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反グローバリズムの潮流(イギリスのEU離脱、何が変わったか)

magperi200203_Britain-thumb-720xauto-183009 [1]1月31日に、ついにイギリスがEUを離脱しました。とは言っても、これからおよそ1年は離脱移行期間で企業活動も市民生活もすぐには何も変わりません。それでも、何か変わったのではないか、調べてみました。

マスコミ報道を見ていると、相変わらずEUこそが正義で、EUを離脱したイギリスは今後苦労すると言う論調が大半を占めています。確かにその通り、苦労するのかもしれません。しかし、国民が選んだ道です、苦労することの何が問題なのでしょうか。

イギリス国民がEUを離脱したのは、その方が国家運営が上手く行くと考えたからだと思いますが、国家運営にとって一番大事なのは何でしょうか。それは、自らの手で、自らの国家を運営していくことだと思います。 EUと言う巨大な組織に所属してれば、アメリカや中国との交渉もやりやすいかも知れません。しかし、諸外国との交渉を主体的に担わなくなった段階で、国民の能力は間違いなく低下していくと思われます。

苦労すると言う事は、それだけ一人一人が能力を磨くことであり、苦労を避けていて成長はありません。巨大組織に守られて何も考えない国民が増えれば、国が衰弱していくことは間違いありません。

イギリスは、EUと言う疑似巨大国家の属国になることで得られる安楽を捨てて、苦労したとしても自らの手で自らの国を運営していく道を選んだのだと思います。マスコミ報道で、EU離脱派は離脱すれば上手く行くと考えているようだが、世の中そんなに甘くないと良く言いますが、離脱派はそんなことは分かっていると思います。マスコミは、こんな課題がある、あんな課題があると、いかに困難かを並べ立てていますが、逆に言えば、今までEUに決められて自分たちで考えられなかった多くのことを考えることが出来るようになるのです。

冒頭にも書きましたが、EUを離脱しても当初は移行期間中で実質的には何も変わりません。しかし、国民の意識は、離脱するかしないかという堂々巡りを脱出し、さあ何をやろうかと、未知の課題に向かっていく希望と活力が生み出されて来ているようです。

 

■英EU離脱がもたらす「今後起きること」と「変わらないこと」2020年2月1日 [2]

政治権限。英国は名目上だけはEUに加盟し続けるが、金融サービスから欧州産自動車の定義まで、EUの最終的な方針を決める会合で投票権を失う。

市民。ジョンソン氏は、ブレグジット後にオーストラリア方式の入国管理制度を導入する意向。これにより、高度な技能を持つ人を受け入れながら、非熟練労働者の流入を禁止できるという。

企業と税関。移行期間後は、英国の関税が適用されるのは第三国から北アイルランドに向かう製品に限られる。EU市場に向かうとみなされる製品は、英当局がEUの関税を徴収する。

貿易。英国は他国と自由貿易協定(FTA)交渉を開始することができる。英政府にとっては、同国の貿易額のおよそ半分を占めるEUと、米国とが、最優先の協議相手だ。

金融。英金融サービス業の将来のEU市場へのアクセスがどうなるかは、英国とEUが真っ先に話し合う問題の1つで、6月末までに結論を出さなければならない。英政府は自国の規制体系について、EUに域内と「同等性」があると認定してもらい、金融サービス業がEU市場にアクセスを継続できる道を開きたい考えだ。

■独立スコットランドのEU加盟に「共感」元EU大統領2020年2月3日 [3]

イギリスは1月31日にEUから正式に離脱した。一方、スコットランドは2016年の国民投票でEU残留を表明しており、自治政府のニコラ・スタージョン首相は、イギリスからの独立に向けた住民投票の実施と、EU加盟を目指している。トゥスク前欧州理事会常任議長は、独立したスコットランドのEU加盟は喜ばしいことで、EU側も熱意があるとした。

■関税だけじゃない、EUを離脱したイギリスを待つ試練2020年2月3日 [4]

EUとカナダが「包括的経済貿易協定(CETA)」の締結に向けて動きだしたのは、2004年3月。署名にこぎ着けたのは2016年10月だった。しかも、協定はまだ全面的には発効していない。

貿易交渉というと、関税と数量制限のイメージが強いが、これらは交渉テーマの一部にすぎない。そのほかにも、さまざまな規制や手続き、補助金、税制、為替操作などによって輸入品が締め出される場合がある。環境保護や労働者保護、食品の安全確保、植物検疫、知的財産権の保護などが輸入制限の隠れみのに用いられたりもする。

■ブレグジット後にイギリスが解決すべき5つの問題2020年02月3日 [5]

1. EUとの通商協定締結。イギリスもEUも協定の締結を望んでいるが、膨大なタスクが残されている。漁業権、公正な競争、欧州司法裁判所(ECJ)の役割といった課題で、両者の間にあつれきが生じると予想されている。移行期間中に「合意なし」となることも否定できない。その場合、今年の年末に新たな英・EU危機が訪れることになる。

2.イギリスの安全保障の確保。イギリスはEU脱退により、EU域内の組織犯罪を捜査する欧州警察機構(ユーロポール)の首脳陣に参加できなくなる。この影響で、海峡を渡ってくる密入国者や武器の密輸入など、イギリスにとっての優先課題が、徐々にユーロポール側で後回しにされるかもしれない。

3. 食べ物の流通を止めない。食品産業ではたらく人の3分の1は外国籍で、その多くが東欧出身だ。必要な移民労働者の数が確保できなくなったら、どうなるのだろうか?貿易面でも、ブレグジットによって国境で物品検査が開始されれば、追加の費用がかかるだけでなく、生鮮食品の消費期限が短くなってしまう。

4. 世界で新たな役割を築く。政府は今までよりも独自の外交政策を策定しなくてはならない。欧州各国とは、EUの仕組みを通じてではなく、もっと小規模な既存の外交グループを通じて、新しい関係を築くことになる。外交政策で最も困難なのは、EUという後ろ盾がない中で、存在感を増す中国と防衛策に走るアメリカの間をどう切り抜けていくかだ。

5. あれだけ議論しただけのことはあったと証明する。EU離脱派は、EUから取り戻す権限をできるだけ早く、最大限に行使したいと思っている。しかし私たちは今、移行期間という出発ロビーにいる。この期間は、ほとんどのことが現状維持のまま続く。イギリスが愚かな道に歩みだそうとしていると今も考える有権者はいる。首相官邸が求めている通商協定を年末までに締結するのは、ともかく無理だという大きな懸念も広がっている。

■「EU離脱はチャンス!」 英国伝統“陶器の街”はかつての繁栄を取り戻せるのか2020年2月4日 [6]

イングランド中部の美しい街、ストーク・オン・トレント。日本でも人気の「ウェッジウッド」など伝統的な英国の窯元が集まる「陶器の街」だ。EU離脱をめぐる2016年の国民投票で、ストーク・オン・トレントの7割近くの住民が「離脱」に投票した。ここはイギリスで最もEU離脱を支持した地域なのだ。ストーク・オン・トレントの陶器産業は1930年代に最盛期を迎え、およそ300の工場が街に並んでいた。しかし、国際化の波におされ、現在は15の工場が稼働するのみだ。

次々と職が失われていく中、「EUを離脱すれば街が変わる」という空気が支配的になっていった。イタリアレストランを経営するオーナーは「ここ最近特に景気が悪くなったと感じる。移民政策に予算が費やされたからだ。EU離脱の日を前にワクワクしている。これでイギリスが自由に予算もルールも決められる。時間がかかるかもしれないが景気は回復すると思う」と全面的に離脱を支持する姿勢を見せた。

ジョンソン首相らEU離脱派は、イギリスがEUの制限を離れ、日本やアメリカ、中国など世界各国と自由貿易協定を結ぶことでイギリス経済はさらに成長すると主張してきた。しかし、その前提としてEUをはじめとして各国と自由貿易協定が結ばれなければならない。「陶器の街」がかつての繁栄を取り戻すことができるかは、まだ不透明だ。

■英建設業PMI、1月は予想上回る48.4 2018年4月以来の大幅上昇2020年2月4日 [7]

1月の英建設業購買担当者景気指数(PMI)は48.4となり、前月の44.4から大幅に上昇した。好不況の分かれ目となる50は依然として下回っているものの、前月からの上昇幅は2018年4月以来の大きさ。

調査の回答者の一部は、EU離脱を巡る政治的な先行き不透明感がある程度払拭されたことで、新規のプロジェクトが動き始め、顧客企業の支出が増えるかもしれないとの期待を示した。

 

■国民も政治家も疲れきっている。「EU離脱」後のイギリスで変わったこと、変わらないこと2020年2月6日 [8]

「なんだ、こんなものだったの?」イギリスが欧州連合(EU)から離脱した日の翌朝、そのあまりのあっけなさに多くのイギリス国民がこう思ったはずである。「何も変わっていないじゃないか」と。2020年12月末までは「移行期間」となり、年内にEUと急いで自由貿易協定を締結させる必要があるものの、当面は離脱前の状態が維持される。

しかし、離脱直前から現在までに大きく変わったことがある。それは離脱派と残留派との熾烈な闘いがひとまず終わったことだ。国内のとげとげしい雰囲気がだいぶ消えつつある。議会は政府側の提案する離脱案を否定するばかり。残留派の国民でさえも最後にはほとほと嫌気がさすほどの「決まらない・決められない議会」だった。もはや離脱を果たしたので「離脱するべきか、しないべきか」という堂々巡りの議論をする必要がなくなった。

ようやくイギリスは「さて、どのようにEUと貿易交渉をしていくか」と考える実務段階に入った。しかし、先行きは本当に不透明だ。

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