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金融資本主義の崩壊、その実相追求 プロローグ

2009年12月から2010年2月にかけて、『世界経済破局への長い序章?』というシリーズで、ドバイ破綻、ギリシャの国家債務危機、米国連邦政府の債務上限問題、FDIC(連邦預金保険公社)問題、中国バブルなど、国家債務(借金)とそれに関連した金融危機を扱いました。

1.ドバイ破綻の背後にある暗闘 [1] 
2.次の弱い環はFDIC(連邦預金保険公社)か [2] 
3.ギリシャ危機=欧州通貨ユーロの危機 [3] 
4.米国連邦政府、毎月法案審議で自転車操業中 [4] 
5.中国2010年経済予測〜資産バブルの行方は? [5] 
6.天然ガスのアジア(中国)売り込みに追詰められたロシア [6] 
7.GCC諸国のオイルマネーはいつまで米国に還流するか? [7] 
8.オバマの金融規制強化案は本気か!? [8] 
9.反米闘士の指導者に率いられるラ米諸国 [9] 
10.G2(米中)が破綻し、G7が主軸になるの? [10]

ギリシャの国家債務にしても、米国連邦政府の債務上限問題にしても、事態はより深刻化しています。国家債務の破綻とそれを取り繕う『救済策』が延々と議論されていますが、一向に解決策に向かっていません。 
 
これは、金貸し達が差配する金融資本主義が、既に崩壊過程に入っていることを示しています。現象事象としては、以下のような状況です。 
 
金融バブル・不動産バブルによってしか人工的に市場を維持できない。(米国、中国) 
加速する国家債務をコントロールできない。(ギリシャ国家債務、米国連邦政府債務上限) 
中央銀行制度によるマネーフロー操作が効果を発揮しない。(欧州中央銀行、FRB、日銀) 
金融危機・政府債務危機という洗脳が無効になりつつある。(ギリシャ暴動、米国ティーパーティ、日本) 
 
今回は、金貸し達の差配する金融資本主義が崩壊過程に入っていると考え、その実相を解明してみます。 
 
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▽金貸し達のマネーゲーム=国家CDS(Credit Default Swap) 
 
ギリシャの債務危機に関係して、ソブリン債とかCDS取引とかの用語が、解説記事に登場します。 
 
こんな記事です。 
 
欧州のソブリン債保証コストが過去最高に上昇−CDS取引 [11] 
 
ソブリン債とは、各国の政府、政府関係機関が発行する債券(国債など)のことです。そして、この国債リスクに対し、金融市場(マネーゲーム)が指標として付けるものがCDSです。 
 
金貸し達は、何でも金融市場の取引対象としてしまいます。国家の債務不履行(デフォルト)のリスクを取引対象とします。具体的には、国家CDS(Credit Default Swap)です。 
 
下の表は、5月段階の国家財政リスク(不信認度合)の順番とその数値です。 
 
   [12] 
  ポップアップです 
 
出典:国家債務不履行(デフォルト)リスク:瀬戸際に立つギリシャ<Country Default Risk;Greece Stands Out> [13] 
 
この指標は、10000ポイントに対して、何ポイント保険料を払ったら、その国家の債務(借金)を肩代わりできるかというものです。 
 
ギリシャは、「2237ポイント分(元本の約1/4)を保険料として払ってくれたら、ギリシャ国債の元本を保証します」という意味になります。 
 
国家債務の危機が言われているギリシャやポルトガルの点数が高いのは分ります。一方、2番目のベネズエラは、原油収入があり外貨準備も十分ですが、1192ポイントとなっていて、疑問一杯ですね。 
 
連邦政府の債務上限引上げ問題を恒常的に抱えている米国(USA)が53ポイントとは低すぎです。 
 
弱小国家(弱小通貨国家)に対しては厳しい点数、巨大国家(中枢通貨国家)に対しては甘い点数となっています。 
 
中枢通貨国家は、金貸し達そのものですから、自ら破綻点数を付けないという『ご都合主義』が透けて見えます。 
 
今回のシリーズでは、この辺の金貸し達のご都合主義も合わせて扱います。 
 
▽シリーズの構成(案) 
 
シリーズの構成は、概ね以下のような展開を考えています。但し、事態急変(例えば、8月4日の米国連邦政府の債務不履行)の場合には、それをとり上げます。また、調査を進めた結果の組み換えもあります。 
 
1.弱小国家の歴史的な破綻(アルゼンチンなど) 
 
*弱小国家だから破綻させることができた。 
 
2.ギリシャは何故、巨額の国家債務を積み上げたのか 
 
*強い通貨ユーロを自由に使える様になり、楽して消費に走った。それを唆したのがゴールドマン・サックス。 
 
3.ギリシャの債務救済がうまく行かない理由、EU大衆の意識の断絶 
 
*国家ギリシャの財政危機が通貨ユーロの信認問題に直結するというシステム不備。 
*ドラクマ時代以上の貧窮生活への転落が我慢ならないギリシャ人大衆。ギリシャの放漫を受け入れれないドイツ人大衆。(ドラクマは、通貨ユーロに参加する前のギリシャの通貨です。) 
 
4.米国連邦政府の債務上限引上げを巡る金貸し達の思惑 
 
*債務上限引上げを巡る共和党(デイビット派)と民主党(ロスチャイルド派)の攻防 
*基軸通貨ドル、米国政府のCDSは何故小さいのか。超優良格付け(AAA)とデフォルト(D)の中間がありえないドルと米国債。 
 
5.連邦政府を見捨てつつある米国大衆(ティーパーティ) 
 
*反ワシントン意識、連邦政府そのものを問題にしているティーパーティ運動。金本位制を検討しだした州政府。 
 
6.陰謀渦巻くIMF専務理事問題、中国は改革よりもIMFでの権力確保 
 
*専務理事を巡るスキャンダルとラガルド前フランス財務相の就任。専務理事承認を契機に中国はIMF内の権力を拡大。 
 
7.共産党幹部による財政バブルをコントロールできない中国 
 
*中国のバブルは、共産党幹部の既得権。自分自身をコントロールできないのは当然。 
 
8.人民元経済圏で、中枢通貨を確立できるか 
 
*外周部に人民元取引経済圏を成立させたが、それだけでは人民元は中軸通貨とはなれない。 
 
9.中東の大衆政治参加で、産油国のドル還流はより不安定に 
 
*エジプト、サウジの政治状況が転換しだした。産油国のドル還流(米国・ドル支え)に大きく影響する。 
 
(以下はタイトルのみ) 
 
10.アフリカ諸国はどんな(南アフリカの安定と弱小国家の債務棚上げ) 
11.反米・ドル離れを徹底できないラ米諸国 
12.インドと東南アジアをどうみるか 
13.財政破綻・増税路線という洗脳から脱却できるか日本 
14.われわれは、どこへ向かうべきか(金貸し達と経済学・経済論評の洗脳を脱却して) 
 
紆余曲折が予想されますが、スタートを切ります。 
 

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