2010-01-07

世界経済破局への長い序章? 4.米国連邦政府、毎月法案審議で自転車操業中

<世界経済破局への長い序章?>シリーズの続きです。 
 
1.ドバイ破綻の背後にある暗闘 
2.次の弱い環はFDIC(連邦預金保険公社)か 
3.ギリシャ危機=欧州通貨ユーロの危機 
 
ドバイ、米国FDIC、ギリシャと見てきましたが、今回は再度米国です。 
 
米国債の発行上限規制に手を縛られている連邦政府 
 
米国では、金融機関救済、住宅ローン救済(住宅ローン貸付の政府機関救済)、失業手当給付、グリーン・ニューディール投資への財源手当て等で、連邦政府予算は膨らみに膨らんでいます。
一方、税収は大幅減収で、連邦政府は巨額の赤字国債を発行し続けるしかないのです。 
 
だが、国債発行には上限規制が存在し、常に議会で枠拡大の法律を成立させる必要があります。 
昨年12月、米国債発行枠の上限に達してしまい、発行不能という事態に陥る可能性がありました。 
 
その動きをおってみます。 
 
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米国連法政府は、2ヵ年で3兆ドル(300兆円)の赤字に 
 
下の図にあるように、財政赤字は2009会計年(2008年10月〜2009年9月)、2010会計年(2009年10月〜2010年9月)の2ヵ年で、3兆ドルを超えてしまいます。
大統領府予測で2009会計年が1.75兆ドル、2010会計年が1.19兆ドル、計1.94兆ドル。
CBO(議会予算局)予測で2009会計年1.85兆ドル、2010会計年1.35兆ドル、計2.2兆ドルですね。 
 
  USAdebt01.jpg 
 
連邦政府の赤字スピード(必要とする国債発行の増額スピード)が余りにも速すぎて、法律で規定されている発行枠を使い果たし、余裕がなくなってしまったのです。 
 
2010会計年の初め(2009年10月)段階で、その上限は12.1兆ドルです。 
しかし、12月末には上限の12.1兆ドルの枠を使い切ってしまい、もはや、連邦政府が国債発行ができない事態に至りました。 
 
そこで、米国12月議会がどのような法律(上限枠の拡大)を通すのか、注目されていたのです。 
 
1.8兆ドルの予定が、2900億ドル(2か月分)しか認めなかった議会  
 
民主党が多数を占める議会では、当初、1.8兆ドル規模の上限拡大の法律を審議しようとしました。この1.8兆ドルは、2010年秋の中間選挙まで大丈夫という規模です。 
 
しかし、1.8兆ドル案が報道されると、米国民から最大のブーイングが起こってしまいました。
例えば、ネット上での調査では、反対99%という数字になりました。 
 
<Walk in the SpiritさんのUS市民の反応、債務上限引上げから> 
 
そこで、与党民主党は、当面の急場をしのぐ、2900億ドル案を議会に提出し、下院では4票差というぎりぎりの採決で、なんとか成立させたのです。 
 
米下院、連邦債務上限の2900億ドル引き上げを可決

[ワシントン 16日 ロイター] 米下院は16日、連邦政府債務の上限を2900億ドル引き上げる案を、賛成218票、反対214票で可決した。 
 
引き上げ後の債務上限は12兆3940億ドル。引き上げ分で2カ月間の政府借り入れがカバーされる。 
 
下院の可決に続き、上院は連邦債務が現在の上限である12兆1000億ドルを超える前に、上限引き上げについて採決を行う見通し。 
 
市場では、財政赤字の拡大に対する懸念が高まっており、債務上限引き上げに賛成票を投じた共和党議員はいなかった。 
 
民主党のホイヤー下院院内総務は、金融市場を揺るがす債務不履行(デフォルト)を避けるため、上限引き上げ以外、選択肢はなかったと主張。 
 
ただ下院の審議では、財政赤字の拡大をめぐり民主党、共和党の双方が互いを非難した。
共和党のブラウンウェイト下院議員は「ティーンエイジャーがクレジットカードを使い続けるようなものだ」と批判した。

米上院が連邦債務上限の2900億ドル引き上げを可決、大統領署名経て成立へ

[ワシントン 24日 ロイター] 米上院は24日、連邦政府債務の上限を2900億ドル引き上げる案を、賛成60票、反対39票で可決した。 
 
共和党議員では1人が賛成票を、また民主党議員では1人が反対票を投じた。 
 
共和党は見境のない支出で債務が増大したと民主党を批判。一方、民主党はブッシュ前政権の間に債務が急増したと指摘している。 
 
財務省は米国の債務は12月31日までに現行の債務上限に達する公算が大きいとし、米国史上初めて債務不履行のリスクに国がさらされる可能性があると警告していた。

そして、12月28日にオバマ大統領が署名し、2900億ドルの新規発行枠を確保し、なんとか年越しを終えました。 
 
いまや資金繰り自転車操業の米国連邦政府 
 
しかし、しかしです。 
 
新年早々、2000億ドルの発行を迫られ、残りは1400億ドルになってしまいました。2ヵ月分を確保したつもりが、既に1ヵ月分もない事態です。 
 
  USAdebt04.jpg 
 
<これも、Walk in the Spiritさんの12月ADPから読む金曜の雇用統計からです。> 
 
米国議会では、1月にまた米国債の上限枠拡大の法律を審議することになります。 
 
米国連邦政府は、資金繰りに毎月毎月悩まされる自転車操業に陥ってしまいました。 
 
この事態をみて、米国債の利率上昇(価格下落)が始まりました。 
 
モニターしている510:米国債10年物 (指数)では、2009年12月前半の3.3%の水準から1月6日現在で、3.8%の水準に上昇しています。 
 
米国連邦政府が、カリフォルニア州と同じように、資金ショートする事態もありえるのです。 
 

List    投稿者 leonrosa | 2010-01-07 | Posted in 10.経済NEWS・その他4 Comments » 

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コメント4件

 北村慶 | 2010.09.18 12:30

『排出権取引とは何か』の著者の北村慶です。
貴ブログで、拙書を取り上げていただき、ありがとうございます。
「CO2以外の排出権」および環境と経済成長の行きつく先に何が待っているのかについては、『温暖化がカネになる』に詳述していますので、併せて参照いただければ幸甚です。

 ルイヴィトン 店舗 | 2013.07.06 3:29

こんにちは、またブログ覗かせていただきました。また、遊びに来ま〜す。よろしくお願いします

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hermes oldenburg 金貸しは、国家を相手に金を貸す | CO2排出権市場ってどうなっている?7〜CO2本位制による新しい序列社会の登場〜

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