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アメリカの金貸しは、ドル紙幣を乱発してぼろ儲け

『日本銀行』

学校の教科書には、「中央銀行は国家が暴走して紙幣を乱発する事を防止する為に、国家から貨幣発行権を切り離して、貨幣の番人を務めている。」と教えられる。
しかし、現実は、日銀総裁は国家の云うと入りに動き、紙幣を乱発して、国家は借金だらけになっています。

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つまり、上記の説明は、誰かが得をするために作った嘘だと云う事です。

では第二次世界大戦後の、ドル・円経済体制の経緯を俯瞰してみましょう。

■円天問題が示す、ドル・円経済体制の崩壊への道程
ドイツタロウD通信http://www.doitsu-tarou.com/ecg/2009/02/vol194-01a9.html#moreより

<前略>
かつて学校で金融の仕組みは政府が通貨を管理する、管理通貨制度に立脚していると我々は教わりました。そしてそれを実効性のあるものにするために、紙幣発行権を日銀という中立機関に委ね厳格に運用していると理解しておりました。

そしてこの中央銀行の役割は、政府が自分勝手な需要や甚だしきは、自らの欲望に基づいて紙幣を発行するのを制限するためであったのです。

一方硬貨については鋳造権を政府に残しております。どうしてこうしたかと言えば、紙幣は本来紙切れですので、高額紙幣をいくらでも、安いコストで印刷できる恐れがあるが、硬貨は製造コストが高く、その心配はないからでした。しかし今の政府と日銀の関係は上記とは明らかに異なっております。

当初米国もこの論理で動いておりました。即ち連銀は米国政府とは、中立した形で節度を持ってドル札を発行しました。そして金との兌換をも認めていたのです。

■戦後の荒廃した世界市場に、米国はドル紙幣を多発(国内融資)して生産力UP。
荒廃国にIMFでドル融資(紙幣の多発)して、米国商品を購入させる。

 

imf [2]

第二次大戦により、欧州や東アジアが荒廃して生産力を失うと、世界市場における、物資の供給は米国の独擅場であり、何もしなくても、いかに粗悪の製品でも簡単に輸出販売ができたのです。その上米国政府は国内産業をもっと伸ばして金儲けをしようと考え、連銀に対して積極的に紙幣の増刷を要請しました。しかしこれを渋る連銀に対して、この紙幣は米国内には供給しないのでインフレにはならないという条件を提示したのです。

その後大量に印刷されたドルをIMFを通じて諸外国にどんどん融資したのです。そしてその資金で米国製の商品を購入させたのです。これは我々が幼少の頃の記憶としてかすかに残っている、舶来信仰やアメ車ブームの背景です。しかし欧州特にドイツや日本の生産力が回復してくると、たちまちの内に米国製品は駆逐されました。

■ドルを多発したが、生産力で儲けられなくなった(貿易赤字)米国は、ドルと金との換金を廃止。
単なる紙切れに成るかもしれない紙幣に成った。

誰も粗悪製品には貴重なお金を費やしません、一方で本来豊かであった米国消費者は品質がよく安価な日本やドイツの製品を嗜好するようになりました。その結果、貿易赤字が拡大し、すでに大量に発行して融資総額部分を相殺しても逆鞘になったのです。それが71年のニクソンショック、第一回目のデフォルトの背景です。今まで無条件に金と交換されていた兌換紙幣ドルがこれをもって、不換紙幣となったのです。

■金の信用裏付けがなくなったドルを、強制的に使わせる仕組み(石油はドルでしか買わせない)を作った。その為に石油を支配(中東を武力で支配)した。
ただの紙切れ(金の裏付けなし)のドル紙幣が世界通貨に成り、ドルを刷るだけで(国家は赤字だが)金貸しはぼろもうけの仕組みだ。

オイルダラー [3]

 

その後は米国は戦略を変えました。
即ち世界中人々の現代的生活に絶対に不可欠な資源「原油」の支配を強化したのです。

これは例を挙げれば、人々が日常生活に必要とする食塩を政府が国家管理による専売制にして、それを購入するにはドルしか認めないとしたことと等しいことです。

具体的にはアラブ諸国の国王をそそのかして、ドルのみによる原油の販売体制を確立しました。一方では、それを良しとしない、イランのパーレビ政権を崩壊させ、そしてイスラエルに対して戦乱を起こさせ、戦争の恐怖を中東に植えつけたのです。

その結果、中東諸国はドルによる原油の販売に協力することになったのです。ペトロダラー体制の成立です。しかし一方で米国は自らのドルの増刷を抑制しようとはしませんでした。それはただの紙切れに価値をつけることの旨みを知ってしまったからです。

その結果、今まで外国に貸し出していたドルを、政府が自国民に貸し出すことを思いつきました。そしてクレジットカードなどの簡便な融資の仕組みを提供して、お金を持っていない層にまで消費を促したのです。結果として貿易赤字と財政赤字が極大化してきました。

■赤字国家のドル紙幣が暴落しないように、G5の支援体制を組ます。
特に(生産力が高く黒字の)日本は、ドル暴落しないように買い支えさせられる

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しかしその見返りとしてドルは世界中に供給され利用されました。米ドルが世界における唯一の基軸通貨になったのです。しかし負債も比例して増えました、そこでもはやどうすることもできない状況に陥った際、第2のデフォルトである、G5体制を組んだのです。

これはG5諸国に対してそれぞれを先進国としての立場を保証することの引き換えに、ドルの価値をともに支えることを要求したのです。これに真っ先に乗ったのが竹下総理が率いる自民党日本です。即ち本来価値が大幅に下落して誰も見向きもしない通貨ドルを買い支えることに協力し、その価値維持に努めたのです。そしてそれにあわせるために自国通貨円も同様に際限なく発行することを政策としたのです。85年のことです。

その後の日本銀行の立場は、以前の中立した状態からは程遠い状況となり、政府の要求に基づいて、際限なく聖徳太子、福沢諭吉を発行する機関と成り下がったのです。

■株式・証券市場で味を占めて世界中に広げる。
さらに、起爆剤は「信用創出」と云う持ち金の10倍以上の投資が出来る仕組みを民間にも開放。
①信用創出で10倍の博打
②コンピューターで高速処理(売り買いを短期間に何度も行い、膨大に儲ける)
③それを世界中で行い(金融市場のグローバル化=世界中を博打の賭場してぼろ儲け)

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ところでそれほど先進国が競って通貨を発行して、どうして世界インフレにならなかったのでしょうか?答えは簡単です。発行した余剰通貨の使い道を限定したからです。それはひとつには発展途上国支援と称する、在外支援。しかしこれは御承知の通り国内企業が落札しても結局本国に還流します。あるいは国外企業といっても他の先進国に還流します。そして二つ目は株式・証券市場への投資でした。その結果世界中の企業は大して業績を上げていないのに関わらず、自社株の株価がどんどん上がるという状況になり、この体制は世界の国家、企業の支持を得たのです。

そこでこの成功に自信を持ち、旨みを感じた拝金主義の支配者アングロプロテスタントがその牙をむき出します。この後の動きこそが正しく円天がモデルにした仕組みです。即ち通貨の発行権の一部即ち紙幣以外の信用創造権を連銀から、金融機関に委譲したのです。

これは金融における規制緩和とも言い換えることができます。具体的には1万円の預金を手にした、金融機関は自動的に10万円の信用創造が可能という、レバレッジ信用創造権を認めたのです。当初は定期預金など流動性の少ない預金に限定されていましたが、すぐに流動性が高い、当座預金へと拡大解釈が認められ、ほんの一瞬でも現金が口座を通過すれば自動的に10倍の資金の融資が可能となったのです。ただしこれを先進国すべてが行えば、アングロプロテスタントのメリットは得られないので、この権利を自らが独占したのです。

その結果ニューヨークのウオール街とロンドンのシティーに本社を置く一部の投資銀行にのみ国際業務が集中したのです。これを我々は米英の金融立国化と呼んでおります。一方で日本や独、仏等の企業には自国など地域を限定した上で同様の信用創造即ちレバレッジ発行権のおこぼれが認められたのです。

その結果世界中の株式市場はウオール街とシティーにより牛耳られることになりました。そして世界の株式債権市場は彼らが手にする湯水の如くの資金の投資対象となり乱高下したのです。一方先進国をはじめ多くの受益国家は、これらの詐欺的行為を正当化するため、IT技術などの環境の整備を行い、一般投資家を育てることもしました。しかし手元に100万円しかない個人投資家が、その数億倍の資金を持っている投資銀行に勝てる訳がありません。その結果多くの個人投資家はなけなしの資産を失ったのです。

金貸しは世界中で博打をしてぼろ儲けしたのですが、世界中の国家は借金だらけに成ってしまった。
そして、米国が借金だらけでドル紙幣は、何の裏付けもない事を、皆が心配し始めている
(=いつ、暴落するか、秒読み段階である事を皆が心配している)

 

 

 

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