今回取り上げた電子マネーは、Tポイントやポンタなどの企業群が発行する「企業通貨」に始まり、さらに調べてみると商店街を中心にしてそこに行政や病院等の公的サービス機関も加わった「地域通貨」的なものもあり、また企業ではなく取引する個人間での発行事例もあったりで、こうなればそのネットワークにより発行される、言わば「NW(network)通貨」と呼ぶべきかもしれません。
マスコミにはあまり取り上げられていませんが、色んなところで試行されているようですね。
さて、それではこれらの事例から今後電子マネーが見せてくれる“次の社会”を探索しましょう
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今の経済では、どんなに苦労して生産しても、さらに生活に必要なものであっても、市場の中で価値がない(=低い)と判断されたものは、安価で取引されます。
そしてどんなにくだらないものでも、それを高価で買い取る金持ちがいれば、高価で取引され価値が決まっていくのです。(つまり私たちが感じる価値と市場の価値とは一致していない。)
そして市場の価値の単位であるお金、日本で言えば「円」は、世界の機軸通貨である「ドル」を中心とする通貨市場によってその価値が決まっています。したがって「ドル」がくしゃみをすれば「円」が風邪を引き、私たちの生活を支える「市場」に薬や注射を施す必要性が出るのです。
電子マネーは「NW通貨」として、法定通貨発行権を持つ中央銀行の通貨システムから一線を画した経済圏を確立できる可能性を持ち、これによりバラバラだった企業や個人が、電子マネーという新しい価値基準を紐帯とした一定規模の新しいNWを誕生させることができます。
もちろん原材料やエネルギーを輸入に頼る事情や、技術開発はバラバラに取り組むよりも集中させた方がよいものもあるでしょうから、全てをまかなえるわけではない。ただ日常生活の消費をある程度このNW内でまかなえるようになれば、NW内生産しNW内消費する、小さな経済圏が確立するでしょう。
その中では衣食をNWに提供する機関(=生産〜販売〜食事サービスなど)や、医療や福祉サービスを提供する機関、教育を提供する機関などが、相互にサービス提供していくことになります。そうなれば人々の生活は「円」を利用する範囲がぐっと小さくなります。
さらに進めば、「NW内生産NW内消費するモノやサービスは、日常生活を送るために必要不可欠なもの」で公的サービスとして共認され、今度は「NW通貨」すら不要になるかもしれません。
そうなれば、以前取り上げた同志社大学宇沢弘文教授の提唱した「社会的共通資本」 [1]実現の一つであり、企業等の生産体をつないだNWが新しい形の共同体ということになります。
そうなれば、企業が夫々個別に市場の中で否応もなく競争していた構図から、このNW(=企業群)同士の競争となり、そのテーマは社会問題の追究になると思われます。
その道はまだ遠そうですが、NPO法人千葉まちづくりサポートセンターのピーナッツ [2]にあるように一歩一歩進んでいる事例もあります。
今回取り上げた「電子マネー」や「地域通貨」は金貸しに繋がれた金融システムの鎖を断ち切る有効な道具となり、その先の社会への橋渡しの役目を果たせる可能性を持っていると思います。
一旦このシリーズは終わりますが、今後も引き続き電子マネー等(≒地域通貨)の動きをウォッチしていきたいと思います。