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人民元は基軸通貨になりえるか

12月8日に中国 上海の外国為替市場では、中国からの輸出が増加する中、企業などの間でドルを売って人民元を買う動きが強まり、およそ3年7か月ぶりの元高ドル安水準をつけました。
これまで、中国では歴史決議、デジタル人民元、軍事演習、国防動員の法的手続き不要化等大きな動きが多い。
それも踏まえて、ドルに変わる基軸通貨を狙っているのではないか。人民元は基軸通貨になりえるか。

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〇そもそも基軸通貨はどう決まっているか
https://www.nri.com/jp/knowledge/blog/lst/2021/fis/kiuchi/0408 [2]
第2次世界大戦末期の1944年に米国のドルを基軸とした固定為替相場制が各国で合意され、1945年に開始された。米国がドルと金との兌換を約束すると共に、国の通貨の交換比率(為替相場)を一定に保つ仕組みである。世界の金融市場の安定確保を狙ったこの制度は、ブレトンウッズ体制と呼ばれた。これは、ドルが正式に基軸通貨(key currency)になったことを意味したのである。
しかし、1971年に、ニクソン大統領が金とドルの交換を停止した(ニクソン・ショック)。さらに1973年に先進国が相次いで変動相場制に切り替えていったことで、ブレトンウッズ体制は崩壊してしまった。ドルが正式に基軸通貨の座に居た時期は、比較的短かったのである。
ところが、その後もドルは、世界の国

際間での金融取引の中で圧倒的なシェアを持つ、事実上の基軸通貨の地位を今日に至るまで維持している。一国の通貨が基軸通貨、あるいは事実上の基軸通貨となることができる条件とは、一体何だろうか。
自由な取引がなされるもとで交換性が確保されていることに加えて、経済・貿易の規模の大きさ、国内金融市場の規模の大きさ、信頼性の高い中央銀行の存在、強い軍事力の保有、などの要件が広く挙げられる。
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⇒現在事実上の基軸通貨で、取引上どちらの方がうまみがあるかという闘い。
現に企業がドルを売って人民元を買っているのはその序章の様にも思う。

また、人民元のレートは特殊で、管理変動制となっている。
https://sp.shinseibank.com/powerflex/fx/info/pdf/news190902_fx.pdf?intcid=news190902_fx [3]
〇人民元レートには2種類ある
ここで、中国の為替レートについて整理してみます。中国の通貨である人民元は、2005 年から
「管理変動相場制」というのを採用しています。毎営業日の10 時15 分に、中国の中央銀行にあ
たる人民銀行が当日の基準レートを公表し、その日の人民元の取引は、基準レートから上下2%
の範囲内での変動が許容されるという仕組みになっています。これにより、中国当局の意向を為
替レートに反映させ、人民元の価値をある程度コントロールすることを可能にしています。
しかし、この管理変動相場制は、米ドルやユーロ、日本円のように自由に取引できない「不便な通
貨」であることも意味しています。さらに、人民元の取引には管理変動相場制以外にも色々と制
約が課され、中国経済の成長と規模拡大に比べると、人民元取引の流通量は国際金融市場に
おいて乏しいという状況が長らく続いていました。
そこで、中国当局は金融市場の開放を進め、2010 年7 月に香港において新たな人民元の取引市
場を立ち上げ、これまでの市場はオンショア市場(CNY)、新しい市場はオフショア市場(CNH)と
呼ばれるようになりました。そのため、人民元は2 つの市場が併存する格好になっています。

https://www.rakuten-bank.co.jp/assets/forexdep/campaign/china/internationalization.html [4]

〇人民元の国際化とは
中国政府は、国際決済取引におけるドルへの依存度の低下を図り、一方で人民元の国際決済での使用を解禁させ、貿易決済における人民元の使用を推進させています。それを裏付けるように、サービス貿易を除く中国の貿易決済総額に対し、2010年は2%台だった人民元の決済比率は2012年には8%台まで拡大を続けており、さらなる拡大を見込む声も一部からは聞かれています。そのほか、2008年の韓国との通貨スワップ協定の締結を皮切りにその数を増加させており、スワップ協定を締結した相手国との人民元決済の広がり、さらには流通しやすい環境を作り出すことも推し進められています。

〇人民元の国際決済の増加~世界の決済に占める割合は過去2年間で3倍に~

[5]

 

中国政府が「人民元の国際化」を推進するなかで、人民元決済は増加の一途を辿っています。
まず、人民元決済の歴史を紐解くと2009年7月に試験的な意味合いとして上海市をはじめとした中国5都市、そして一部の企業に限って香港・マカオ・ASEANとの間での貿易取引において決済に用いることが可能となりました。そして、2012年にかけては地域が中国をはじめとした世界全体となり、対象地域に関する制限が撤廃されるなど、一部制限は設けられたものの、企業の人民元決済に対する規制は緩和されていきました。こうした規制緩和が功を奏し、人民元決済額は上昇の一途を辿ります。中国のサービス貿易を除く貿易決済総額に対する人民元決済比率は、2010年は全体の2.2%だったものが、2011年には6.6%、2012年には8.4%まで拡大を続けており、人民元決済の規模拡大は順調なものとなっています。国際銀行間通信協会(SWIFT)によると、過去2年間における世界の決済に占める人民元の割合については他のアジア通貨がほぼ変化していないのに対し3倍以上と群を抜いています。

https://www.rakuten-bank.co.jp/assets/forexdep/campaign/china/internationalization.html?msclkid=049297abb1ad11ecabe1a0e28e436a84 [6]

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中国の生産力があり、武力強化によって米国の武力圧力にも負けない圧力をつくる事の出来る中国の人民元は今後さらに取引が多くなっていく事も大いにありうる。
ドルと人民元両方が基軸通貨になり、人民元優位になっていく日も近いかもしれない。

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