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2012年、世界はどうなる!?〜(2)最新書籍はこう読む!−アメリカどうなる!?〜

最新書籍3誌が、これからの世界経済をどう読んでいるか?をテーマにした
『2012年、世界はどうなる!?〜(2)最新書籍はこう読む!−ユーロどうなる!?〜』 [1]
は読んでいただけましたか?
 

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第2弾の今回は、アメリカがどうなるか!?を軸に、各書籍の本文を引用、一部要約させていただきながらご紹介いたします
 
※前回記事でご紹介しました『メルトダウンする世経済 闇の支配者と「金融大戦争」のカラクリ』は、あまり大きく触れられてなかったので、今回はそれ以外の2誌のみのご紹介とさせていただきます。
 
今年もよろしくお願いします
いつもありがとうございます


 
②『メディアが出さない世界経済ほんとうの話』
 著者 田中宇 氏

・ドルは破綻していく過程にある
1990年代からの米国の強さ(覇権)は、債権金融システムの拡大による富の増大に支えられてきた。リーマンショックは、このシステムのバブル崩壊であり、その後も危機の構造は改善されず、システムが延命しているだけなので、いずれ危機が再来し、最終的に米国の覇権喪失や国債基軸通貨としてのドルの失墜まで引き起こす可能性がある。
ドルの破綻は、米国債の価値の大幅下落(国債利回りの上昇)というかたちで起きる。
先進諸国の中央銀行はネットワークを形成し、為替市場に対する協調介入や、金融界を経由した介入などによって為替相場を動かし、ドルがユーロや円に対して下落しにくい状況を作っているため、ユーロや円に対するドルの為替が大幅下落する形では、起こりにくい。
米英の投機筋と債権格付け機関は、ユーロ圏内で経済基盤が弱いギリシャやアイルランド、ポーランドといったユーロ圏内周縁部の国々の国債相場を下落させ、先にユーロをつぶすことでドルを延命させようとしている。
  
・米金融危機の再燃は世界不況につながる
米国では05年ごろから住宅価格の下落が始まり、07年のサブプライム危機、08年のリーマンショックと、不動産担保債権の市場が崩壊して危機が拡大し、その後も住宅相場は下がり続けている。
今後、米国で金融危機が再燃するするとしたら、米国の最大手銀行の一つであるバンクオブアメリカ(バンカメ)が危機の引き金を引く可能性がある。バンカメが抱える不良債権の95%は、バンカメがリーマンショック前後の金融危機の際、米政府や金融界からの強い要請を受けて買収した大手不動産金融機関カントリーワイドが持っていた住宅ローン債権だ。
TARPやQW2もすでに終わり、米政府にも連銀にも、金融界を救済できる余力が大幅に減っている。しかも、米住宅市況は下落し続けている。
カントリーワイド部門から発生する不良債権の増分を、政府や金融界が十分に穴埋めしてくれなくなっているので、バンカメは、切り離して倒産させると脅しを流している。カントリーワイド部門が倒産すると、巨額の不動産担保債権が債務不履行となり、債券市場の中核をなす不動産担保債券市場の全崩壊につながるだろう。リーマンショックの再来となる。
    
・ロン・ポールが連銀をつぶす日
ロン・ポールは、米国のリバタリアン系(国家の機能は秩序を保てる最小限にとどめ、個人の自由を最大限に尊重すべきだという考え方)の下院議員である。
彼の主張の中で、米国と世界にとって最も重要なのは、彼が「連銀(FRB)は存在しない方が良い」と考えていることだ。
連銀が発行されるドルは十分に情報公開されていないため、ニクソン・ショック後、米金融界の完全な「私的通貨」となったとの理由からだ。
また、米憲法では、全米各州は、金銀以外のものを通貨(債務支払いの弁済)としてつかってはならないと定めている。これに沿って考えると、連邦議会が連銀に権限委譲してドル紙幣を発行することは合憲だろうが、ドル紙幣が金銀との交換性を持っていない場合、全米各州はそれを合法的に通貨として流通させられないという理由から、ロン・ポールは「ニクソン・ショック後、ドルは憲法違反の通貨だ。」と主張し続けている。
 
2011年初め、議会下院でポールが連銀の監督を担当する小委員会の委員長になった。
米議会では連銀に対する不信感が高まっており、米国民の4割は連銀の透明化を求め、2割は連銀の廃止を求めている。
不信が一定以上に強まると、ある時点で一気に顕在化し、破綻的な状況が突然に起こりうる。連銀に情報開示させ不都合な事実が世界に暴露させることで、ポールがその引き金を引く可能性がある。
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・米国崩壊を引き起こしかねない「ボストン茶会」
ポールは12年の米大統領選挙にも共和党から出馬を予定している。※
共和党に他のろくな大統領候補がいない中で、しだいにポールが重要な存在になり、マスコミも彼を無視できなくなってきている。 
 
大多数の国民が今の連邦体制に不満を持つようになると、合衆国の連邦は解体するか、もしくは地方分権が強い国に再編される可能性がある。
 
※ボストン茶会派(ティーパーティ派)について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
 『米国債務問題の今後を読み解く 2.ティーパーティ(茶会)派の動向〜』 [2]

 
 
③『「金・ドル体制」の終わり もうすぐ大恐慌』
 著者 副島隆彦 氏

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・予言① 円ドル相場 もうすぐ「1ドル=70円割れ」が出現する
円高・ドル安の動きは止められない。今年(2011年)の年末から年明けにかけて70円割れが起きるだろう。
    
・ドルは「突然死」する
円ドル相場は2012年から2013年にかけて、1ドル=70円割れの60円台で推移する。それから、さらに50円、40円台へと下落してゆく。
そして2015年に、米ドルは基軸通貨であることをやめる。それはドルの「突然死」の形で引き起こされる。この時に、金とドルの兌換が切断される。「金・ドル体制」(IMFと世界銀行の体制)が終わるのである。
  
・金1グラム=8000円ぐらいのところで、米ドルとゴールドの世界値段が切断される
ブレトンウッズ会議で金は「1オンス=35ドル」と決まったがが、70年たった現在、金のドルに対する価値は50倍になった。つまりドルの価値は「金・ドル体制」の開始時から50分の1に下落した。ドルはこれから先も、暴落しなければ済まないのである。なぜなら、いったいどれだけドル紙幣を刷ってしまったのかアメリカ政府にもわからないらしいのだから。
   
・2012年後半から米国債は暴落
安全資産である米国債が大きく値崩れ(国債暴落)をはじめるのは、ヨーロッパ債務危機がハジけて(爆発して)ヨーロッパ各国の大銀行が20行ぐらいバタバタと破綻する大騒ぎが起きる2012年の後半ぐらいからだろう。
欧米の大銀行が、これからバタバタと潰れてゆくのだ。まずバンク・オブ・アメリカ(メリルリンチがここに逃げ込んでいる)、そしてシティバンクとモルガン・スタンレー証券、ウェルズ・ファーゴ、アメリカン・エクスプレス、・・・などが破綻してゆく。日本も農林中金、野村證券、そして三菱東京UFJ銀行にまで破綻の危機が起きる。世界は金融統制体制(預金封鎖)になる。
それまでは、米国債の値段は何とか健全価格(年率2%の低利)であろう。
・NYダウの粉飾(ドレッシング)も弾が尽きた
2009〜2011年を株価の粉飾(ドレッシング)の、お手盛りの、PKO(政策的な価格操作)で押し上げていったが、債務上限問題やヨーロッパ金融危機に引きずられる形で株価は1万ドル台まで落ちている。
このあとNYの株価は1万ドルの大台を割り、9000ドル台、やがて8000ドル台へと落ちてゆく。そして2015年を目標に、アメリカの世界覇権は終焉してゆく。
このことは米国債の暴落および米ドルの暴落、金の高騰などによってもはっきりと形作られる。
  
・次のアメリカの大統領はジョセフ・バイデンでほぼ決まり
現在の副大統領であるバイデンが、訪中して8月18日、19日、20日に、中国の次の国家主席になることがほぼ決まっている習近平と徹底的に話し合ったようである。
G2の協議でこれからの世界の大きなことは決まってゆく。
おそらく来年(2012年)の3月ごろ(遅くとも7月までには)、バラク・オバマは、「私は一期で辞める。二期目の選挙には立候補しない」と発表するだろう。
オバマは「米ドルは、もう金との兌換はしません。できません。」の宣言をして、体調不良か何かを理由に辞任してゆくだろう。「金・ドル体制」の終わりである。%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%82%BB%E3%83%95%E3%83%90%E3%82%A4%E3%83%87%E3%83%B3.jpg

 

 
米ドル大暴落は2012年〜2013年と副島氏は言及しています。
バンカメが金融危機の引き金を引くという点は両氏、共通していますね。
それから、11月に行われる大統領総選挙(リンク [4])については、田中氏はティーパーティー派のロン・ポール氏、副島氏はジョセフ・バイデンが来ると読んでいます。
どうなるのか?今後が大変興味深いです。
 
それでは次回はラスト。世界経済どうなる!?です。お楽しみに
読んでくださってありがとうございました。

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