2010-06-11

『ユーロ発国家財政危機の行方』2.小国ギリシャの危機がなぜユーロ危機につながったか?

ギリシャ危機がPIIGSのスペインに波及し始めています。
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スペインの貯蓄銀行カハスールを中央銀行の管理下に置くと発表。(5月22日)
これを受け翌週の24日、ユーロが急落するなど金融市場は混乱しました。
また、英米格付け会社フィッチレーティングスがスペイン国債を格下げ(5月28日)
を発表し、更に混迷を深めて行きます。
そして最近のハンガリーからは、
>2年前の金融危機で国際通貨基金(IMF)の経済支援を仰いだハンガリーの
政府与党幹部の「わが国の財政にもギリシャ同様の粉飾があった」との不用意な
発言が世界市場を激しく揺さぶっている。欧州連合(EU)加盟国の同国は
欧州単一通貨ユーロには未参加だが、欧州の信用不安が再燃して外国為替市場で
ユーロが再び急落した。
「ハンガリー不用意発言 世界市場に衝撃広げる」から引用
小国ギリシャ発の「ユーロの信用不安」が止まらない。この構造は
一体どのようなものなのでしょうか?
🙄 🙄
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●ここでPIIGSの状況を見てみます
GDP比の財政赤字は (ユーロに入る為の条件は3%以内)
①アイルランド 約ー15%
②ギリシャ 約ー12%
③スペイン 約ー10%
④ポルトガル 約ー8%
⑤イタリア 約ー5%
GDP比での負債は (ユーロに入る為の条件は60%以内)
①ギリシャ 約125%   
②イタリア 約117%   
③ポルトガル 約85%  
④アイルランド 約83% 
⑤スペイン 約67%
これを図にすると
%E5%8F%8C%E5%AD%90%E8%B5%A4%E5%AD%97.jpg 週間エコノミストから引用
PIIGSはユーロ加入条件を全て満たしていません。
前回投稿の『ユーロ発国家財政危機の行方』1.ギリシャ問題・PIIGS問題とは?
にあるように2009年末の総負債額で比較すると
・P(ポルトガル)  :2860億ドル
・I(イタリア)    : 1.4兆ドル
・I(アイルランド)  :8670億ドル
・G(ギリシャ)    :2340億ドル
・S(スペイン)    : 1.1兆ドル
PIIGS各国は、ギリシャ以上に負債を抱えていることが分かります。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
引用終わり
冒頭に記載したようにギリシャ危機が引き金となり、同じ構造のスペインが
ソブリンリスクに晒されている。しかしそれだけではないのです。
以下『スペイン経済危機と財政赤字 不動産バブル崩壊影響はユーロ離脱へ』から引用
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ギリシャやポルトガルまでの財政危機ならまだいい。
しかしスペインまで及ぶと、その悪影響はユーロ圏や通貨に決定的
なダメージを与える。
世界8位の経済大国だからだ。

さらにそれで終わりにならないのが、今回のユーロ危機なのである。
ユーロの代表国である、イタリアやフランスまで影響が及ぶだろう。
もちろんその前に、東欧諸国がデフォルトする運命にある。
そして最後の最後にドイツが悲劇を迎えることになるのである。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
引用終わり
最新の情報ではイタリア・東欧・バルト3国も同じようです。
『イタリア経済・財政危機 ユーロ圏でスペインと共倒れになる可能性も』
参照願います。
●では、このヤバイのPIIGSの負債の資産はだれが持っているのか?
以下の表を参照願います
%E4%B8%8E%E4%BF%A1%E6%AE%8B%E9%AB%98.jpg 
週間エコノミストから引用
%E6%AF%94%E7%8E%87.jpg
ユーロ圏に占める各国のGDP比率  週間エコノミストから引用
大きくはフランス8948億ドル(GDP比:33.4%)、ドイツ7038億ドル
(GDP比:21%)英国4000億ドル(GDP比:18.3%)他です。
既にギリシャ危機にIMFとユーロ加盟国の融資がなされた。
欧州中央銀行(ECB)はギリシャ国債を買取っている。

●では、ギリシャが破産したらどうなるのでしょうか?
IMF融資は低金利の見返りに優先弁済権を持つ。
ユーロ加盟国の融資は高い金利を設定したことで優先弁済権は
持たない。
つまりユーロ圏経済のGDP比の2%のギリシャが債権放棄する際には、
ユーロ加盟国とECB、そして欧州の金融機関の債権が焦げ付いて
資産に穴があき銀行倒産に向かう。これが引き金でPIIGSの信用不安
→破綻→フランスとドイツは大ダメージを受けることになるでしょう。

●実は影響はこれだけではない。
『PIIGS経済危機・財政赤字問題は、米国の巨大銀行を消滅させる』
からの引用です
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
巷では、ギリシャのような小国が世界を揺るがすほどの危機は起こせ
ない. . . などと悠長な発言をしている人がいるが、97年に起こった
アジア通貨危機では、ギリシャより経済規模が小さかった当時のタイ
を発端に起こったことを忘れてはいけない。

とくに今回のユーロ圏危機は米国の金融機関を直撃する。
PIIGSに対するエクスポージャー(投融資)では、全米2位の銀行、
JPモルガンチェースが最大の貸し手となっている。

JPモルガンのPIIGS向けのエクスポージャーは363億ドル。
さらにモルガンスタンレーも324億ドルも融資している。
いうまでもなく米国政府が恐れている理由はコレだ。
これらの銀行は政府資本が入っているから、情報もわかっている。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
引用終わり
実は、EUのみならならずアメリカをも巻き込む引き金なのです。
ユーロ圏経済のGDP比の2%のギリシャ市場の危機が引き金となって、
ユーロと米国は金融危機の直撃を受けることになる。
さながら尻尾が犬を振り回すような状態になっています。
●小国ギリシャの危機がなぜユーロ危機につながったか?(まとめ)
ギリシャはユーロの域外輸出依存度は最低で、競争力を持つ
輸出商品目がほとんどありません。これは対外債務の比率に現れ、
IMFのデータを見ると80%を越えています。
「いざ、ギリシャが危ない」という引き金が弾かれれば、デフォルトに
なってもおかしくない構造です。

これまで見て来たように、ユーロ圏のドイツ、フランスの銀行は
ギリシャ国債を多額に持っています。(
英国、米国も)
何らかの噂でギリシャ国債が弾ければPIIGSが破綻する。
それはドイツ・フランスの危機であり正にユーロ危機に繋がるのです。

List    投稿者 sakashun | 2010-06-11 | Posted in 未分類 | 3 Comments » 

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コメント3件

 miumiu バッグ | 2013.10.23 1:38

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