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『なぜ今、中東民主化が起きているのか?』【4】ニュースの整理:イスラエル隣国諸国編〜孤立するイスラエル〜

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今回は、アラブの春・民主化へ向かうチュニジア・エジプトから少し離れ、イスラエルやトルコ、最近、国連加盟申請に動き「パレスチナの春」と呼ばれるパレスチナ自治区の状況を見ていきたいと思います。現在、イスラエル周辺はどうなっているのでしょうか?ニュースから拾ってくると
・イスラエル国内でも大規模なデモが発生 [2]
・エジプトでイスラエル大使館にデモ隊が乱入。イスラエル大使は国外へ脱出 [3]
・パレスチナ自治政府が国連加盟を申請 [4]
・トルコ首相がアラブの春3各国歴訪 [5]
何故、このようなことが起きているのか?
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●国力が低下するイスラエル
イスラエル国内では、アラブの春の影響を受けて、支配層(アシュケナジム)と被支配層(セファルディム)の対立が激化し内紛が表面化しています。8月の30万人クラスのデモは、9月には学生だけでなく中産階級も加わり、40万規模に拡大しています。

%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%83%A9%E3%82%A8%E3%83%AB%E3%83%87%E3%83%A2.jpg2011年7月30日には、イスラエル国内で住宅価格や生活費の高騰、貧富の格差に対して抗議する15万人規模のデモが起きている。左派系のみでなく、保守系の人々も多数参加した極めて大規模なものである。8月6日には、最低賃金引上げなどを求め30万人規模のイスラエル建国至上最大の抗議運動が起きた。参照→リンク [6]

では、この騒ぎの中心:イスラエルのネタニヤフ首相とは、どのような人物なのか?

1996年、現在ブッシュ政権に参画しているネオコン派は、イスラエルの右翼ネタニヤフ首相のためにある政策文書を作成した。この政策文書で、「イラクのサダム・フセイン大統領を権力の座から追放すること──これがイスラエル生き残りのための重要な戦略目標である」と提言した。参照→リンク [7]

イスラエルはもともとロスチャイルドによって作られた国ですが、その後ネオコンによるイスラエル・ロビー活動等のようにデビット・ロックフェラーの影響力が強くなり、アメリカはイスラエルへ多くの武器と金を流し、周辺国との対立を作りだしてきました。イスラエル・ネタニヤフ首相は、このネオコンのコントロール下にあります。
その後、バックにロスチャイルドを持つオバマ政権に移行した後は、米国政権内に隠然たる勢力を持っていた、このネオコンといわれるイスラエル・ロビーたちの活動を全面的に禁止する通達を出し、イスラエルへの政策転換を進めてきました。詳細は、るいネット「米国から離縁されるイスラエル〜国際戦略コラム〜」 [8]参照。
現在のイスラエルは、周辺アラブ国の民主化の影響も受け、学生・中産階級等の被支配者層による反発が吹き出してきています。政権側は、デビット系の力の低下もあり、この反発を押さえられなくなってきているのではないでしょか。このデモの裏には、欧州貴族・ロスチャ系の力が働いていると思われます。
●国連加盟に動くパレスチナ自治区(パレスチナの春)
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オバマ政権は、国家として自立するのは黙認し、国連加盟については何とか阻止したい意向です。もともとアメリカは、表ではこの地区の仲裁役として役割を主張してきましたが、実態は当然、失敗続きでパレスチナ地区では「誰もアメリカを信用していない」という状況です。
この状況の中で「拒否権」を発動すると、アメリカの中東での影響力が更に低下するのを恐れています。よって、何とか両社の話し合いで決着させたい。
このパレスチナの動きは、「デビットの力の低下→イスラエルの国力の低下→パレスチナ自治区の国家としての自立」へと動いているのではないでしょうか。
●アラブ・イスラム諸国の民主化の手本→トルコ
アラブ・イスラム諸国の中で、いち早く欧米型の民主化へ転換した国がトルコです。
現在、このトルコの動きに注目です。
○トルコはイスラム諸国の中ではいち早く民主化した国

第二次世界大戦の終結にともなって、民主主義が国際的な政治スローガンとなった。国内的にも準臨戦態勢で国民生活は疲弊し、体制への不満が高まっていた。そうした中で指導者層において、体制の枠組みが確立された上、西洋世界への仲間入りを目指す以上、複数政党制に移行するべきだとの議論が優勢となり、民主化が決定された。参照:中東・イスラーム諸国の民主化 [9]

そして、1950年には選挙による政権交代が実現し、民主党政権が誕生。その後、NATOに加盟し、現在EUへの加盟も申請しています。
○トルコはアラブ諸国の民主化運動に対して影響力を強めようとしている。

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首相はその後、チュニジア、リビアも訪問予定で、民主化要求運動「アラブの春」で政変が起きた3カ国歴訪を通し、中東の「民主国家」として、この地域への影響力を強めたい意向だ。毎日JP [10] 参照

政権と宗教を分離して民主化を実現してるトルコは、今回の民主化運動の中で自らの影響力を強め、他国も同様にトルコ型民主化へ移行させようとしている。
○トルコとイスラエルの関係が悪化

一方、今回のエルドアン首相のアラブ歴訪に、イスラエルは神経をとがらせている。ガザ支援船急襲事件でトルコはイスラエルとの関係が決定的に悪化。さらに、エジプトはムバラク前政権の親イスラエル姿勢を修正している。こうした2国の急接近を、イスラエルは楽観できないはずだ。毎日JP [10]参照

このトルコとエジプトの急接近の中で、エジプト・イスラエル大使館へのデモ隊乱入も起こっています。完全にイスラエルは、中東内で孤立化してきています。
○金貸しは、トルコを民主化のお手本にするキャンペーンを張っている?
エジプト・デモ 「トルコ型民主化」への期待強まる [11]参照。
各国メディアは、トルコ型の民主化に期待感を強め発信しています。これは、金貸しのキャンペーンか?
●まとめ
中東では「アラブの春」「パレスチナの春」と民主化の動きが活発化しています。デビット系のイスラエル・ネタニヤフ政権は、今まで仲間であったトルコ・エジプトとも対立し、完全に孤立化。パレスチナ自治区は国際世論を武器に国家樹立に動き出しています。
この動きの裏では、欧州・ロスチャ系(ユーロ)とデビット・ロックフェラー(ドル)との熾烈な闘争があると思われます。
「アラブの春」の闘争の中で独裁政権を倒した各国が、今後どの方向に向かうのか?
政権が宗教と分離した「トルコ型民主化」か?イスラムを残す「イラン型」か?今後の動きに注目です。
次回は、リビアについて詳細を見ていきたいと思います。お楽しみに 😀
画像はこちらからお借りしました。
●パレスチナ国連加盟申請書 [12]
9月23日、ニューヨークの国連総会議場で、国連加盟申請書のコピーを掲げるパレスチナ自治政府のアッバス議長(AP)
●パレスチナ国連加盟 [13]
23日、ヨルダン川西岸のパレスチナ自治区ラマラで、大型スクリーンでアッバス自治政府議長の演説を聞くパレスチナ人(ロイター)
●中東地図 [14]
●イスラエル地図 [15]

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