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近代市場の成立過程(18)〜現代の金貸し支配構造を確立したロスチャイルド家〜

 世界の金融、石油、情報機関、原子力、軍事、政治、食品、メディアを支配するといわれるロスチャイルド一族。
 次々と有力な実業家、政治家、貴族、他の銀行家や財閥たちと閨閥(妻の親類を中心に結ばれている勢力)をつくりながら、世界の産業界に君臨していきます。
 今回はそのロスチャイルド家について見ていきます。
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ロスチャイルド家創業者
マイヤー・アムシェル・ロスチャイルド

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■ドイツのゲットーで発祥し、欧州へ拡散
 ロスチャイルドの歴史ロスチャイルド家発祥の地は、ドイツのフランクフルト。ゲットーと呼ばれるユダヤ人の居住地区からこの一族の歴史は始まる。
 
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  ゲットーの風景
  
※ユダヤ人とは?
 ロスチャイルドは勿論、世界の有力な銀行家、政治家、官僚、シンクタンク、高名な学者、そしてマスコミ有力者、つまり世界を動かせる力を持った人たちの多くがユダヤ人。有名なところでいくと、スティーブン・スピルバーグ、アルベルト・アインシュタイン、ラリー・ペイジ(google CEO)などがいる。
  
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 しかしユダヤ人は、実はその定義さえハッキリしない。一般的に、古代イスラエルの12氏族のうちユダ族だった人達がユダヤ人ということだが、実際にはかなり複雑になっている。
 

【ユダヤ民族のDNAを持たず、改宗したもの】=「アシュケナージ系ユダヤ人」
【血の中にユダヤ民族のDNAを持つもの】=「スファラディ系ユダヤ人」
 →イスラエルからスペイン方面に逃げてきた有色人種
 
 ・マラーノ:キリスト教に改宗させられたり、改宗したふりをした隠れユダヤ人
 ・ミズラヒ:同じアジア民族に溶け込んだユダヤ人
 ・ホフ・ユーゲン(宮廷ユダヤ人):ヨーロッパの貴族階級に同化してゆき、特権を享受していた一部のユダヤ人

 ロスチャイルド家はこのホフ・ユーゲンたちである。
 時は18世紀後半の戦乱の時代。この時、高利貸しと呼ばれる金融業に身を投じたマイヤー・アムシェルは、戦乱のヨーロッパ大陸を死の商人として駆け回り、莫大な自己資産を得ることに成功し、その後マイヤーの5人の息子たちがヨーロッパ諸国へと散っていく。
 
1764年・・・初代マイヤー・アムシェルがドイツ・ロスチャイルド商会創設
1804年・・・三男ネイサンがイギリス・ロスチャイルド商会創設
1817年・・・五男ジェームズがフランス・ロスチャイルド商会創設
1820年・・・次男サロモンがオーストリア・ロスチャイルド商会創設
1821年・・・四男カールがイタリア・ロスチャイルド商会創設
(長男アムシェル・マイヤーは子に恵まれず、父よりフランクフルト家を継ぐも、1代で絶える)
 
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 左から、長男アムシェル、次男サロモン、三男ネイサン、四男カール、五男ジェームズの順
 
 この5人の連携が様々な戦争の場面で情報のやり取りを生んでいき、金貸し暗躍の仕組みを作っていく。
 
 
■ワーテルローの戦いでの大きな資産獲得→財閥の形成へ
 ロスチャイルド家がその資産を飛躍的に拡大させたのがこの戦いだった。1815年、皇帝ナポレオン率いるフランス軍と、イギリス=オランダ=プロイセン連合軍が戦った“ワーテルローの戦い”が起こった。誰よりも早く、そして密かにイギリス勝利の確かな情報を手に入れていた三男ネイサンは、ロンドン市場でイギリス国債を売りまくり、イギリス敗北を偽装するかたわら、秘密の代理店を使って、紙屑同然の値段となった国債を買いまくっていた。この出来事により、多くの投資家と、ほぼ全ての名門の家系が破産し、対してネイサンは約100万ポンドの利益を得たといわれている。
 情報を牛耳り、その操作によって市場を牛耳る、そういったやり口がここから確立されていく。
 
 
■蒸気機関車と株式市場→資本に加えて産業界トップへの君臨
 蒸気機関車と鉄道という産業技術によって革命が起きた。1830年に初めての鉄道が敷かれると、ウィーン家当主、サロモン・マイヤーが革命の重要性に気付き、その5年後にウィーンとボヘミアの間の鉄道事業に着工。さらにマイヤーはオーストリア皇帝から鉄道建設の特許状をもらい、イタリア、ハンガリーまでどんどんと鉄道を敷いていった。それと同時進行でパリ家も北方へと鉄道をドンドン広げた。
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パリ家ジェームズの北方鉄道敷設範囲
 
 ヨーロッパの民衆は鉄道の時代到来に熱狂的に同調。鉄道を引くための資金集めの手段として、債券・株式という投資・資金運用の大衆化が始まる。鉄道は、公共事業の側面が大きいため、皆から資金を集める真っ当な理由が見つかった、という表現もできる。これを機に本格的に株式会社制度と有限責任という考えが広まることとなった。
 ロスチャイルド家は鉄道債権を富裕層だけでなく、市民層にも公募して売るようになった。買った債券の値上がりにより大もうけする人が出現。それが過熱し、投機となり、暴落する、というバブル経済が1850年代にヨーロッパ全体を覆うことになった。
 この鉄道事業への参入によって、ロスチャイルド家は、ただの金貸しとしてだけでなく、産業資本家としての力もつけていく。
 
 資金を順調に蓄えていくロスチャイルド家は、3代目、4代目と経ていく中で徐々に現代の金貸しに通ずる支配構造を確立。国家間の戦いをあおり、戦争の中で双方の国家に莫大な金を貸し、どちらが勝っても必ず儲かるというシステムを日本にも持ち込み始めた。
■ロスチャイルド家に操られた明治維新
 1850年前後、日本と貿易を始めたロンドン家2代目当主、ライオネルは幕府の体制が古く、なかなか効率よく取引ができないことに苛立っていた。そこで地方の若者(この場合、薩摩藩・長州藩の下級武士)に資金と武器を提供し、クーデターを起こさせたのだ
 自分たちが教育し、支援した若者たちが政府を転覆し国を乗っ取っていく。伊藤博文もライオネルが育成した。そして彼らを通じて日本を支配し、有利な関係を結んでいく。
 一方でパリ家の当主、ジェームズはロンドン家の方法とは真逆で、幕府の支援側にいて、資金を援助していた。結果的には日露戦争以後、「貸し付けた金を返せ」と迫られる結果となる。明治政府はこのような中で創設された。リンク [1]
 
   
■日露戦争におけるロスチャイルド家の暗躍
 明治政府誕生から36年後の1904年、日露戦争が起こる。小国の日本が大国ロシアを相手に戦うことになった。
 この戦争は、有色人種が白人相手に勝利した初めての戦争ということもあり、 当時の日本国民はもちろん、白人の支配下にあった東南アジアをはじめとする植民地の国々は狂喜乱舞した。
  
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日露戦争イメージ図
 
 日本はこの戦争の戦費を調達するために、増税に次ぐ増税を国民に課した。さらなる戦費の調達に困っていた当時の日本銀行副総裁、高橋是清は日本の国債を外国に買ってもらうために、イギリス・アメリカへと渡る。この時点で高橋是清と松方正義は幕末にロスチャイルド家と結託し、創設されていた三井=ロスチャイルド家の総代理人となっており、ロンドン家3代目当主のナサニエルから資金運営のノウハウを教えられていた。
 
 アメリカでは、ロスチャイルド家と血縁関係のある大銀行家ジェイコブ・シフから500万ポンドの国債を買ってもらった。同様にイギリスではロスチャイルド支配下の銀行団から500万ポンド、さらにロンドンのナサニエルからも直接1000万ポンドの融資を追加で受けていく。
 
 このように戦費を調達した日本は、ロスチャイルド系列の軍需企業から主力戦艦・三笠(英・ヴィッカーズ社製:当時のお金で88万ポンド)などを購入し、ロシアと戦争をする。これらの武器は、南北戦争で武器が余っていたのを押し付けられていた。結果として日本はロシアに勝つものの、日本に戦費を貸し付け、自分たちの会社の武器を買わせ、ロシアを叩いた上で日本からも巨額の利子を取り上げるという構図になっていた。
 
 しかも、そもそもこの戦争の原因は、ロシアからの鉄道の拡張にあった。大連と旅順にまで鉄道を敷いてきて、ロシアと日本は結果衝突した。その鉄道の拡張に手を貸していたのは紛れも無くロスチャイルド家、特に鉄道を牛耳っていったパリ家と考えられる。
 
 
 戦争の種を見つけ、対立する双方に行動を起こすことで利益を生んでいく、そういった金貸し支配の構造を確立したのがこのロスチャイルド家なのだ。
 
 参考文献:『ロスチャイルド200年の栄光と挫折』副島隆彦
 
 次回は日露戦争に引き続き、ロスチャイルド家が暗躍したロシア革命について取り上げていきます。お楽しみに。

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