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政府紙幣の可能性を探る 〜貨幣の問題性 シルビオ・ゲゼル〜①

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写真はウィキペディア [1]からお借りしました
以前の投稿では、政府紙幣の可能性として丹羽春喜氏の見解 [2]を検証しました。今回は、政府紙幣という金融システムの転換に関連した見解を見ていきたいと思います。題材は、経済学者 シルビオ・ゲゼルの「減価する貨幣」です。
シルビオ・ゲゼルは、ドイツの経済学者で1862年〜1930年まで活動していました。
地域通貨や補完通貨理論の中で参照されることの多い経済学者です。
彼は、貨幣制度が持つ構造的欠陥に問題意識を持ちました。
例えば、昨今の金融危機は、国際的な資本家によるマネーゲームによって引き起こされましたが、それに伴い企業の倒産、雇用不安が増加し、私達の生活不安は日に日に増しています。
こうした状況変化は、生活者の意思とは異なり、一部の巨大資本家の意思(都合)によってのみ引き起こされます。失職や雇用不安は、生活者から「お金」を得る機会と「お金」そのものを奪っていきます。

資本主義社会に対してゲゼルは、マルクスと異なる立場を取り、労働における搾取は生産手段の私的所有にあるのではなく、貨幣制度の構造的欠陥にあると考えました。反ロスチャイルド同盟 [3]より

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■貨幣の問題「お金は何よりも価値が高い」=お金が市場に君臨する理由
金融資本家が世界をコントロールできる背景には、彼らの力の基盤である「お金」が絶大な権力を保持しているからです。即ち、どんな生産品やサービスを占めるより、「お金」を占めることで世界はコントロールできます。それを可能とする理由として、ゲゼルは、「お金」には、他のモノと全く異なる2つの特徴があると述べています。
お金の特徴1.価値が劣化・陳腐化しない=蓄財が可能

需要手段としての従来の貨幣は、労働力や経済界の提供側の商品やサービスとは異なり、蓄えることが可能である。また、貨幣の所有者にさほどの損失を与えることなく、投機的な理由によって一時的に市場から引き上げることができる。反ロスチャイルド同盟 [3]

一般的な生産品の場合、生鮮品であれば賞味・消費期限。生産物・サービスであれば社会需要の変化によって生じる社会的陳腐化が発生します(=ヒット商品もいずれは価値がなくなる)、つまり、生産品は蓄財をすることができない。一方、「お金」は、価値が普遍であり、劣化・陳腐化することはない。つまり、蓄財が可能ということになります。そのため、生産物を持つよりも、「お金」を持っている人の方が相対的に価値は高くなります。
お金の特徴2.いつでも・どこでも・何にでも交換可能=高い流動性

貨幣は商品やサービスに比べてはるかに高い流動性を備えている。トランプのジョーカーのように、いつでも、どこでも使うことができる。反ロスチャイルド同盟 [3]

仮に大根をつくっている農家と、電気製品をつくっている生産者は、お互いの需要が一致した場合のみ、製品を交換し合うことができます。一方で、「お金」は、大根であれ、電気製品であれ、いつでも、何にでも交換が可能です。つまり、どんな生産物を持つよりも、「お金」を持っている人の方が市場における流動性は高くなります。
■お金の特徴が、資本家に特権を与える=「お金」の利用料を利子で支払う

この二つの特性は、お金(特に多額の所有者)に特権を授けます。購買と販売、そして貯蓄と投資の循環を中断させることが可能であり、投機的な現金保有の放棄と貨幣の経済循環への再投入に対する特別のプレミアムとして、生産者と消費者に利子を請求することができます。反ロスチャイルド同盟 [3]

歴史的な変遷で、「お金」は大きく偏在します。「お金」を持たざるものにとって、「お金」は常に不足します。生活者は、「お金」を利用するためには、資本家から「お金」を借り、その利用料として利子を払います。借りた「お金」は利子を返済することを目的に、利潤を求めてのみ移動します。
結果、「お金」の利用は利子分の経済成長を前提にし、成長の原資として生活者又は労働者から労働力又は資本を搾取します。このような貨幣がもつ構造的欠陥について、作家:ミヒャエルエンデは以下のように表現しています。

『今日のシステムの犠牲者は、第三世界の人々と自然に他なりません。このシステムが自ら機能するために、今後もそれらの人々と自然は容赦なく搾取され続けるでしょう。このシステムは消費し、成長し続けないと機能しないのですから。成長は無からくるのではなく、どこかがその犠牲になっているからです。』。反ロスチャイルド同盟 [4]

つづく・・・

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