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大恐慌の足音・企業は生き残れるか?〜プロローグ〜

今年の春以降、パナソニック・シャープ・ソニーの三大家電企業の経営危機が幾度もメディアに取り上げられています。
 

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朝日新聞2012年9月14日

これは、液晶テレビ投資の失敗やサムスン電子など海外勢との競合敗北など個別要因もありますが、より本質的には、リーマン・ショック以来進んできた急激な市場縮小が、実体経済を遂に崩壊させ始めたとも考えられます。現に、この家電3社以外にも、日本通販の民事再生法申請や、スズキ米国法人の連邦破産法申請など、日本企業倒産のニュースが再び目立ち始めています。
 
もし、そうだとすると、これから2013年3月の決算、さらには来年度、再来年度に向けて、多くの日本企業が極めて厳しい情勢に追い込まれていく可能性があります。
そこで、今回のシリーズでは、有価証券報告書(決算報告)をもとに、幾つかの上場企業の経営状態に焦点を当て、今後どのような事態が予想されるのかを探ってみます。
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パナソニック、今年度に1万人程度削減 [2]
パナソニックが2012年度の1年間で1万人程度を削減することが分かった。
 4〜9月ですでに9000人近くを削減した。対象は国内外の従業員だが、大半は中国など海外の現地法人の社員という。
 パナソニックは13年3月期連結決算(米国会計基準)の業績予想で、税引き後利益を5月時点の500億円の黒字から7650億円の赤字に下方修正した。これに伴い、構造改革費用を当初見込みの410億円から4400億円に増やしており、今回の人員削減費用もその中に織り込んでいるという。
 業績悪化を受け、パナソニックは11年度に約3万6000人を削減した。12年度中には、欧州のスマートフォン(高機能携帯電話)事業からの撤退や、チェコとマレーシアの液晶テレビ工場の閉鎖など不採算事業の整理を進めている。

 
パナソニックの従業員数(連結)は約33万人。よって、この2年間で14%の従業員削減を強いられていることになります。
 
報道では、その大半が海外現地法人の従業員であるとし、日本人にはあまり影響がなさそうな印象ですが、H23年末のパナソニックの連結決算ではもっと深刻な状況が見えてきます。なんと自己資本が前年比3割の減少となっています。これは、このままならあと2年でパナソニックは債務超過に陥ることを意味しています。
 
次回の記事から、このパナソニックをはじめ、経営危機が叫ばれている家電3社の財務状況と、その経営悪化の原因をより詳しく見ていきたいと思います。
 
続けて、他の分野の企業はどうなっているのか。現在でも業績好調な企業にはどのような企業なのか、主要な業界の代表的な企業をリサーチしていきます。
 
(本シリーズで扱う予定の上場企業)
家 電:パナソニック/シャープ/ソニー
自動車:トヨタ/三菱
小 売:イオン/
用 品:ライオン/資生堂
教 育:ベネッセ/ナガセ
食 品:味の素/日清食品
金 融:野村證券/三菱UFJ
 
果たして、大不況の足音はどこまで迫っているのでしょうか?

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