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大恐慌の足音・企業は生き残れるか? 第2回 〜シャープ その2 救世主は現れるのか?〜

シャープの9月期決算で、その苦境がくっきり出てきました。
①メインバンクからの短期資金の調達、②堺液晶工場の切り離し、③大規模な人員削減、④建物等への担保設定が、9月期の有価証券報告書で確認できます。
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①メインバンクからの短期資金の調達
シャープの24年3月の短期負債は、23年3月に比べ大幅に増加しています。短期借入は2123億円で23年3月の1285億円から825億円の増、コマーシャルペーパーは3510億円で23年3月の1398億円から2112億円の増です。
これに加えて、9月中間決算の発表までに、メインバンクであるみずほ銀行と三菱東京UFJ銀行から3600億円の資金借入の枠を確保しました。
シャープが資金繰りの綱渡りに入っているのです。

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②堺液晶工場の切り離し
鳴り物入りで投資したが今やお荷物になっている『堺液晶工場』を、シャープ本体から切り離しました。具体的には、子会社シャープディスプレイプロダクト㈱の株式をファンド及び凸版、大日本印刷に売却し、連結対象から外しました。会社名も堺ディスプレイプロダクト㈱へと変更しました。この過程で、株式売却で一定の資金を確保しましたが、最大の資産(簿価1700億円の資産)を失っています。
目先に資金繰りの為に、虎の子の最新工場を手放したのです。

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③大規模な人員削減
8月の取締役会で、2000人規模の人員削減を決定しました。これも9月中間決算発表を控えてのことです。

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④建物などへの担保設定
シャープの経営状況が悪化しているために、資金供給している銀行などが、担保付でしか貸付しなくなっています。平成24年3月期にはまだ、194億円しか担保設定されていませんでしたが、24年9月期には、7406億円という巨額の担保設定がなされています。
担保設定に対象を見ると、たな卸資産に2010億円の担保設定、建物及び構築物に2586億円の担保設定です。たな卸し資産まで、担保に差し出すのは、企業としては経営悪化の最終局面だといえます。
シャープは現在、担保できるものを総動員して、資金繰りをしています。

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つい先日には、2000人を超える退職者が出たとの報道もありました
・苦境シャープ、2960人が会社去る 早期希望退職(2012.12.15) [6]
そして、非常に厳しい財務状況から、
・インテル、シャープ出資へ 最大400億円規模で調整(2012.11.14) [7]
・シャープに100億円出資へ 米半導体大手クアルコム(2012.12.5) [8]
という報道も出ています。
これらの資本提携は、シャープが持つ先端技術を生かしながらではありますが、一方で技術流出のリスクを高めてでも、今は出資先の確保に懸命になっている様子が伺えます。
まったなしの経営状況であるシャープの動向には、今後も目が離せない状況です。

さて、次回は同じ家電業界でも、今では映画やゲーム、金融分野の方がメジャーになるほど多角化した「ソニー」を見ていきたいと思います。

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