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『ユーロ発国家財政危機の行方』6  【英米(金貸し勢)が作ったアメリカに対抗して作られたEU】

前回の「世界バブル崩壊が資本主義の総本山、欧州を襲う」で
大航海時代以来の資本主義がついに終焉を迎える可能性が見えてきた事を中間でまとめました。
■今後の動きとして特に欧州勢は破綻しつつある紙幣システムに対し金を蓄え次の金融システムを用意しているようにも見えます。中略 果たしてうまくいくのか?それとも世界の秩序崩壊へと向うのか?
と、提起されています。
今回は、EUの形成過程と金の動きから、「金貸しが作ったアメリカに対抗して作られたEU」という視点で年表を追いながら、その動きを見て行きます。
以下の金の長期推移を見てください。1980年からずっと金価格は低迷を続けて2001年で底値となり、ユーロ流通開始の2002年から一気に右肩上りで高騰してゆきます。この動きは一体何を意味しているのでしょうか? 🙄

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       グラフは三菱マテリアル [1]からお借りしました
これまでの『ユーロ発国家財政危機の行方』シリーズ記事
プロローグ [2]
1.ギリシャ問題・PIIGS問題とは? [3]
2.小国ギリシャの危機がなぜユーロ危機につながったか? [4]
3.地域共通通貨「ユーロ」の弱点構造 [5]
4.ギリシャ暴動とその他の国の状況から国家・市場の統合限界が見えてくる [6]
5.『ユーロ発国家財政危機の行方』 5.世界バブル崩壊が資本主義の総本山、欧州を襲う [7]
いつもありがとうございます。 😀


年表【ドル・ユーロ・金を巡る動き】 (画像をクリックすると大きくなります。
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尚、年表に記載した事象の説明は、るいネット他からお借りしたデータ形式で最後に添付しています。このコメントをみながら年表を追うだけでも、1900年初頭から現在に至る、金を巡る、ドル(金貸し勢力)とユーロ(欧州勢)の暗闘が見て取れます。
上記の年表からそれぞれの動きを見てゆきます。
●ドルの動き:金貸しアメリカの動き
1971年のニクソンショック:ドルの金兌換中止でドルは金の裏付けを失い債務通貨に向かう。これを支える資金が必要となり、石油リンク、オイルダラー、ドルの帝国循環、プラザ合意等のドルの信用低下を防止する対策が一貫として取られて来ている。
しかし、2000年以降からそれでも足りなくなり将来のローンを組み込んだ債権等を発行することでドルを維持してきた。しかし、サブプライム危機で大打撃を受ける。
対岸のギリシャ危機は欧州への巨額な投資が焦げ付く引き金で、ドル暴落になるかもしれない。
一貫してドル体制は崩壊過程にあり、その崩壊ピッチが数年と超短期になって来ている。限界が近いと言えそうだ。 🙁
●ユーロの動き
ドルの崩壊を見越して着々と体制を築いて来た。それに対して、英米(金貸し勢力)が通貨攻撃or戦争を仕掛けて妨害するパターンが見て取れる。
現在は、2010年ギリシャ危機に端を発するユーロ危機に直面している。
●金の動き
上の年表から金の動きを見ると、一貫して英・米(金貸し勢)は金価格を抑え、ドル紙幣を維持させる方向で動き、一方欧州勢は一貫して金を貯め込んでいる。以下はその動きです。 🙄
・1930年BISを通じて欧州からアメリカへ大量の金が流出。(アメリカが7割の金を保有
・1971年ニクソンショックで金兌換停止。金の価値よりペーパーマネーのドルの価値があると見せかける為に金の低迷を模索したアメリカが金キャリートレードを採用する。しかし、これはアメリカとIMFの金の現物の放出につながり1980年から20年間で欧州貴族に金を安く買い占めれていった。この結果、FRBには既に金は無いとも言われている。
・1997〜1999年各国の中央銀行が金を放出して金先物価格が最安値250ドルをつける。この時にECBに内通する財閥が金を購入したらしい。最安値と同時期にユーロが導入され、その後は一貫して上昇している
・2004年ロスチャイルドが金価格システムから撤退する。どんどん金が高騰する時に自ら撤退するのはおかしく、これは何らかの力(欧州貴族?)が加わり排除されたと考える方が妥当と思う
・以降も金高騰は続く。金ETF決済もこれを後押しする。
・2009年、経済支援の名目でIMFが金を放出しており、当座は中国、インド等の中央銀行に限られていたが、今後は中央銀行以外の需要があると仄めかしている。これも欧州貴族の可能性が高いらしい。
上記の金の流れから保有量を見ると、BISを通じてアメリカへ一旦流れた金は既に欧州勢力がほぼ取り戻し、更にIMF他の金も取り込んでいる。欧州が金を貯め込んでいる狙いは一体何なのか?
恐らく信用を失っていくドル紙幣に代わって実物資産を貯め、併せて次の通貨システムを考えているのかもしれない・・?

●まとめ
仮説ですが、
『EUとは、英米(金貸し勢)が作ったアメリカに対抗する欧州貴族の連合国』とも言えそうです。それと連動しているのが金の動きです。金の動きの全てが「ユーロ成立と欧州貴族」の為に動いており、これに金貸しが攻撃を仕掛けている構造に見えます。
この視点で最近の動きを見みると、
2010年ゴールドマンサックスのギリシャへの攻撃は、金貸し勢のユーロ解体に向けた攻撃に見えます。又、一方で、「緊縮財政→健全化→EU統合強化→ドイツ主導」の流れは、ドル崩壊前のEUの内部体制固めにも見え、まだ強い金貸し勢の空売りを規制する誘い水とも考えられます。
ここまでEUの形成過程と金の動きを見て来ました。次回は最近の世界情勢を追いながら金貸しと欧州貴族との暗闘を見てゆきます。
●データ編(るいネットより)・・・・・【No.】は、上記年表内の番号と照らし合わせて見てください。
【152676】第二次大戦下のBIS→アメリカへの金集中→ドル基軸体制へ [9]
【220010】 金(gold)の先物取引所は、米政府が金を下落させるためのものだった(1) [10]
【152115】 外資による企業買収を可能にしたのは、日米金利差?その原因構造は?(ドルの帝国循環) [11]
【219498】 金リースって? [12]
【152672】 アメリカの赤字を日本の貯蓄で埋め合わせ。・・・・主権を放棄した日本政府! [13]
【226788】  IMF金売却の裏側 [14]
【228510】 金ETFで決済できることの意味 [15]
【214961】 新通貨 “ユーロ” 誕生前夜の金の動向 [16]
【226124】 米国産の偽の金塊を受け取ったと中国が主張 [17]
【234348】 インフレに敏感と言われている金(ゴールド)相場がこのデフレ下で上昇し続けるその意味は? [18]
【231739】 2010年経済危機(1) ゴールドマン・サックスの詐欺的手法 [19]
【231744】 2010年経済危機(2) ギリシャ発ユーロ危機 [20]
【233292】 ユーロ暴落の流れを最大限に活用して、脱金融⇒輸出主導型の立て直しを図るドイツ [21]
【232929】 EUを制するものが次期の世界を制する?それはドイツか? [22]
【161597】 サブプライムローン問題:各種データ [23]
【90】 ブレトン・ウッズ協定 [24]
【100】EU経済(通貨)統合への過程① [25]
【200】 欧州通貨制度 [26]
【300】欧州為替相場メカニズム [27]
【400】円キャリー取引 [28]
【500】ITバブル(インターネット・バブル) [29]
【600】英国の金売却 [30]
【700】ドルに代わる通貨システムは?〜10.金(ゴールド)高騰が意味するもの [31]
【800】1980年の金高騰の裏事情 [32]
【900】オイルマネー [33]
【1000】住宅バブルの崩壊、大手住宅ローン会社が倒産 [34]   
【1100】The gold price contorol /2 (金価格決定者:ロスチャイルド) [35]

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