- 金貸しは、国家を相手に金を貸す - http://www.kanekashi.com/blog -

『素人にも分かる経済の真相』シリーズ〜リーマンショックで、なぜ世界経済は大打撃を受けたのか2〜

%E3%83%89%E3%83%AB%E5%B4%A9%E5%A3%8A.jpg
  
前回のエントリーで、2008年のリーマンショックの仕組みと、それによってなぜ世界経済が大打撃を受けたのかを、紹介しました。
 
リーマンショックから派生してギリシャ危機など2008年以降は、世界経済が非常に不安定な状態が続きました。そして2013年の現在、ニュースを見る限り世界経済は小康状態を保ち、比較的安定しているようにも見受けます。
 
リーマンショック以降のアメリカ経済は、果たしてどうなのでしょうか?そこで今回は、こうした世界的な金融危機が去った現在を観て見たいと思います。


■アメリカ経済は本当に立ち直ったのか
  
リーマンショック後の救済措置としてアメリカが行ったのが量的緩和政策QE-1、QE-2、QE-3です。量的緩和政策とは、こちら [1]を参照ください。
上記リンクによれば、2010年11月のQE2や包括的減税案(9000億ドル規模)のポリシー・ミックスにより、消費部門と生産部門には、回復基調が見られ、一方で雇用部門は低迷したままで、QE-2終了時点で失業率が9.1%と高止まりと分析しています。
雇用における課題は残るものの、概ね回復基調であるとの見方です。
果たして、本当にそうなのでしょうか?
 
 
以下、るいネット [2]より

大量の国債の発行と、銀行の借金を肩代わりのMBSの買い取りを支えたのが量的緩和でした。
量的緩和は、株や不動産などの資産バブルを起こして、最富裕層1%の債務を減らし、その収入増加に貢献しました。
もっとも大量に発行した国債の元本と利払いの支払いは、これから、長い年数をかけて残りの99%のアメリカ国民が働いて税金で返さないといけません。その支払いができなくなると結局インフレで債務を目減りさせるしかありません。それは、99%の富を奪うことになります。その頃、1%の最富裕層は、ドル建ての資産から他に分散させているでしょうが、貧困層は毎日の生活の必需品購入にすらこまることになります。
(中略)
QEは格差拡大を引き起こしました。それは国民の総消費を減少させアメリカ経済をさらに弱体化させました。
そして、それは社会を不安定にしました。
ここで、9月のQE縮小はないと再三予想してきましたが、実際、QEを早くやめるべきなのは当然です。

 
AP通信の最近の報道によると、リーマンショックあとの景気回復の恩恵は、最富裕層1%がそれをほぼ独占的に享受し、収入増加分の約95%を手にしたとも、上記リンクには記述があります。
 
 
つまり、量的緩和政策による恩恵を受けたのは、ごく僅かの富裕層であること、その他の人たちには、相変わらず厳しい暮らしを強いられているのが実態です。
 
 
 
■アメリカ新ドル発行の本当の狙い〜実はデフォルト寸前のアメリカ経済〜
  
実は、今この時期に、オバマは新ドルを発行するのではないか、との動きがあります。これは一体、何を意味しているのでしょうか?
 
るいネット [3]より
 

今回の新札発行の真の目的は別にあるのではないかという説がある。それを理解するためには、アメリカのデフォルト(財政破綻)直前の財政事情を考える必要がある。2007年11月の時点で、アメリカ政府の抱える累積赤字は54兆ドル(約5020兆円)に達し、米会計検査院は「返済の可能性は限りなくゼロに近い」と財政破綻宣言を行っていることを、読者はご存じだろうか?
この報告はブッシュ政権当時に出されたものであるが、政府は一切無視しなんら対策を立てることはなかった。その後、金融恐慌で事態はさらに悪化を遂げ、 オバマ政権へと引き継がれたものの、自動車のビッグスリーや大手金融機関の救済で、財政支出は雪だるま式に増大し今日に至っている。
その結果、2009年1月には累積赤字はなんと、65・5兆ドル (6100兆円)にまで膨れ上がってしまった。これは文字通り天文学的な数字であり、もはやどんなに逆立ちしても、まともな形では返済は不可能な額である。だからこそ、会計検査院が事実上の「デフォルト(財政破綻)宣言」を行っているのである。

 
同じく、るいネット [4]より
 

今までの旧ドル札は米国民であれば、いつでも無制限に新ドル札に交換します。ですから、旧ドル札はそのまま持っていてください。ただし、交換比率は00対0となり、新札の00分の1は金との兌換が可能となります。ただし、国外の旧ドル札については、一切新札ドル札には交換できません。(米国民は交換比率が1:1あるいはそれに準じた比率となる可能性も高い)
(中略)
ここで思い出すのが、先の大統領選挙期間中にバイデン副大統領が語った、「大統領就任から半年以内に、オバマ大統領は大変勇気のいる選択を迫られることになる」という不可解な発言である。今回の新札の発行時になるのか、 後のアメロの発行時になるか確かなことは分からないが、いずれにしろ、遠くない内に、オバマ大統領の新札発行とデノミ宣言を我々は驚きと共に耳にする ことになるかもしれない。 その時、「ニクソンショック」ならぬ「オバマショック」が世界を駆けめぐることは間違いない。

 
新ドル発行とは、つまりはその名を借りたデノミに他ならないことが分ります。
下のグラフをご覧ください。
 
chart.png
画像はこちら [5]よりお借りしました。 
 
アメリカの債務残高は、2008年を境に急上昇しており、今なお上昇傾向にあり過去最高になっていることがわかります。
 
こうした事実から、リーマンショック以降のアメリカ経済は、持ち直すどころか、急激に悪化の一途を辿っていることがわかります。
 
上記、新ドル発行は、それをもみ消すための手段と見てよいでしょう。
 
 
■果たして新ドル発行に踏み切れるのか
  
%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AD.jpg
 
一方でアメリカは、このような強攻策を取れないだろうとする説もあります。
以下、るいネット [6]より
 

ドル市場は巨大なので、直接的な市場操作はむずかしく、ユダヤ金融資本やアメリカ政府ではコントロールすることはさすがに厳しいです。
アメリカ政府ができることは他国の内政に干渉して、金融緩和の政策をとれと圧力をかけることだけです。アベノミクスによる円安でドルは多少延命することに成功しています。
ニクソン・ショックや、プラザ合意のような強行をする力は今のアメリカにはなく、アメリカの孤立化を更にすすめるためだけなので難しいでしょう。
ドル市場への直接の攻撃がむずかしいとなると、過去の歴史であったように米国当局が、市場規模が小さいゴールドを攻撃してくることはこれからもあると思います。為替安定基金や、金キャリトレードなどを利用して、ウォール街を実行部隊にしての市場介入です。
バーチャルマネーのドルの最大のライバルがリアルマネーのゴールドです。ゴールドはドルの代替通貨と認知されています。金価格の上昇は世界中のドルの信認低下のメルクマールになります。欧米の投資銀行やメディアの金への攻撃はこれからますます過激になってくると思われます。
ドルと金の戦いはいままでもずっと続いてきましたが、これらから先二年ぐらいがいよいよ勝負となります。

 
 
アメリカ経済(ドル)の現状を俯瞰してみれば、進行する悪化を止める有効な手立てが見えないまま、なんとか小手先でやりくりしていることが分ります。
 
これは、市場経済を根本で牛耳っている金貸し勢力でさえも、もはやコントロールしきれなくなっているということを示しています。
 
このような危うい市場経済システム(言い換えれば、金貸しの金儲けのためにつくられたシステム)に拠っているのが、今日の私達の姿ですが、これにかわる新しいシステムは、ないのでしょうか?
 
次回は、ここに論点を絞って考えたいと思います。

[7] [8] [9]