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プーチンと金貸しとの戦い(2) 歴史的考察① ウィーン会議

プーチンと金貸しとの戦いの背後構造を知るために、歴史的な考察から追求して行きます。ロシアと金貸し(ロスチャイルド)との戦いは、金貸しが国家を支配するようになったナポレオン戦争後のウィーン会議にまで遡るようです。

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 <ウィーン会議「会議は踊る」>

 

参考図書として、「世界を操る支配者の正体」(馬渕睦夫著、講談社)より、歴史の紹介部分を引用します。著者の馬渕睦夫氏は、元駐ウクライナ大使で、外務省では、イギリス、インド、ソ連(当時)、イスラエル、ニューヨーク総領事館、EC日本政府代表部などを歴任された方です。豊富な外交経験に裏打ちされた情報は、かなりの信憑性があります。

●国際金融勢力対ロシアの200年戦争

1. ウィーン会議

○ナポレオン戦争で巨大な富を築いたロスチャイルド
>ロシアの支配をめぐる国際金融勢力との戦いは、いまからちょうど200年前の1814年9月から、翌年6月まで続いたウィーン会議で始まったと見ることができます。ナポレオン戦争の後始末を話し合い、「会議は踊る」と揶揄された、あのウィーン会議です。

>ウィーン会議の目的は、ヨーロッパ全土を巻き込んだナポレオン戦争のヨーロッパ新秩序の建設であり、以後勢力均衡に基づくヨーロッパ協調体制ができました。これによってヨーロッパは1914年の第一次世界大戦までの約100年間、基本的には平和が保たれたというのが、歴史学者の間の通説です。果たして、この説は正しいでしょうか?

>ロシアとユダヤ金融資本家の役割を抜きにしては、ウィーン会議の真相はわかりません。

>ナポレオンをロシアから敗走せしめたロシア皇帝アレクサンドル一世は、戦後秩序の指導者を自任していました。そこで、キリスト教国による神聖同盟を提唱したのです。
>敬虔なロシア正教徒であるアレクサンドル一世は、ヨーロッパを戦乱に導いた諸悪の根源が国家の反宗教性にあるとみていたのです。ヨーロッパの支配者はキリスト教の紐帯によって国家間および国民との信頼関係を構築するべきであるとするのが、アレクサンドル一世の主張であり、このような紐帯こそヨーロッパの平和を保障するものであると考えたのです。

>当然のことながら、何よりユダヤ教を敵視するキリスト教国の団結という「神聖同盟」の構想に嫌悪感を示したのが、ロスチャイルドを筆頭とする国際金融勢力でした。ロスチャイルドたちの狙いは別にありました。それは、ヨーロッパ諸国を自分たちの金融勢力を使って支配することです。なぜなら、ナポレオン戦争というヨーロッパを疲弊戦争によって、巨大な富を蓄積したのがこれらの金融勢力だからです。彼らは、各国政府に戦争資金を貸し付けて、巨額の儲けを懐にしたわけです。

 

○ロシア皇帝が謎の不審死
>ナポレオン戦争を戦った諸国は戦勝国であれ、敗戦国であれ、すべて膨大な債務にみまわれます。債権者がロスチャイルド家であることは言うまでもありません。こうしてロスチャイルドはヨーロッパの実質的権力者となったのです。

>このように権勢を誇るロスチャイルド家によるヨーロッパ新秩序に従わなかったのが、ロシアのアレクサンドル一世でした。

アレクサンドル一世は当然のことながら、ロシアの中央銀行を設立すべきだとのロスチャイルドの提案にも同意しませんでした。(中略)ロスチャイルドの言う中央銀行とは民間の通貨発行銀行のことです。ロスチャイルドたち金融資本家は、イギリスを皮切りに各国に民間の中央銀行を設立していきました。世界の通貨発行権を握ろうとしたのです。各国の民間中央銀行を通じた世界支配。これが(中略)民間金融資本家による世界支配のための国際的ネットワークなのです。
ロスチャイルド家たちのヨーロッパ金融支配に挑戦したロシア皇帝アレクサンドル一世はやがて不審死を遂げることになります。(1825年旅行中に急死。)

 

○左翼革命運動と国際金融資本家の奇妙な連動
>1848年にはユダヤ人カール・マルクス(1818年~1883年)によって有名な『共産党宣言』が出されます。ユダヤ教徒を両親に持つマルクスの共産主義研究に資金援助をしたのは、ロスチャイルド家でした。
>資本主義を否定する研究に資本家の雄が援助するとは一見矛盾しているように感じられますが、実はそうではないのです。そこにはロスチャイルド流の深慮遠謀がありました。同時に、ロスチャイルドは共産主義とは対立する思想の研究にも援助を惜しみませんでした。
>その理由は、相対立する思想の力によって、イデオロギーの違いを利用、扇動して、人々を派閥に分割し、お互いを対立させることにありました。思想の力によって互いに戦い、破壊し合い、政治制度や宗教組織をことごとく破壊するように洗脳していったわけです。

<「世界を操る支配者の正体」元駐ウクライナ大使:馬渕睦夫著、講談社より引用>

 

現代に至る金貸しの戦略の原型はウィーン会議に見ることができます。

  1. 民間の中央銀行を通じて通貨発行権を握り、その金融力によって国家に金を貸して支配すること。
  2. 中央銀行支配に反対する国家指導者は抹殺すること。
  3. 対立する両勢力に金を貸し、情報操作(世論操作)を通じて戦争を煽ること。

などの手法は、すべてウィーン会議後のロシア支配の構造に当てはまります。

次回は、金貸しが、いかにして米国を支配するに至ったか、アメリカ南北戦争とリンカーン大統領暗殺の真相に迫ります。

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