- 金貸しは、国家を相手に金を貸す - http://www.kanekashi.com/blog -

コロナ下で高まるベーシックインカム導入の機運。日本でも橋本徹、柿沢未途衆院議員が導入を提唱

 

20210120-basici2-11-716x403 [1]

コロナ下で所得格差が広がる中、ベーシックインカムの議論が世界的に進んでいるようで、その動向を調べてみました。以前は、ベーシックインカムは財源問題で不可能とか、誰も働かなくなり社会が崩壊すると言う反対意見が多くありましたが、その評価も大きく変わってきています。

まず、導入状況を見てみます。支給対象者に制限はありますが、スペインとブラジルのマリカ市でベーシックインカムが導入されているそうです。ドイツでは人数を120人に限定した実験が始められています。

また、アメリカでは、カリフォルニア州ストックトン市では20192月からベーシックインカムの実験が行われ、就業率が上昇する、精神面でも良い結果が出る、酒タバコなどの消費に向かうのは1%未満という結果が出て、カリフォルニア州オークランド市でも3月から実験がスタートサンフランシスコでは芸術家を対象にしたベーシックインカムの導入が始まっています。

日本でも、NHKが日本でベーシックインカムが2025年か2040年には実現する可能性があると報道したり、橋下徹が完全ベーシックインカムの導入を、衆議院議員の柿沢未途が再分配型ベーシックインカム導入を提唱するなど、一般的な政策として議論されるようになってきています。

まだ、反論もありますが、その論調はベーシックインカムを全否定するものではなく、ベーシックインカムの趣旨を実現するにはどうしたらよいかという方向に変わってきています。限定型のベーシックインカムなら現実的という事で、「給付付き税額控除」や「再分配型」、さらにはベーシックサービス型など、様々な手法が議論されています。

コロナ前には、ベーシックインカムをまともに取り上げる雰囲気など有りませんでしたが、今は現実的な選択肢として、実現に向けた議論が始まっています。

■1からわかる!ベーシックインカム(2)各国の事例を見てみよう2021年1月20日 [2]

スペインでは、去年6月から所得制限をつけた上で、一人暮らしの場合、月に5万円から6万円給付することに。ただ、収入がこれだけだと厳しいから、もう少し働かないといけないっていう話になりますね。このような限定的ベーシックインカムはブラジルの都市、マリカでも行われています。

ドイツも、ベーシックインカムの実験の準備に入っています。ことし(2021)の春から、一人月15万円を支給するそうです。ただ全員じゃありません。無作為に選んだ集団の中から、偏りが出ないように120人を選んでというかたちですね。

限定的なベーシックインカムには、いろんな種類があって、「給付付き税額控除」という仕組みも、その一つなんです。ベーシックインカムは、お金を配るだけですが、これは減税と組み合わせることで、より効率的に行おうという仕組みなんです。アメリカや韓国など、先進国の多くで、すでにこの仕組みが導入されています。

■1からわかる!ベーシックインカム(3)日本で実現できるの?2021126 [3]

もし日本が、ベーシックインカムを導入するとしたら、いま、どの段階にいますか。日本は分岐点にいると言えると考えています。いま説明したように、進むために必要な杖、つまりマイナンバーは手に入った。でも、完全ベーシックインカムへの道のりは厳しい。もう少しなだらかな、給付付き税額控除なら行けるかなと。

2025年と2040年が、大きな分岐点の年になるのではないかと考えます。2025年は、団塊の世代が、全員75歳以上の後期高齢者入りをします。一気に医療や介護の費用が増えます。さらに2040年は、65歳以上の高齢者が最も増える年です。その時までに、現役の人たちに頑張ってもらう仕組みや、高齢者も働き続けられる仕組みをつくれるかが、一番重要です。

■月54000円のベーシックインカム実験「働かない人が増える」「タバコや酒に使われる」は誤り、米カリフォルニア州2021311 [4]

近年、世界各国でベーシックインカムに熱いまなざしが向けられている。人工知能(AI)の進歩はもちろん、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大にともなう不景気や失業率の悪化、少子高齢化や格差拡大などの社会的背景による影響も大きい。

一方で、ベーシックインカムには否定的な意見もある。財源など制度的な疑問のみならず、「ベーシックインカムを導入したら、働かない人が増えるだけだ!」「支給額はタバコや酒に使われるだけだ!」といった声もあるだろう。20213月、そのような憶測を覆す結果が明らかになった。

アメリカのカリフォルニア州ストックトン市では20192月から、毎月500ドル(約54000円)のベーシックインカム実験を開始した。支給対象はストックトン市に在住する18歳以上で、世帯収入が中央値である46033ドル(約500万円)以下という条件から、無作為に抽出した125人。受給者の平均年齢は45歳、うち女性は69%におよぶ。

受給者はフルタイムの仕事に就くこともできた。支給を受けたグループは20192月にはフルタイム雇用は28%で、1年後の20202月には40%と、12%も増加した。一方で、支給を受けていないグループは20192月にはフルタイム雇用は32%、20202月には37%と、5%しか変化しなかった。

毎月の支出は「食品」が最多で、ウォルマートなどの大型店での食品購入と考えられる「販売・商品」がそれに続く形だ。あわせて約6割におよぶ。そのほか、支給金は公共料金や日用品、交通機関、保険、医療などに使われた。タバコや酒類は1%未満だった。

ベーシックインカムは精神面にも良い影響を与えた。支給を受けたグループは健康的で、うつ病や不安が減少し、ウェルビーイング(幸福)が向上したという。実際に支給を受けた20代後半のパムと30代前半のジムという夫婦は、以前は経済的な状況や育児のストレスにより、2人ともパニック発作を起こすこともあったものの、現在では不安感が大幅に減り、夫婦喧嘩が少なくなったと語る。

■橋下徹「ベーシックインカムがいま必要な理由」金持ちにはいったん支給して「税金で回収」せよ2021329 [5]

「自助、共助、公助」という言い方がある。自分自身や家庭で何とかするのが自助、地域などのつながりで助け合うのが共助、公的な機関による支援が公助ということになる。自己責任の自助で頑張れ、それが無理なら共助、最後に公助を頼れと言われても、いまや共助は果てしなく薄くなっている。

本当に困ったときのために生活保護の仕組みはあるが、貯金などの資産形成が制限されるなど、利用しづらい面も多い。役所窓口の「水際作戦」で、あれやこれやと難癖をつけられたり、世間の目を気にして申請に心が折れてしまう人もいる。ほかに助けを求められない人を助けるための公助とは、役所の窓口に来た人だけに与えられるのではなく、国民全員に対して無理やりに押しつけるくらいのセーフティーネットでなければならない。生まれた瞬間から、日本で生活していくために必要な最低限のお金を与えられるようにするのが理想だ。

だからこその、ベーシックインカムだ。これは年齢も所得も資産も問わず、国民に対して毎月一定額のお金を支給するという仕組みである。一定額というのをいくらにすべきか、財源はどうするかといった議論はもちろんある。だが、すでに世界各地でベーシックインカムの社会実験は始まっており、特にコロナ禍でこれまで以上に注目を集めることになった。全員に一定額だから、所得や資産で支給額を分けるといった役所の手間も不要だ。

■柿沢未途衆院議員 再分配型ベーシックインカム導入を2021331 [6]

柿沢未途衆院議員は毎日新聞政治プレミアに寄稿した。格差拡大が続いている現状をうけて、公的年金制度など既存の制度も融合させた日本版ベーシックインカムの必要を訴えた。

柿沢氏は「コロナ禍で厳しい生活を強いられている人が増えているのに、株式市場は株価が一時3万円を超えるなど活況が続いている」と指摘。「全く収入がなくなった人とお金を持て余している人、全くの別世界があるようだ」と語る。

生活保護制度についても「取得までに大きな壁がある。受給資格があるはずの低所得者の中で受給者は2割程度といわれ、セーフティーネットとして機能していないのが現状だ」と言う。「現在の状況が続けば、多数の人の生存を脅かすような所得格差、資産格差が生まれてしまう。そのような状況を自己責任として放置すべきではない」と訴えた。

■盛り上がる「ベーシック・インカム」政策、その「大きな落とし穴」に気づいていますか?202146

コロナ禍で経済的な困窮が目立つなか「ベーシック・インカム」導入に関する議論が盛んになっている。しかし、このラディカルな政策には落とし穴があるのではないか。さらに、じつは「ベーシック・インカム」ではなく「ベーシック・サービス」のほうが効果的に人々を救うことができるのではないか。

どちらにも共通して優れているのは「ベーシック」な点。特定の低所得者層や働けない人にだけ給付する選別主義的な政策には問題があるからです。貧しい人にだけ給付した途端、中・高所得層は負担者になってしまい、社会は分断される。そのうえで、ベーシック・インカムとベーシック・サービスには大きな違いがある。もっとも大きな違いは実現性です。

13兆円もあれば、ほとんどのベーシック・サービスは無償化できたんですよ。医療費負担が3割から2割になり、大学、介護、障碍者福祉はタダにできた。それだけじゃありません。おまけに、これは現金ですが、失業者に5万円、低所得層に家賃補助で2万円、毎月払うこともできた。ポイントは、サービス給付は現金給付とは比べ物にならないくらい安上がりということ。かりに生活保護と同水準のベーシック・インカムを給付すると、ひとり月額12万円なので年間144万円。必要な予算は180兆円になります。

ベーシック・サービスが実現して、子どもの学費や医療費、介護費のような将来への不安がなくなれば、世帯年収が300万円でも安心して暮らすことができるんです。受け入れられる格差とダメな格差の線引きが重要。「サービスにアクセスできない人たちは生きていけない」、そんな人たちを生む格差がダメな格差の本質です。だからこそ、ベーシック・サービスを提唱しているのです。

■月5万4000円のベーシックインカム実験開始 10倍にもおよぶ人種間の格差解消目指す、米カリフォルニア州202149 [7]

アメリカのカリフォルニア州オークランド市は324日、有色人種の低所得世帯を対象に毎月500ドル(約54000円)を支給する「ベーシックインカム(最低所得保障)」の実験を開始すると発表した。ベーシックインカムは2021年夏までに開始し、支給は1年半継続する予定という。

オークランドと言えば、「ジェントリフィケーション(地域の高級化、都市の富裕化)」の影響も見逃せない。たとえば、同じカリフォルニア州のサンフランシスコ市では家賃上昇の影響で、芸術コミュニティを7割失ったとされる。サンフランシスコのロンドン・ブリード市長も202010には、このような状況を受け、2021年初頭から最低でも半年間、130人のアーティスト(芸術家)を対象に、月1000ドル(約105000円)のベーシックインカム(最低所得保障)のパイロットプログラムを導入すると発表している。 

■ニューヨークでベーシック・インカムが実現? 次期市長の有力候補の狙い202149 [8]

起業家として経験を積んできた台湾系アメリカ人のアンドリュー・ヤンは、2020年の米大統領選で民主党の予備選では、公約の柱だったベーシック・インカム(BI=最低所得保障)政策と共に──全国区の知名度を獲得した。そのヤンが今度は11月のニューヨーク市長選(予備選は6月)に民主党からの出馬を表明している。最近の世論調査によれば、現時点で有力候補の1人だ。

あなたの看板政策と言えば、ベーシック・インカムだ。大統領選に立候補したときは、全てのアメリカ国民に毎月1000ドルを給付するという公約を掲げていた。ところが、今回のニューヨーク市長選での公約は、特に困窮している50万人の市民に年間2000ドルを給付するというものだ。なぜ、全ての市民に月1000ドルを給付すると言わないのか。

可能であれば、ニューヨーク市民全員に毎月1000ドルを給付したい。それを実現できれば、画期的なことだ。でも、連邦政府とニューヨーク市では環境が違う。手持ちの資源をどのように活用するのが有効かを戦略的に考えなくてはならない。

[9] [10] [11]