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スペイン政府がベーシックインカム=BI導入を閣議承認。世界はBIに向かう。

AFP040136_00_qui [1]スペイン政府がBI導入を閣議で承認しました。コロナウイルスによる経済悪化で貧困に陥る国民を救うためです。この流れは世界に広がるのか、コロナ以降の各国BIに対する取り組みを調べてみました。

まず、コロナ問題を受けて世界で最初にBI導入の検討を表明したのがイギリスのジョンソン首相です。次いでアメリカのトランプ大統領は国民への現金給付も含む経済対策を検討し、BIを公約に掲げて大統領選挙に立候補したアンドリュー・ヤン氏に相談したと報道されています。日本でも所得が減少した人に30万円を給付する方式から全国民に一律10万円を給付する方式に切り替えました。

コロナウイルスに対する経済対策で現金を一律給付する政府は、他にも多くあると思いますが、一律国民に給付するという点ではBI的な行動ですが、これまでは一時的な給付であり、恒久的なBIではありません。さて、この一時的なBIは本当に一時的なままで終わるのでしょうか

まず、世界的な経済の悪化は、今始まったところです。1回だけ、10万円を配っただけで経済が急回復し失業者が減るとは考えられません。各国政府が実施した1回だけの給付では、経済の悪化は食い止められず、世界経済は今よりも悪化していくことは、ほぼ間違いないと思われます。

既に、ドイツでもアーティストを中心にBIを求める活動が始まっています。日本でも竹中平蔵氏がBIの導入を提言しています。今後、経済の悪化に伴って、一時的な給付金を恒久化する=BIの導入を求める声は、世界的に広まっていくとみて、ほぼ間違いなさそうです。

その時の財源問題ですが、日本では今回の一時給付金の財源として国債を発行し、同時に日銀は4月27日の金融政策決定会合で、「年80兆円」としてきた国債の買い入れ上限を撤廃しました。英国でもコロナ危機下で、イングランド銀行が国債を直接買い入れて政府支出を行う「直接的な財政ファイナンス」の導入が計画されています。国の借金の増大がインフレにつながるという定説が誤りであったことは、リーマンショック後の世界経済が証明しており、これまでBIの実現を妨げてきた財源問題も説得力を失っています

スペインに続いて、各国がBIを導入する可能性、もしくは導入せざるを得なくなる可能性は、かなり高そうです。

  

■ベーシックインカム検討 英首相 感染拡大の景気対策2020319 [2]

イギリスのジョンソン首相は18日、国が無条件で国民に一定額を支給し、最低限の所得を保障する「ユニバーサル・ベーシック・インカム」を導入する可能性を議会で問われたのに対し、「それは考慮すべきアイデアのひとつだ」と述べて、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた景気対策として検討する考えを示しました。

■国民に現金を給付、米がコロナ経済対策で検討 ベーシックインカム提唱のヤン氏も協力2020年3月20 [3]

トランプ政権は、新型コロナウイルスの感染拡大がもたらす経済への影響を和らげるため、1兆ドル(約109兆円)の大規模経済対策を検討中と発表した。そのなかには国民への現金給付も含まれており、無条件で一律の額を国民に支給するユニバーサル・ベーシックインカム(UBI)のアイデアが現実味を帯びてきた。

今回の現金給付案に影響を与えたのは、今年の民主党大統領候補者指名を争ったアンドリュー・ヤン氏の考えだと見られている。ヤン氏はすでに選挙戦からは撤退したが、国民一人当たり月1000ドルのUBIを給付するというユニークな公約を掲げ、アウトサイダー候補として大きな注目を浴びた。

ベンチャーキャピタルのYコンビネーターでは2016年からUBI実験が行われているし、カリフォルニア州ストックトン市では、昨年から18ヶ月にわたって低所得者に月500ドルを給付する実験が行われている。感染拡大で、ついにUBIコンセプトが実験場を出て、メインストリームに移る時が来たとCNBCは述べている。

ヤン氏は自身が立ち上げた団体「Humanity Forward」が出した文書をツイッターで公開し、トランプ政権が給付を検討するにあたり、同氏と連絡を取ったことを明らかにした。

 ■ドイツのアーティストたちが、いま「ベーシックインカム」を求めて立ち上がった理由2020521 [4]

新型コロナウイルス感染症対策に伴う外出制限が緩和され始めたドイツ。政府の芸術重視の支援も話題になったこの国だが、いまアーティストを筆頭に「ベーシックインカム」を求める声が高まっているという。

「コロナ危機に、無条件のベーシックインカムを」という呼びかけには46万人以上の署名が集まり、財務相に向けた「コロナ・シャットダウン中の、フリーランスとアーティスト支援」と題されたオンライン署名運動には30万人近くが署名している。

ドイツ経済研究所が2016年から18年にかけて実施したアンケートによると、回答者の半数がベーシックインカムのアイデアを支持しているという。1990年代以降拍車がかかっている貧富の差を、ベーシックインカムによって埋められればと考えている人が多いようだ。

民間ではすでに、独自の試みがある。例えば、2014年にベルリンのNGOが立ち上げた「Mein Grundeinkommen(わたしのベーシックインカム)」もそのひとつだ。当選者には、アルバイトをやめて勉強に専念できたり、独立して新しい仕事に挑戦する勇気をもらえたりといったポジティヴな効果があったという。

■国民全員への10万円給付はベーシックインカムの実験、二階建てにすれば景気もコントロールできる2020521 [5]

主要国でまだ本格的に導入した国はないが、今年3月にジョンソン英首相がBIを検討すると述べ、4月にスペインのカルビニョ経済相がBIを導入すると発表した。米国では一部の富裕層を除く全ての国民に対し最大1200ドル(約13万円)、子どもは500ドル(約5万5000円)を給付することが決定された。日本でも居住者全員に10万円を給付する「特別定額給付金」が策定されている。

これらは、1回限りの予定で「一時的なBI」と位置づけられる。危機が長引けば「恒常的BI」として根付く可能性もあり、社会保障制度が様変わりするかもしれない。

先進国では貧困者が比較的少数だったので、日本でもBIが広く知られることはなかった。だが、コロナ危機によって限定的なBIが実施されることで概念が広く認知され、日本でも導入検討の機運が高まるだろう。減収世帯のみに30万円を給付する方式が国民から不評を買い、9日後に一律10万円給付に変更したのは、人々にBI的な考え方を受け入れる素地が整ってきたことの表れだろう。

10万円一律給付の財源(12兆8800億円)は国債の発行だ。同時に日銀は4月27日の金融政策決定会合で、「年80兆円」としてきた国債の買い入れ上限を撤廃した。こうした政策手法は、中央銀行が政府支出をファイナンスしていることを意味しており、「財政ファイナンス」と呼ばれる。英国でもコロナ危機下で、イングランド銀行が国債を直接買い入れて政府支出を行う「直接的な財政ファイナンス」の導入が計画されている。 

■「10万円給付」はベーシックインカム導入のきっかけに?制度と目的、デメリットを解説2020527 [6]

アフターコロナで大打撃を受けた各国が導入を始めるかもしれない「ベーシックインカム制度」についてご紹介します。導入について第一のメリットは、「貧困層の救済」です。生活に必要な最低限の現金が支給されるため、自身の生活について不安を抱く国民が減り、さらにこれにより「労働意欲も向上」するのではと考えられています。また、国民一律に同じ金額を支給するため、煩雑な手続きが必要なくなります。最大の問題点は、「財源の確保」と言われています。日本の人口は12000万人を超えていますが、単純に一人当たり7万円支給するとしても、ベーシックインカムの予算は84兆円を超える膨大な予算となります。

2017年、2018年の2年間でこの「ベーシックインカム制度」を実験導入していたのがフィンランドです。この他にも、オランダのユトレヒトやスペインのバルセロナで実証実験は行われてきました。

今回のCOVID-19による経済への影響を鑑みて、ベーシックインカム導入を検討する動きが出てきました。EU離脱を果たし独自の政策を推し進める「イギリス」です。アフターコロナの世界で一人でも多くの命と生活を守るため、今こそベーシックインカムの導入が本格的に議論される時期なのかもしれません。

今回の安倍政権の景気刺激策・救済策とも言える「特別定額給付金」もベーシックインカム制度に近いところがあるかもしれません。今後の社会構造を考えていく上では大きな一歩となるでしょう。

 ■竹中平蔵氏「コロナで月5万円ベーシックインカムを」2020528 [7]

これまでの現金給付は、消費刺激効果がなかったと言われるが間違いだ。これは景気刺激策ではなく、生活救済策だ。10万円の給付はうれしいが、1回では将来への不安も残る。月に5万円を国民全員に差し上げたらどうか。マイナンバー取得を義務付け、所得が一定以上の人には後で返してもらう。これはベーシックインカム(最低所得保障)といえる。

優良企業でも突然死してしまう可能性があるので、徹底して資金繰りを支えることが必要だ。支援は相当大きなスケールで実施しないといけない。商工中金や信用保証協会を通じたこれまでの形では追いつかない。

日本は財政赤字を増やしたが、円安になっておらず、株価はそんなには下がっていない。日本の財政に関し、当面深刻な問題はないということが証明されたが、中期的な問題として残る。今は経済を崩さないように、財政資金を惜しまず、経済を支えることで、第2のリーマン・ショックを防がないといけない。

■スペイン、ベーシックインカムを承認 コロナによる貧困に対応202061 [8]

スペイン左派政権は529日、ベーシックインカム(最低所得保障)制度を閣議で承認した。新型コロナウイルスの感染拡大に由来する貧困の急増で、多くの世帯が食料支援への依存を強いられている現状に対応する。

同制度により、一人暮らしの成人には月462ユーロ(約55000円)の所得が保障される。家族の場合は成人か未成年かにかかわらず一人当たり139ユーロ(約17000円)が加算され、世帯当たりの所得保障上限は月1015ユーロ(約12万円)とする。支給は他の収入に合わせて配分されるため、低賃金の仕事を持つ人は今回規定された最低所得基準に合わせる形で給与を上乗せして受け取ることになる。これでどの世帯にも年間平均170ユーロ(約120万円)の所得が保障されるという。

 政府によると、この措置で約85万世帯、合計230万人が恩恵を受け、うち3割が未成年の見通し。来月に約10万世帯への支給が始まるという。同制度の費用は年間30億ユーロ(約3600億円)と推計されている。

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