することができます。
 電力供給の37%とは、現在の7%の約5倍にあたります。つまり、エネルギーの場合は現在の 水力0.67 ×10^18J(3%)の5倍 3.35×10^18Jとなり、現在の一次エネルギーの15%を賄う量になるのです。 
 
【その他】
 地熱や新エネルギーなので、現状通り一次エネルギーの3%を賄うことが可能です。(新エネルギーについては、他のエントリーで詳しく紹介する予定です。)
 
 


■エネルギー自給を阻む金貸しの壁
これまでで見てきたように、資源があることは確認されているにも関わらず、遅々として開発が進まないのは、日本の資源開発を望まない勢力から圧力がかかっているからでしょう。
それは、シリーズの前半で紹介したように各国の資源メジャーであり、その背後で支配するロスチャイルド、ロックフェラーなどの金貸したちです。
一方で、金融リセットは、金貸しにとっては一か八かの賭け でもあり、窮地に立たされた彼らの焦りが見えてきます。
つまり、日本にとってこの金融リセットは、金貸し支配の構造から脱却する大きなチャンス でもあるのです。
日本の運命は、金融リセットまでにどこまで準備を進められるかにかかっているのです。
 
 
次に資源開発の際の2つの問題点についてです。
一つ目は技術的な壁です。メタンハイドレートや石油の採掘など、資源輸入国の日本にとっては、未明課題であり実用化するまでに時間がかかるという問題です。
しかし、日本の企業はこれまで世界各国で様々な資源開発をしてきており、技術提供をしてきました。つまり、日本は資源開発の実績を十分に持っているのです。
 
 
次はコストの壁です。資源開発は事業開始時に莫大な投資コストが必要で、開発を進めても採算が取れるか分からないのも事実です。この問題に対しては、国の存続のために必要な事業として位置づけて、国営企業で開発 する必要があります。実際、ロシアは国家戦略として、資源企業を国有化し、資源市場で大きく成長しています。
 
この様に見ていくと、最後に残るのは金貸しの壁です。 
 
 


■まとめ
では、最後に金貸し支配から脱却した場合、日本はどの程度まで自給できるのかをシミュレーションしてみます。
前述した通り、状況から石油と原子力の自給率をゼロとすると、その時点で現在水準に対して48%になります。さらに現在の消費ペースで消費していくと、石炭は14年後、天然ガスは80年後に枯渇します。
さらに、石油と原油を使わずに、国内に埋蔵するエネルギーをバランスよく使用した場合、現在に水準に対してどのくらいの生活水準となるのでしょうか?
 
 
【50年、30年、20年自給する場合】
[11]
 
このように、50年自給するためには、今のエネルギー消費量の42%、30年自給だと71%、20年自給だと100%の生活水準に抑える必要があります。
ただし、実際には石油は燃料以外に石油製品などに使用されており、他の材料に代替するのは難しいので、一定の輸入は必要となります。
 
 
次回は、リセット後の生活水準はどこまで縮小できるのか?また、今回の検討で想定される−30%あるいは、−600%の生活水準はどの程度なのか?を追求します。

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