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反グローバリズムの潮流(オーストリアで極右派が参加する連立政権樹立、EU離れが加速)

img_f76107efca97f9a9bb2ae108a877cb2e2004853 [1]昨年10月のオーストリア総選挙では、EUの移民政策に反対する国民党が第1党となり、極右派の自由党との連立協議に入りました。反グローバリズムの潮流(オーストリア総選挙、右派と極右で連立協議) [2]。そして昨年の12月には国民党と自由党の連立政権が樹立されました。オーストリアはその後、どんな状況になっているのか調べてみました。

まず、大きく変わったのが移民政策です。具体的に次のような政策が採用されています。
-難民申請の際には、手持ちの現金と携帯電話を当局に渡すこと(没収した現金は難民申請者の基本的なケア費用にあて、携帯電話のデータは身元確認に利用する)。
-難民申請を却下された者は直ちに国外追放とする。
-Asylum(亡命、庇護)は、一時的な保護だけとする。
-難民申請者が決定を待つ間、現金を支給せず現物支給(宿泊と食事)とする。
-現在国中に適用されている医療上の秘密性は、外国から来た難民たちに持ち込まれた病気が基本的な健康管理に関連している場合は認めない。

また、EUの移民政策に対して、オーストリアとハンガリーの首脳がウィーンにて会談を行い、共同で対抗していくことを誓い合いました。移民の流入経路となっているバルカン・ルートの閉鎖、及び、EU国境管理の厳格化を話し合ったそうです。

そして、EU政策です。第1党の国民党クルツ党首は、EUとの協調関係を主張し、反EUを掲げていた自由党も選挙公約からEU離脱の国民投票実施を取り下げた経緯があり、EUとは強調するものと思われていましたが、連立政権は移民問題以外でも反EUの動きが強くなってきています。

具体的には、イギリスでロシアの亡命スパイが暗殺された事件で、欧州連合(EU)は英国への「無条件の連帯」を掲げてロシアへの強硬姿勢を鮮明にしました。しかしオーストリア、ギリシャ、キプロスの3カ国は対応を見送りました。クルツ首相は「我々は永世中立国でロシアと良好な関係を保っている。(欧露間の)橋渡しをすることができる」と親ロシア姿勢を打ち出しています。

また、中国にベレン大統領、クルツ首相を含む、戦後最大規模の訪問使節団を派遣しました。訪問の主要目的は中国とオーストリア両国の関係強化、特に、経済関係の拡大が中心です。フランスやドイツが、中国の「一帯一路」政策には懸念を示している中で、オーストリアは使節団を派遣しました。

EUの中でも、東欧諸国はロシア、中国との関係を強くする方向に転換していますが、西欧諸国はこれまで反ロシア・中国で統一されていました。西欧に属するオーストリアは新政権下でロシア、中国との関係を強め始めており、今後の動向が注目されます。

■国境警備強化へ 右派、連立政権合意で2017年12月17日 [3]
10月のオーストリア国民議会(下院)選で第1党となった中道右派・国民党のクルツ党首と第3党となった極右・自由党のシュトラッヘ党首は15日、連立政権樹立で合意したと発表した。オーストリアは西欧で唯一、極右政党が政権に参加する国となる。自由党の政権入りは12年ぶり。厳しい難民・移民政策や国境警備の強化などが導入されるとみられ、欧州連合(EU)各国の政策に影響を及ぼしそうだ。
国民党は親EU、自由党はEUの移民、経済政策を批判する立場だが、クルツ氏はEUとの連携については自身が担い、その他の外交を自由党に担わせる方針だ。
■オーストリアで新連立政権発足、極右参加 抗議デモは小規模2017年12月19日 [4]
オーストリアで18日、中道右派の国民党と極右・自由党による連立政権が発足した。現在、極右政党が政権を担う西欧諸国は他に存在せず、オーストリアが唯一の国となる。ナチスの元党員が設立し、反移民を掲げる自由党が前回入閣した2000年には、大規模な抗議デモが行われたが、今回はデモは小規模にとどまった。警察によるとデモ参加者は5000─6000人。主催者側は最大1万人とした。
ドイルのメルケル首相は、オーストリアのEU政策の展開を見極めると述べた。また「クルツ首相は欧州で積極的なパートナーとなる意図がある」とし、これを歓迎すると表明。
■オーストリア「極右丸呑み」政権誕生の衝撃 EU議長国の外相が「反EU」という悪夢2017年12月24日 [5]
クルツ党首は、元々中道右派だった国民党を右寄りにシフトさせる姿勢を明らかにしたが、これを機に、国民党の支持率はうなぎ上りに上昇していった。行き着いたところが10月の総選挙である。それまで第三党だった国民党は一気に第一党に躍進、自由党との間の連立交渉に臨むこととなったのである。
さて、その自由党とはどういう党か。かつて、イェルク・ハイダー党首の下、ネオナチ的な極右政党として勇名をはせた記憶は生々しい。2000年、自由党は国民党との連立政権に参加、EUから厳しい批判を浴び、連立政権は5年の後崩壊した。
自由党はポーランドやハンガリーの極右政党との連携強化を主張している。とりあえずはEUの難民政策が大きな影響を受けることになろう。
閣僚名簿は人々を驚かすに十分だった。何と、自由党が副首相に加え5閣僚ポストを握ったのである。しかも、その中には外相、内相、防衛相という政権の中枢のポストが含まれていた。中でも人々が驚いたのは、自由党が内相と防衛相の両方を取ったことである。つまり、自由党は警察と軍を握ったのである。
■広がる懸念 オーストリア政権、移民政策に影響も2017年12月27日 [6]
厳格な難民抑制策を掲げるオーストリアの中道右派・国民党と極右・自由党による連立政権が発足したことを受け、隣国ドイツでは、欧州連合(EU)による難民受け入れ政策などへの影響に懸念が広がっている。
両党の連立合意では、難民申請者から所持金を取り上げ滞在経費に充てることや、身元確認のための携帯電話検査など、厳格な難民対策が盛り込まれた。また「治安対策」として、一定の法的基準を満たさないイスラム教徒向け保育園や私立学校の閉鎖についても合意している。
独社民党のポスト党連邦議会会派副代表は独紙ウェルトに「オーストリア・ハンガリー帝国の再来だ」と発言。EUによる難民割り当てに応じず、イスラム教徒受け入れに反対するハンガリーのオルバン首相と、クルツ新政権が連携することに警戒感を示した。
■オーストリアこぼれ話 難民政策を厳格化2018年1月9日 [7]
選挙中から、国民党のクルツ党首は難民問題に対する厳格な対応を主張していましたが、新政権発足後、具体的な政策が発表されました。
-難民申請の際には、手持ちの現金と携帯電話を当局に渡すこと(没収した現金は難民申請者の基本的なケア費用にあて、携帯電話のデータは身元確認に利用する)。
-難民申請を却下された者は直ちに国外追放とする。
-Asylum(亡命、庇護)は、一時的な保護だけとする。
-難民申請者が決定を待つ間、現金を支給せず現物支給(宿泊と食事)とする。
-現在国中に適用されている医療上の秘密性は、外国から来た難民たちに持ち込まれた病気が基本的な健康管理に関連している場合は認めない。
自由党のシュトラーヒェ副首相は自身のFacebookで、「オーストリアで一日も働かず、社会保険料も払わない移民が何千ユーロもの福祉金を手にすることはもう起きない」と述べています。
 ■それでも極右政党は躍進した2018年1月31日 [8]
オーストリアのニーダーエスターライヒ州で28日、州議会(定数56)選挙の投開票が行われた。同国で昨年末、クルツ首相が率いる中道右派「国民党」と極右政党「自由党」の連立政権が発足したが、その後の最初の選挙ということから、同州議会選の動向が注目されてきた。
結果はヨハンナ・ミクル=ライトナー州首相が率いる国民党が得票率約49.64%、過半数の29議席を獲得し、圧勝した。それを追って、社会民主党が約23.92%の得票率(2.3%微増)で第2位につけ、選挙戦では得票率と議席の倍化を目標としてきた自由党は得票率では14.76%(6.6%増)に留まったが、議席数では前回(2013年)比の倍の8議席を得た(投票率約66.47%)。
選挙結果で注目される点は、やはり自由党の躍進だ。選挙結果が判明した直後の記者会見で、同党のウド・ランドバウアー州党首は、「わが党は選挙終盤、メディアのネガティブな反自由党キャンペーンにさらされたが、議席の倍を成し遂げた」と勝利宣言をする一方、「反自由党キャンペーンでわが党がどれだけ損失したか明確な数字はまだないが……」と述べ、ナチス・ドイツを賛美した歌集が見つかったという報道で自由党がダメージを受けたことを暗に認めている。
■オーストリア&ハンガリー首脳、EU移民政策への反対&国境管理の厳格化で合意2018年2月5日 [9]
先週火曜日、オーストリアとハンガリーの首脳がウィーンにて会談を行い、EUの移民政策に対して、共同で対抗していくことを誓い合った。右派として知られるオーストリア首相セバスティアン・クルツ氏は、同じく保守派であるハンガリー首相オルバーン・ヴィクトル氏との協議において、移民の流入経路となっているバルカン・ルートの閉鎖、及び、EU国境管理の厳格化を話し合ったという。
また、クルツ氏はEUによる移民割り当て制度も批判し、EU加盟国への圧力を止めるよう訴えた。
■<元スパイ襲撃>対露でEU温度差 大使召還の見送る国も2018年4月10日 [10]
英国で起きたロシア元情報機関員の暗殺未遂事件で、欧州連合(EU)は英国への「無条件の連帯」を掲げてロシアへの強硬姿勢を鮮明にした。しかし加盟国別では24カ国が露外交官の国外追放や自国の駐露大使の一時召還を決める一方、オーストリア、ギリシャ、キプロスの3カ国は独自の対応を見送った。こうした温度差はEUが検討する対露追加制裁の行方に不確実性を与えている。
我々は永世中立国でロシアと良好な関係を保っている。(欧露間の)橋渡しをすることができる」。オーストリアのクルツ首相は地元メディアに独自の外交方針を貫く理由をこう説明した。クルツ氏率いる国民党は、ロシア寄りの極右・自由党と連立政権を発足させた。クルツ氏の判断は、ロシアのプーチン大統領率いる与党・統一ロシアと協力関係にある自由党への配慮との見方もある。
 ■中国の「人権問題」どうでもいいの?2018年4月10日 [11]
オーストリアのアレキサンダー・バン・デア・ベレン大統領は7日から6日間の日程で中国を国賓訪問中だ。オーストリアからは約170人の経済界関係者を含む250人の使節団が随伴。その中には、セバスチャン・クルツ首相(8日合流)のほか、カリン・クナイスル外相、ノルベルト・ホーファー運輸相らクルツ政権から4閣僚たちが含まれている。今回の訪問使節団の規模は同国戦後、最大という。

訪問の主要目的は中国とオーストリア両国の関係強化、特に、経済関係の拡大が中心だ。国賓訪問中、約30の商談(総額15億ユーロ)の基本合意書が署名されるほか、両国の関係強化を明記した基本文書が締結される。

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