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国際情勢の大変動を見抜く!-29~米朝首脳会談は、トランプが民族自決の北朝鮮との協調を持ちかけた~

 

米朝首脳会談 [1]

著者は、「米朝首脳会談は金正恩の後ろ盾:金貸しが手を引いた結果である」としていますが、当ブルグでは別の観点から考察したいと思います。

首脳会談の意図としては、自国ファースト:民族自決を目指すトランプ大統領が、最初は敵対関係であったが、北朝鮮と関わる中で、北朝鮮という国が長い間に渡ってそれを実践してきたということが分かり、急速にトランプが近づいたという見方はできないだろうか。

 

著書では、金貸しが「世界のトラブル・メーカーとして国際干渉政策場利用価値のある北朝鮮を温存」としているが、それだけの理由で北朝鮮支配を行ってきた根拠してはやや薄い感じがする。朝鮮戦争が金貸しによる策略という点はその通りだが、北朝鮮支配するにはメリット少ない。

 

北朝鮮に対する歴史的事実としては、以下に紹介する『るいネット』の投稿が辻褄が合う。

>北朝鮮は、一貫してアメリカの軍事圧力、経済封鎖圧力に晒されてきたが、日本の支配層の様な隷従・属国化の道を拒み、民族自決・徹底抗戦の道を選んだ。(参考:『北朝鮮の核武装をどう見るか?~民族自決の闘いを貫徹。頭がおかしいのは卑屈な属国根性が染みついて何も見えなくなっている日本の政府・マスコミ。実は米軍は張子の虎。戦えば北朝鮮に負ける』 [2])

 

その他、トランプがシリア空爆に踏み切ったのは、就任間もないトランプの止む無き対応とのこと。反対勢力やネオコンによる対プーチン戦略に対する「アリバイ工作」とのこと。なるほど。

 

また、対中国に対する対応ももしかすると「アリバイ工作」か?ジャック・アタリの中国衰退の「預言」(実は計画)から金貸しは中国を見限るつもりなのは分かる。トランプの対中国経済戦略も攻撃的。だが、トランプが金貸しの戦略をそのまま忠実に遂行するようには思えない。

 

今後は、この辺りに留意し追求していく。

 

『知ってはいけない現代史の正体』(馬渕睦夫 著) [3]からの紹介です。

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■2018年 米朝首脳会談

 

◇通説   :米朝首脳会談は、北朝鮮が制裁解除と経済支援を望んで開催された。

◇歴史の真相:米朝首脳会談は、金正恩の後ろ盾・国際金融勢力が手を引いた結果である。

 

●朝鮮半島統一のシナリオ

 

前述したとおり、1950年に始まる朝鮮戦争はアメリカ、イギリスとソ連が仕組んだ八百長戦争でした。得をしたのは戦争資金を融資した国際金融資本家と、武器を売って儲けた軍需産業のいわゆる「軍産複合体」です。彼らの先兵であるネオコンは、世界のトラブル・メーカーとして国際干渉政策場利用価値のある北朝鮮を温存してきたのです。

 

ところが、トランプ大統領は国際干渉政策を否定し、各国ファーストを唱えるナショナリストです。だから、トランプの北朝鮮政策は、北朝鮮が自国民の利益を考える体制に移行させることを目指しているのです。つまり、「北朝鮮ファースト」です。結局、それまで相次ぐミサイル発射などでアメリカを正面から挑発してきた北朝鮮の方が突如として態度を変え、2018年6月、シンガポールで史上初の米朝首脳会談が開催されました。これはつまり、北朝鮮・金正恩の後ろ盾だった国際金融勢力が手を引き、金正恩が孤立したということを意味します。

北朝鮮情勢は、アメリカ国内におけるトランプ陣営と反トランプ勢力の代理戦争です。金正恩を裏で実質的に支配していた国際金融勢力は反トランプ勢力の急先鋒です。彼らは金正恩を見限りました。どういった経緯があったのか、それを知るためのカギを握るのが、2018年1月のダボス会議つまり世界経済フォーラムの年次総会です。

 

●ネオコンとの取引

 

2018年1月のダボス会議にはトランプ大統領が出席しました。ここで、トランプと国際金融勢力との間に水面下の取引があったと考えられるのです。取引には当然見返り条件というものがあります。トランプ大統領にはいくつかの妥協がありました。

 

第一の取引と思われるものは、シリア問題での妥協です。シリアにおける内戦の模様がメディアでクローズアップされるようになったタイミングは、奇しくも朝鮮半島情勢の鎮静化と呼応しています。反トランプ勢力はトランプに対してシリアへの本格的な介入を要求し、トランプはやむを得ずこの要求をのんだ可能性があります。

 

その伏線は前年にありました。2017年4月6日、アメリカがシリアの軍事施設を巡航ミサイルで空爆しました。反体制派地域に対してアサド政権が化学兵器を使用した、というのが空爆の理由です。アサド大統領が化学兵器を使用した事実は確認されていません。

 

私はこのニュースに耳を疑いました。ISISを掃討するためには、ISISと正面から戦っているアサド政権とロシアとの協力が欠かせません。シリア空爆は、従来のトランプの姿勢を180度転換したと受け取られても仕方のない暴挙です。

 

それに、アメリカの空爆は侵略行為であり国際法違反です。しかし、G7諸国の議論も、世界の主要メディアも議論も、アサド大統領の化学兵器使用を前提として、アメリカの空爆を擁護しました。どうもスッキリしません。アサド政権を倒すために空爆したのであれば、「アラブの春」戦略と同じです。トランプが批判してきたヒラリーの国際干渉主義路線に戻ったことを意味し、選挙公約違反であり、国民への裏切りです。

後でわかりましたが、この空爆には別の狙いがありました。

 

●シリアの空爆の狙い

 

シリアの空爆の狙いとは何でしょうか。3つのポイントがあります。

 

第一に、空爆の成果は小さいものでした。トランプ大統領はアサド大統領を口汚くこき下ろしましたが早期退陣を明確には求めていません。一応空爆しました、という「アリバイ工作」です。

 

第二に、空爆はフロリダでの米中首脳会談の時期に合わせて実施されました。ミサイル発射実験を重ねる北朝鮮への警告です。加えて、北朝鮮を庇護してきた中国に対する、北朝鮮に対して具体的な行動を取るようにという「最後通牒」です。習近平は石炭輸入の禁止を徹底するなどの措置を取ったようです。従来のアメリカ政権の温存政策に浸ってきた北朝鮮にとって、トランプ大統領の本気度は驚天動地のショックだったに違いありません。

 

第三に、ロシアへの計算された配慮です。二時間前とはいえ、一応空爆の事前通報をロシアに行いました。空爆直後にはティラーソン国務長官が訪ロしてプーチン大統領やラブロフ外相と会談しています。

 

つまりトランプの目的はアサド政権転覆にはありません。対露強硬派である共和党主流派に対するガス抜きだったと私は考えています。元ベトナム兵のマケイン上院議員に代表される共和党主流派にはロシアを宿敵とみるネオコンの考えに近い人が多くいます。

 

ネオコンはかつてイラク戦争を仕掛けてフセイン大統領を失脚させました。東欧カラー革命を操り、親米政権を次々に樹立しました。「アラブの春」を演出したのもネオコンです

 

大統領就任後間もないトランプとしては、共和党の足元を固める意味からもある程度ネオコンと妥協する必要があり、ロシアに対して政治的・軍事的に多少の対立が生じるのはやむを得ないと判断したのでしょう。

 

それから1年後の、2018年の4月に、ダボス会議での「取引」に従い、トランプ大統領は同じ理由でシリアを空爆しました。ネオコンとしては、アサドが内戦に勝利し、ロシアが中東で存在感を増すことはどうしても阻止しなければなりません。国際金融勢力の世界戦略が実行部隊であるネオコンの最大のターゲットはプーチンです。プーチン大統領は、ネオコンの世界戦略つまりグローバル市場化による世界統一に立ちはだかる存在です。

 

アサド潰しはプーチン追い落としに繋がります。ネオコンの背後にいる国際金融勢力にとっては、中国に深く依存している北朝鮮などより、プーチンが全面的にコミットしているシリアの方が重要である、ということです。

 

ダボス会議におけるトランプ大統領と国際金融勢力との第二の取引として、中国のあくなき対外膨張を抑止するとの妥協が成立したと考えられます。先にも触れたジャック・アタリの、2025年までに中国共産党の一党独裁は終わる、という予言は、グローバル勢力は中国共産党を見放したということを示唆しています。

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