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電子マネーと共に普及するポイントシステムの現状

 電子マネーと密接に繋がり、電子マネーの拡大に大きく貢献したものの一つとしてポイントサービスがあります。
 前回の「電子マネーはいかに普及してきたか?」 [1]に続いて、今回はそのポイントサービスの現状について、整理してみたいと思います。
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 旧くは商店街でのスタンプカードように、スタンプを集めると景品と交換できるといったようなシステムがありますが、買い物をした購入価格の数%を次回以降の買い物で“還元”できるというシステムは、家電量販店などが「ポイントカード」を発行し始めた1980年代頃から本格化しました。
 そのシステムは最新の電子マネーでも継承されています。
 また、航空会社で始められたマイレージサービスは、日本では1990年代からJAL(日本航空)やANAなどが本格的に導入しました。
 本来、こうしたポイントシステムは個々のチェーン店のみに適用され、他店での買い物に利用できないものでした。しかし、こうした“常識”を覆し、ポイントシステムにパラダイムシフトがもたらされたのが2003年です。ANAの航空機利用によるマイレージが、Edyの電子マネーにチャージできるようになったのです。
 これをきっかけに、電子マネーとポイントシステムは密接につながり、ポイントが電子マネーと同じ「お金」として扱われるようになりました。
 そして、企業間の提携等によってポイント交換や共通ポイントの利用へと発展し、現在では発行企業以外でも利用できるようになりました。
 このように、発行企業以外でも利用できるポイントは「企業通貨」といわれています。
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 この企業が発行するポイントには様々な種類があり、航空会社・家電量販店・携帯電話会社・コンビニ等を筆頭に、それぞれの企業が独自に発行する乱立状態にあります。
 利用店舗が限定される状況では、あまり消費者に浸透しなかったポイントシステムも、ポイント交換システムの追加によって、急速に浸透していきました。
 さらに、設備投資の合理化とポイント利用範囲の拡大をねらって、ポイントシステムの管理・運営を専門に行う会社を設立し、そこが発行するポイントを共通で利用する共通ポイントシステムの構築によって、利便性が格段に上昇しました。
 現時点での主要な共通ポイントイシステムを整理すると、次のように分類することが出来ます。

1.実際にある店舗(リアル店舗)を中心に拡大・・・【例】Tポイント、PONNTA
2.インターネット上の店舗(ネット店舗)を中心に拡大・・・【例】楽天スーパーポイント
3.ネット上でポイント交換を専門に行う・・・【例】Gポイント

1.実際にある店舗(リアル店舗)を中心に拡大する共通ポイント
 日本で最大規模を誇る共通ポイントサービス「Tポイント」と今年の3月からスタートした「Ponta」の二大勢力による激しい縄張り争いが行われている。

○Tポイント
 会員数:約3700万人、提携企業:約90社、利用できる店舗数:約3万店舗
 運営会社:カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社(TUTAYAを中心とする提携企業間の持ち株会社)

○Ponta
 会員数:約2000万人、提携企業:約20社、利用できる店舗数:約1万2000店舗
 運営会社:株式会社 ロイヤリティ マーケティング(三菱商事株式会社の100%子会社会社)

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2.インターネット上の店舗(ネット店舗)を中心に拡大する共通ポイント
 ネットでは圧倒的なシェアを誇る楽天スーパーポイント。09年12月、Edyの運営を手がけるビットワレットを子会社化し、電子マネー事業に本格参入した。リアル店舗で楽天スーパーポイントの流通量を増やし、その利用者をネットへ取り込むことを目指している。

○楽天スーパーポイント
 会員数:5000万人、提携企業:約10万社
 運営会社:楽天株式会社

3.ネット上でポイント交換を専門に行う共通ポイント
 国内の大手企業を中心に流通系のポイントや主要電子マネー、航空マイルなど150社と提携した国内最大規模のポイント交換サービスであるGポイント
 原則等価交換を謳い文句に、様々な企業ポイントとの交換を実現している。

○Gポイント
 会員数:約180万人、提携企業:約150社
 運営会社:ジー・プラン株式会社(株式会社博報堂、住友商事株式会社、株式会社三井住友カード株式会社によって設立)

 以上のように、ポイントシステムは電子マネーとともに、企業間の垣根を越えて流通範囲を拡大してきており、紙幣や硬貨に変わるもう一つの通貨となりつつあります。
 そして上述した共通ポイントシステムが、もう一つの通貨となるべく縄張り争いを繰り広げている、というのが現状だといえそうです。
 そういう視点で改めて主要な共通ポイントの運営会社を見たとき、物品販売を生業とする企業群が中心となって設立されたもの(Tポイント)と、物品販売を生業としない企業群が中心となって設立されたもの(Ponta、楽天スーパーポイント、Gポイント)の二つに分類される点が注目に値します。
 今後の電子マネーや、共通ポイントシステムの可能性を考えるうえで、重要な視点になってくるかもしれませんね。

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