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世界経済はどうなる!? 〜その1.この金融危機下で資産が増えている機関とは?〜

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(画像は、コチラ [2]お借りしました)
3日、米財務省が今回の金融危機を受けて、2008年10-12月期の資金調達額が過去最大の5500億ドル(約55兆円)に上るとの見通しを発表した。四半期ベースの資金調達額としては過去最高額になるようだ。
加えて、

米財務省はまた、米連邦政府が第3四半期(7-9月期)、市場から5300億ドル(約52兆4000億円)の資金を調達したことを明らかにした。このうち3000億ドル(約30兆円)が、経済支援策の一環として9月中旬に導入された、連邦準備制度理事会(FRB)の補正資金調達措置(Supplementary Financing Program、SFP)によるものだという。

(c)AFP [3]
この八方塞がりの状況の中、米政府の莫大な公的資金注入という政策は果たして功を奏すのだろうか 今後を占ってみる。
その前に是非
     


◆公的資金の財源はどこから? 
「公的資金を投入 」とメディアでは伝えられるが、その資金調達方法や財源についてはほとんど報道されていない。そこで今回は、その仕組みに迫ってみる。下の図表のうち、大きなグラフは「米国GDP」と「米国債の累積(国債総計)」を、そして左上の小さな画像は直近の「FRB資産高の推移」を示している。
[4]
今回の金融危機では、文字通り(B/S [5]上)「資産」が目減りして、金融機関も個人投資家も大損失を被っているわけだが、この危機下において、なんと!「資産」が増えている機関がある。それが、左上グラフにある米国の中央銀行・FRB [6]だ。
しかし、実はこの「資産」増加、手放しでは喜べない中央銀行は、国債 [7]を担保に紙幣を発行する機関であるためだ。つまり、この米・FRBの「資産」増加の主要因は、米政府の国債大量発行によるものと言える(より正確には、FRBは米国債の他にも、証券・債権等を購入する形でこの間資産増加させている)。
FRBの資産急増加=米国債の大量発行 という図式。
そして、米政府が発行する米国債は、米国の信用が裏づけとなっている。信用の具体的な中身は、財政、国家の秩序、産業基盤、ドル通貨価値・・・等だ。
グラフからわかるように、米国はただでさえ(今回の金融危機を抜きにしても)、大量に国債を発行し続けてきた(2006年末で850兆円にも上る。$1=\100換算)。それが今回の金融危機でさらに国債を乱発したとなると、当然米国の信用が落ち、米国債を担保に発行されるドルの価値も下がっていくことになる。
ドルは基軸通貨として世界に出回ってきた。基軸通貨(ドル)は必然的な崩壊構造を持つため(詳細は下記エントリーを参照)、元々のドル安に今回の金融危機はドル下落に拍車をかける構造になっている。
これを図解化すると・・・

米国債の大量発行 → 更なる財政悪化 → 国家信用▼ → ドル暴落
                                      ↑ 
《基軸通貨の崩壊構造》                       ↑ 
基軸通貨 → 価格△ → 輸入>輸出 → 生産力▼ → 国力▼ ┘


基軸通貨の衰退過程と金貸しの動き 〜その1〜 [8]
基軸通貨の衰退過程と金貸しの動き 〜その2〜 [9]
※基軸通貨の崩壊メカニズムについては、当ブログ右上の【GRAND THEORY VOL.4】を是非
このシリーズエントリー『世界経済どうなる!?』、次回は金融危機に対する米(各国)政府のもう1つの政策、「政策金利」について扱う予定です。ご期待あれ!

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