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反グローバリズムの潮流(カタルーニャ独立問題その後、EU・中央政府は強硬路線)

kimura20171031103201-thumb-720xauto [1]10月1日に住民投票が行われ、独立賛成が多数を占めたスペイン、カタルーニャ地方の独立問題、その後の状況を調べてみました。

10月28日にはカタルーニャ州議会が独立動議を賛成多数で採決し独立を宣言。これに対してスペイン政府は直ちに上院の承認を受けてカタルーニャ州の自治権はく奪、直接統治。31日にはスペイン司法長官がプチデモン州知事ら計20人を国家反逆罪、扇動罪(最高刑期15年)、公金不正使用罪(同6年)で訴追、プチデモン州知事はベルギーに逃亡、11月4日にスペインの裁判所はプチデモン州知事の逮捕状をだし、11月5日にはベルギーの司法当局はプチデモン州知事らの身柄を拘束しました。そして本日11月8日、スペイン憲法裁は州議会の独立宣言を憲法違反であり無効」として取り消す決定を下しました。

今後の動きですが、自治権はく奪により解散されたカタルーニャ州議会の選挙が12月21日に行われ、新たな州政府の下で自治権が回復される見込みです。ここで、注目なのが、再度、独立派が政権を握った時の対応です。さすがに、独立と言った強硬手段はとらずに自治権の拡大に向けてスペイン政府と協議をすると予測されています。

少し驚いたのは、カタルーニャ独立を巡る、EUの対応が非常に冷淡だったこと。プチデモン元州知事はEUの本部があるベルギーに逃亡しましたが、スペインから逮捕状がでるとベルギーはすかさず身柄を拘束してしまいます。

東欧諸国で国家の分離独立が頻発した時期には、EUは独立を支持する側に回っていましたが、今回は完全に反対の対応を取っています。東欧諸国の分離独立は、共産圏から離脱し自由主義圏=EUへ参加する動きにつながっていました。ところが、今回のカタルーニャの独立は、EUの統合を揺るがしかねないので、反対している訳です。自由や人権などと言った理念で動いているのではなく、市場の覇権という私利私欲で動いていることは明らかです。

そもそも、脱EUの動きが加速しているのは、EUがかつてのソビエト連邦のように、連邦各国にとって不利益をもたらす存在になって来ているからにでしょう。ソビエト連邦が崩壊したように、EUが崩壊するのもさほど遠くないのかもしれません。

 

■カタルーニャ州がスペインからの独立を宣言2017年10月28日 [2]

スペイン・カタルーニャ自治州議会(定数135)は27日、独立に関する動議を賛成多数で可決し、スペインからの独立を宣言した。中央政府は直後に上院の承認を受け、カタルーニャ州の直接統治に動き、自治をはく奪した。スペインのラホイ首相は、平静を呼び掛けるとともに、カタルーニャ州に法の支配が戻るとの認識を示した。

欧州連合(EU)のトゥスク大統領は、独立投票に伴う変化は無く、中央政府のみを対応相手とする方針を示した。米国、英国、フランス、ドイツも直ちに独立宣言を一蹴、スペイン統一維持に向けたラホイ氏の取り組みに支持を表明した。

■カタルーニャ、独立反対デモに30万人 国の一体性主張2017年10月29日 [3]

スペインからの独立運動が続く北東部カタルーニャ自治州の州都バルセロナで29日、独立反対派が、スペインの一体性を訴えるデモをした。「市民は独立派だけではない」とし、州政府幹部らを解任した中央政府への支持を訴えた。自治権が次々に停止された週末を受けて30日、実務がスムーズに中央政府側に引き渡されるかどうか注目される。

中央政府は州政府の権限を奪う手続きを進めている。27日以降、州議会を解散し、プッチダモン氏や州警察の制服組トップらを解任。州首相職は中央政府のラホイ首相が代行し、サエンスデサンタマリア副首相が実務を担う。

■カタルーニャ独立問題、神出鬼没プチデモンのゲリラ戦に翻弄されるスペイン首相2017年10月31日 [4]

マドリードではこの日、ホセ・マーサ司法長官がプチデモンと閣僚、カルマ・フルカデイ州議会議長ら計20人を国家反逆罪、扇動罪(最高刑期15年)、公金不正使用罪(同6年)で訴追する180ページもの起訴状を読み上げた。

ちょうどその頃、BBCのキャスターが驚いたように「州政府庁舎から空を写し、『おはよう』と書き込んだプチデモンは仏マルセイユに車を走らせ、飛行機でブリュッセルに移動した。弁護士と面談していると思われるが、ベルギー内相が政治亡命を受理して審査しているかもしれない」と中継した。プチデモンは閣僚5人と国境を越えたらしい。マドリード(中央政府)もメディアも完全にプチデモンの術中にハマっている。

自治権を剥奪された州議会が粛々と解散され、独立派3党は戦う方針を表明した。直近の世論調査では独立派3党が42.5%、独立に反対するスペイン統一派(ユニオニスト)が43.4%。12月の州議会選挙は大接戦になる見通しだ。

■スペイン裁判所、カタルーニャ州前首相らに逮捕状2017年11月4日 [5]

スペインの裁判所は3日夜、スペイン北東部カタルーニャ自治州の独立運動を主導し、反乱罪などに問われているプッチダモン前州首相ら元州幹部に対する逮捕状を出した。ベルギー・ブリュッセルに滞在している同氏は法的に抵抗する構えを見せており、スペインへの身柄の移送には時間がかかりそうだ。

■スペイン・カタルーニャ独立問題 ―「EUは死んだも同然」とカタルーニャ語ネットサイトの創始者2017年11月4日 [6]

独立支持を表明する、カタルーニャ語のニュースメディア「ヴィラ・ウェブ」の創設者・編集長ビセント・パータル氏(56歳)に現状分析と今後を聞いてみた。

カタルーニャ州は独立を宣言し、合法的な政府は存在するが、その政府はいわば亡命状態にあるという解釈だ。政府閣僚の半数はカタルーニャにいて、残りの閣僚はブリュッセルにいるからだ。

もしEUがカタルーニャの側にいないとしたら、外に出るだけだ。問題ではない。近い将来、英国もカタルーニャもEUから出ているかもしれない。EUは死んだと思う。

「ブリュッセル」(EUの本拠地が置かれている場所だが、EU全体あるいはその官僚体制を意味することもある)には政策はあるが、政治家はいない。欧州委員会のユンケル委員長も含め、官僚たちはEU市民に選ばれたのではない。それなのに、EUの政策を決めている。民主的ではない。国のレベルでは政治家はいるが、政策を決められないーEUの政策がこれを上書きするからだ。矛盾がある。ブリュッセルには欧州の国民の声を気にしている人は誰もいない。選挙で選ばれた人たちではないからだ。

10年前、私たちはEUを見て、完全に機能していると思ったものだ。スペインは好景気で、ユーロを導入し、東欧諸国もEUに入った。10年後、状況は変わった。英国がEUを去りつつあり、国境間の検査も広がり、ユーロは失敗だった。問題は、EUがカタルーニャをどうするかだ。これまでと同じことをやるのか。

■プッチダモン前州首相ら5人拘束 カタルーニャ独立主導2017年11月6日 [7]

スペインからの独立運動を率いて憲法違反を重ねたとして、スペイン司法当局から「反乱罪」などの容疑で逮捕状が出ていたカタルーニャ自治州のプッチダモン前州首相と州の元幹部ら4人について、ベルギーの司法当局は5日、身柄を拘束した。判事が聴取し、6日午前(日本時間同日夕)までに逮捕状を執行するか保釈するかを決める。

5人は5日午前、ベルギー警察に出頭したという。逮捕されても異議の申し立てができるため、スペインへの身柄引き渡しには2~3カ月かかる可能性がある。逮捕・送還となれば、独立派の反発は必至だ。

■カタルーニャ独立派がスト、道路や線路封鎖混乱広がる2017年11月9日 [8]

スペイン北東部カタルーニャ(Catalonia)自治州で8日、独立派の元州政府幹部らの拘束に抗議するストライキが独立派の労働組合の呼び掛けで実施された。州内各地の道路や線路が封鎖され、混乱や反発が広がった。

スペインからフランスなど欧州諸国への輸出経路となっている道路を含む主要幹線道路では約60か所が封鎖され、州内の広い範囲で交通が乱れた。州都バルセロナの主要駅サンツでは数百人が線路を封鎖。

■カタルーニャ独立宣言は無効=憲法裁、中央政府を追認-スペイン2017年11月9日 [9]

スペイン憲法裁は8日、東部カタルーニャ自治州議会が10月下旬に採択した一方的な独立宣言について、「憲法違反であり無効」として取り消す決定を下した。宣言を一切認めていない中央政府の判断を追認する形となり、州内の独立派住民は反発を強めそうだ。

■カタルーニャ、独立派連合見送り 前州首相の呼び掛けに応じず2017年11月9日 [10]

スペイン北東部カタルーニャ自治州の独立問題で、12月21日の州議会選挙へ向けた参加政党の登録が8日、締め切られ、独立派3政党は選挙連合の結成を見送った。ベルギーに滞在中で保守系の独立派政党を率いるプチデモン前州首相の呼び掛けに左派、極左の独立派が呼応しなかった。

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