- 金貸しは、国家を相手に金を貸す - http://www.kanekashi.com/blog -

ロシアでコロナウイルス感染者が激増、日本を追い越し今も増加中。

5e7d35b21d35d2738245 [1]中国と同じ共産主義国で、その権威主義的体質から、国民の活動を制御することで、コロナウイルスの感染拡大を抑えているとされていたロシアですが、3月下旬から感染が急拡大しているようです。ロシアではいったい何が起こっているのでしょうか。 

ロシアの感染者数が激増しだしたのは、320日ごろのようです。317日に114だった感染者が322日に367人に到達し、その後、331日には計2337人(死者17人)、43日には3548人(死者30人)、44日には4231となっています。 

同じ日の日本の感染者を見ると [2]317日は809322日で既に1015人でロシアを圧倒的に上回っていましたが、331日には2119人でロシアが上回り、442855人ですので、その差はどんどん開いています。プーチン大統領が、「非労働日」を45日から430日まで延長したのも、この急拡大に危機感を感じたからでしょう。 

なぜ、ロシアでコロナウイルスが急拡大したのか、報道を見ていても原因を推測している情報はありませんが、一つ考えられるのは、ロシアはコロナウイルスにうまく対処できているという油断があったのかもしれません。 

320日ごろから感染が拡大し始め、326日にプーチン大統領は1週間を非労働期間にするとし、国民に自宅にとどまるよう呼び掛けましたが、この時点で、ロシアが2─3カ月以内にウイルス流行を克服し、通常の状態に回復できるとの認識を示していました。しかしモスクワのソビャニン市長は、プーチン大統領に対し、市内の新型コロナ感染者数は公式発表をはるかに上回っているとの認識を示し、両者の間には危機感の断絶がありました。 

そして、この1週間の非労働期間に人々は自主隔離よりも、南岸での休暇を選んだそうです。28日のモスクワでは、人通りは少なかったが、沿岸部のカフェやレストランではテラスを設置しているところすらあり、1週間の全国的な休暇のあとには生活が元通りになるとみなが考えていた、との報道もあります。その後も、プーチン大統領がアメリカにマスクや人工呼吸器を送ったり、感染した医師と濃密接触したといった報道もあり、43日の「非労働日」の期間延長まで、問題を過小評価していたのかもしれません。

 

■「新型コロナ」を好機に変えたプーチンの強かさ2020319 [3]

ロシアは欧州で大規模感染が広がってしばらく経った後の317日段階でも、感染例は114事例に押さえられており、中国と長い国境を接し、欧州とも接していることを考えれば、封じ込めにはかなり成功していると言ってよいだろう。この封じ込めの背景にあるのは、ロシアの権威主義的な強権体制であると言ってよいだろう。ロシアは1月末から公共の場でのキスや抱擁を禁じ、2月に入るや中国・ロシア間の列車の運行の停止、中国からの外国人流入の一時的制限を発表し、20日には中国人の入国禁止が発効した。

なお、感染拡大国から帰国したにもかかわらず、2週間の自己隔離を行わなかった者については、厳しい罰則、具体的には最大5年の刑期を課すとし、徹底した封じ込め体制をとったのだった。

そして、3月初旬に医療用マスク、手袋、包帯、防護服の輸出が一時的に禁止され、10日から人々がラッシュアワーに公共交通機関を利用したり、ショッピングモールや公共の場所になるべく行かないようにしたりすることが推奨されるようになった。加えて、12日からは410日までの5千人以上の大規模なイベントが禁止され、企業が在宅勤務を認めるようになった。

今年の115日にメドヴェージェフ内閣が総辞職し、同日、プーチンは「憲法改正案」を発表した。その主柱となるのが、大統領の任期を連続2期ではなく、通算2期に変更すること、そして、国家評議会の権限を強化することであった。311日に大どんでん返しが起きた。ロシア下院が、憲法改正法案を審議する第3読会(本会議)を開き、プーチンの5選出馬を可能にする改憲法案を可決したのだ。第2読会での演説で、プーチンは経済や安全保障上の安定のために「強力な大統領による(権力の)垂直構造が絶対に必要だ」と述べ、それは事実上、5選目への決意表明と受け止められた。新型コロナウイルス問題で社会情勢が不透明化し、経済の不安も大きくなる中、プーチンの発言はポジティブに受け止められた。今後、422日の国民投票に付されるが、賛成となることはまず間違いなく、改憲が成立するだろう。プーチンは新型コロナウイルス問題と石油価格問題という2つの地政学的リスクに直面しながらも、そのピンチをチャンスに変えて、自身の権力体制を維持するシステムを構築してしまった。

■新型コロナでの五輪延期論をも味方につけるロシア プーチンは国益を譲らない2020324 [4]

前回317日のコラムでは、ロシアでは今のところ新型コロナウイルスの流行は比較的軽微であるということをお伝えしました。15日までの情報にもとづいて執筆したものでしたが、実はその後、ロシアでの状況は大きく変わりました。感染者数は加速的に増加し、22日までに367人に到達。もちろん、感染の中心地とされているような国に比べれば、まだ桁違いに少ないものの、ロシアももはやパンデミックと無縁ではなくなってきたことは確かでしょう。

ところで、新型コロナウイルスの大流行に関連して、筆者が注視している問題の一つが、東京オリンピック・パラリンピックにおけるロシア選手団の処遇です。2019129日、世界反ドーピング機関(WADA)は、ロシアがドーピングに関連する重要なデータを改竄したと認定し、今後4年間の五輪・パラリンピック、世界選手権などへの同国選手団の参加を禁止することを決定しました。世界がコロナウイルスによって麻痺してしまったことによって、皮肉にも、ロシアには時間的余裕が生じました。これからロシアがその時間を活かして、自国スポーツ界の浄化に最大限の誠意を示せば、ロシア選手団が東京五輪・パラリンピックにフル参加するようなことも、あながち不可能ではないかもしれません。

■プーチン「新型コロナウイルス数カ月で克服可能」 国際線停止・商店閉鎖へ2020327 [5]

ロシアのプーチン大統領は26日、新型コロナウイルス感染防止に向けた厳格な措置を講じれば、ロシアが2─3カ月以内にウイルス流行を克服し、通常の状態に回復できるとの認識を示した。モスクワのソビャニン市長は今週、プーチン大統領に対し、市内の新型コロナ感染者数は公式発表をはるかに上回っているとの認識を示した。

感染拡大防止に向け、モスクワと周辺地域の当局はこの日、全てのカフェやレストラン、食料品店や薬局以外の商店の営業を一時停止する措置を発表。28日から少なくとも45日まで実施される。また、国際線全便の運航も停止される。プーチン大統領は前日行ったテレビ演説で、来週1週間を非労働期間にするとし、国民に自宅にとどまるよう呼び掛けた。

■プーチン大統領「終身大統領の夢」コロナで停滞2020327 [6]

ロシアのプーチン大統領が来月22日に予定された憲法改正の是非を問う国民投票を延期した。この投票を通じて自身の「終身大統領」を合法化しようとしたが、新型コロナウイルスの感染者が続出し、投票強行は難しいと判断したとみえる。タス通信などによると、プーチン氏は25日、国民に向けたテレビ演説で、「重要なのは国民の健康と安全だ」とし、「国民投票を延期する必要がある」と明らかにした。

■ロシア 30日から国境閉鎖 新型コロナウイルス感染拡大防止で 2020329 [7]

ロシア政府は、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、今月30日から国境を閉鎖すると発表しました。ロシア政府はこれまで、国内の感染者はヨーロッパなどに比べると少ないとして、事態はコントロールされていると強調していました。しかし、28日には感染者が合わせて1264人に上るなどこのところ急増していることを受けて、出入国を全面的に禁止する措置に踏み切りました。

■ロシア議会、「反ウイルス」法案を可決 隔離に背くと禁錮7年も202041 [8]

ロシアでは現在、感染拡大を抑えるために厳しいロックダウン(封鎖)が行われている。今回決まった法律では、隔離のルールを守らなかった場合、最大7年の禁錮刑を科される。一連の修正案で最も厳格な7年の禁錮刑は、新型ウイルスに感染している人が隔離から逃げ出し、それによって他の人が亡くなった場合に科される。また健康な人でも、自宅にとどまる命令に背いただけで多額の罰金を科せられるほか、流行に関する危険なフェイクニュースを拡散した場合には最長5年間の禁錮刑を受ける可能性もある。

プーチン大統領が「仕事をしない1週間」を送るよう国民に求めたとき、人々は自主隔離よりも、南岸での休暇を選んだ。28日のモスクワでは、人通りは少なかった。しかし、沿岸部のカフェやレストランではテラスを設置しているところすらあり、1週間の全国的な休暇のあとには生活が元通りになるとみなが考えていた。そうした中、29日夜にモスクワ市長が、即時ロックダウンを発表。市民は重要な仕事か、近くの薬局あるいは食料品店への買い物、100メートル以内でのペットとの散歩以外の外出を禁じられた。

■プーチン氏が「自主隔離」 接触した医師がコロナ感染202041 [9]

ロシア大統領府は1日、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、プーチン大統領が側近らとの接触を避け、会議などの業務を遠隔で行うと発表した。プーチン氏と面会した医師の感染が確認されたためで、ウイルスの検査も毎日行うという。

■マスク品切れでも米国支援 他国優先に不満の―ロシア202043 [10]

ロシアのプーチン政権が新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化する米国を支援するため、マスクや人工呼吸器などの医療機器を送ったことをめぐり、ロシア国内で不満が出ている。ロシアも3月下旬から感染者が急増。マスクの品切れ状態が続く中、「他国民優先」の政権の姿勢を疑問視する声が相次いでいる。

プーチン大統領は3月30日にトランプ米大統領と電話会談した際に支援を提案。ロシアによる米大統領選介入疑惑などで米ロ関係の険悪な状態が続く中、プーチン氏としては関係改善を模索する意図もあるとみられる。物資を積んだ輸送機は1日にニューヨークに到着。輸送費用は米ロで折半したという。

■ロシア「非労働日」30日まで延長 新型コロナ対策で202043 [11]

ロシアのプーチン大統領は2日、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、5日までとしていた自宅待機を求める「非労働日」を30日まで延長すると発表した。地方自治体に外出禁止などの予防措置を5日までに決定するように指示した。非労働日は有給で、薬局やスーパーなど生活に必要な店、政府機関は除く。状況次第で期間の短縮も検討する。

プーチン氏は「国民の職と収入を維持することが重要だ」とも強調した。すでに失業手当の引き上げや収入が急減した場合のローン返済、中小企業の納税を延期するなどの救済策を打ち出しているが、長期にわたる非労働日の決定で、経済の打撃に対する懸念も強まりそうだ。

感染者の7割が集中するモスクワ市など20以上の自治体がすでに外出禁止などの措置を講じている。隔離措置に違反した場合の罰則を最大禁錮7年に引き上げる厳罰化や、感染の疑いがある人を追跡するシステムの導入も進め、感染拡大に警戒を強めている。

■ロシア 1日の感染者582人 コロナウイルス202044 [12]

ロシアの昨日の新たなコロナウイルス感染症例は582件となった。コロナウイルス感染拡大対策本部が発表した。1日当たりの症例数としては前日よりも19人少なかった。これで全国の感染者は合計で4231となった。新たな感染者は32地域で確認された。

■「新型コロナ」感染急増でプーチン大統領も「危機一髪」202047 [13]

徹底した水際作戦で「新型コロナウイルス」の封じ込めに成功していたロシアで、この数日感染者が急増。331日には計2337人(死者17人)となり、日本の2119人(死者59人)を初めて上回った。43日には3548人(死者30人)に増加。首都モスクワが全体の約3分の2を占めており、セルゲイ・ソビャーニン市長は、「実際の感染者は確認された数字をはるかに上回る」と警告した。

422日に予定されていた、大統領の5選を可能にする憲法改正国民投票も、コロナ問題が収拾するまで無期延期となった。原油価格暴落に伴う経済危機の到来やプーチン人気の低下も伝えられ、コロナ禍はロシアの内外政策に憂鬱な事態となった。

外出禁止令は、約半数の40地方自治体で導入され、最も厳しいモスクワでは、必要不可欠な労働者や、医療機関で治療を受ける者を除き、最寄りの店への買い物や100メートル以内でのペットの散歩以外は外出が禁止された。飲食店もほぼすべて閉店となった。

外出禁止令により、飲酒などによる家庭内暴力(DV)が増加し、警察沙汰になる事件が増えているという。ロシアの受刑者は50万人を超え、刑務所内の爆発的感染が予想されることから、一部受刑者の釈放が検討されている。

コロナ禍とともに、政権には不都合な世論調査が出てきた。調査機関「レバダ・センター」の最新調査では、国民の32%が、プーチン氏は4期目の任期が切れる2024年に引退すべきだと回答し、続投支持(27%)を上回った。大統領の任期を延長する改憲に対しては、47%が反対、46%が賛成で、拮抗している。新型コロナ禍や原油価格下落による経済危機、社会の閉塞感が、支持率低下につながりつつある。今年1~3月のロシアの株価は37%下落し、主要国で最大の下げ幅となった。

[14] [15] [16]