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新しい通貨のカタチとは?~(1) ビットコインとは一体何か?

近頃、世間で話題にすることが多くなったビットコインですが、どのようなものかご存知でしょうか。ビットコインは仮想通貨に分類され、特有の市場で利用できる通貨です。

仮想でありながら既存通貨システムに連動し、2011年に1BTC(ビットコインの単位)の価値が約0.3USドルから、2013年米国上院委員会で合法的な金融サービスとして認められた時には、その価値が900USドルまで上昇し、話題になりました。

次代の社会構造を探求する上で、この新たな通貨システムはどのような可能性を持っているのでしょうか。

日本では利用が少ないため、知られていないことが多いと思います。実際に、どのようなことが起こっているのかを紹介します。

 

以下引用(2014/04/16 日本経済新聞より)

『マウントゴックス、破産手続きへ ビットコイン取引所』

東京地方裁判所は16日、仮想通貨ビットコインの取引所マウントゴックス(東京・渋谷)の民事再生手続き開始の申し立てを棄却した。確定すれば破産手続きに移行する。同社はスポンサー企業を探し再建を目指していたが、再生の見込みが乏しいと判断したもようだ。

 東京地裁は保全管理命令なども出した。保全管理人には小林信明弁護士が就いた。小林氏は同社のホームページ上で「しかるべき時期に破産手続き開始の決定がなされることが予想される」とのコメントを出した。

 マウントゴックスは2月28日、東京地裁に民事再生法の適用を申請していた。同社の説明では顧客や自社で保有していた85万ビットコインが消失し、65億円の負債を抱えていた。消失額は当時の他の取引所のレート換算で約470億円。12万7000人の顧客のうち99%が外国人だった。

引用終わり

 

なぜこのような事態が起こったのでしょうか。ビットコインがどういうものなのか、まずはその発端から取引の方法について触れたいと思います。その前にポチっと応援お願いします。

◆ そもそもビットコインとは?

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ビットコインとは、インターネット上で流通する仮想通貨です。管理役である中央銀行は存在せず、利用者の承認さえあれば取引が行われます。日常生活で使っている金銭とは違い、発行者や管理者がいないため、国家からの経済的影響を受けない点や、取引における手数料が少ない点がメリットとされています。

考案は、2008年に暗号化メーリングリストへ投稿された「ナカモト・サトシ」名義の論文を基に行われたと言われています。入手するには、既存通貨からの両替や、サービスや商品の対価としてビットコインで支払いを受ければ取得することができ、複雑な演算を解くことで入手する「マイニング(採掘)」と呼ばれる方法があります。

では実際に、どのように運営や取引が成り立っているのか扱っていきます。

 

◆ 採掘とその方法

BITCOIN 決済システム [2]

取引において最も重要となるのは、採掘する人(採掘者)です。運営や管理をする人がいない代わりに、採掘者達が主に取引の確認や不正の管理をしていると概念的に考えられており、これにより運営が成り立っているとされています。

 ビットコインの取引とは、取引の1つ1つがブロックという単位で記録され、番号を用いて、ブロック同士がつながっており、これらを正しくつなぐためのkeyとなる値を使って取引記録が保管されています。

このkeyを探す人を鉱山から金を掘り出すことに例えて採掘者と呼ばれています。採掘者は新しいブロックを、以前のブロックにつなげることで、取引の承認を行っています。その報酬として新しく生成されたビットコインがもらえる仕組みとなっているのです。

このシステムが分散的に取引の改竄を防いでいる根幹であり、アイデアの肝だと言えるでしょう。全世界でkeyとなる値をひたすら試して、当たりをひくまでスパコン何台分もの計算が日々行われています。

採掘自体は誰にでもできますが、家庭用のパソコンで採掘をする場合、1ヶ月で約0.0017BTC(2014年4月現在、1BTCあたり約4万円なので、77円)となります。ただし、その際にはパソコンに対し、負荷が非常にかかり、機器の音や寿命、さらに電気代を考えるとまったく儲からないと考えられています。

 

◆ 不正と運営

how-to-mine-bitcoins [3]先述より、採掘者は間接的ですが、ビットコインのシステム運営(取引の承認作業)を手伝っていることになります。取引自体は、承認作業を終えて初めて受理されます。つまり、「未承認の取引」には二重支払があったり、もしくは偽造や改竄した取引であったりと、不正行為が生じることが予想されます。

もし、不正者(採掘者)が取引記録を改竄する場合、前後の取引の辻褄を合わせるために過去のkeyも改竄しなければなりません。しかし、このkeyを探すには時間がかかるため、容易に改竄はできず、key自体が連鎖しているため、改竄した部分以降のkeyを全部改竄しないといけないことになります。

不正者が改竄するために再計算する時間と、世界中の採掘者が正しいkeyを見つける時間とでは、どっちが早いかという競争になります。これにより、世界中の採掘者の計算パワーに対し、不正者は追いつかないだろうと考えられています。

しかし、そのためには、常に不正者を上回る計算パワーでkeyを見つけ続けることが必須となり、安全性を維持するためには、採掘者数が増加するか、毎日膨大な計算能力を注ぎ込む必要があるのです。

 

◆ 市場規模と流通

COIN MAP [4]<上記はCoin Mapより、ビットコインの利用できる店舗数>

では、ビットコインを使った取引は現在、どれくらいの規模なのでしょうか。

2014年4月現在、ビットコインの1日あたりの取引合計金額は約78万BTC(約390億円)に及びます。つまり、単純計算で年間約2.8億BTC(約14兆2532億円)となります。これは日本のスーパー業界の市場規模に近いと考えられます。(平成25年度のチェーンストアの総販売額は約12兆9524億円)

市場規模拡大の一方で、ビットコインの発行には限界があり、2140年には採掘をしても報酬が出なくなります。将来の採掘(運営・管理)はそれに対し、どのようになると考えられているでしょうか。

実際、取引には手数料が存在しています。これは取引した人自身が設定でき、採掘者はその手数料を別途報酬として採掘を行います将来、採掘をしても報酬がないことから、取引に対して採掘を行うメリットがなくなってくると考えられています。現在では、この手数料を基に今後の運営を検討しているようです。

このため、上限が決まっていることからデフレ経済と考えられており、ビットコインを手に入れたら手放さないことが想定されます。もし、ビットコインの流通が止まってしまった場合に、お金の流動がなくなることからビットコイン通貨圏が死亡してしまうことが懸念されております。

 

◆ まとめ

先述のマウントゴックス社破産のニュースについてですが、実際はクラッカー(ハッカー)の攻撃により、自社の所有するビットコインを全て流出し、倒産したと言われています。ビットコインの発行元がマウントゴックス社ではなく、あくまで両替所なので、倒産してもビットコインが使えなくなるというわけではないのです。

世界各国の規制動向まとめ(リンク [5])を見る限り、2014年4月現在では、ほとんどの国でビットコインに対して規制せず、課税をすることを条件に利用を認めようとする動きが多数です。

また、通貨の価値がビットコインよりも安定しない国では、信用性や容易性から利用しているようです。このように、利用者が少ないことから、価格の変動は大きいように感じられました。

懸念事項として

・ 採掘者の内に存在する不正行為

・ 2140年以降の採掘がなくなってからのデフレ経済や価格自体の不安定性

・ 匿名性によるブラックマーケットやマネーロンダリングへの用途

などが挙げられますが、これらが改善されれば、ビットコインのシステム自体は確立されているのではないでしょうか。

 

今後の動き次第ではありますが、事実、最近のビットコイン価格は下降しており、デフレよりも小さなインフレを起こしているように感じられます。また、Rippleといった仮想通貨の登場でビットコインが完成系というわけではなく、さまざま切り口から新しい通貨システムへの動きが伺えるかと思います。

この新しい動きの可能性を検証するためにも、これまでのお金のやり取りにはどのようなものがあったのかを調べてみたいと思います。手始めに次回は、クレジットカードについて取り上げます。

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