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『なぜ今、中東民主化が起きているのか?』【6】:欧州主導説

【1】『なぜ今、中東民主化が起きているのか?』 [1]のシリーズは、これまで
【2】チュニジア [2] 
【3】エジプト [3] 
【4】イスラエル隣国諸国  [4]
【5】リビア  [5]
とニュースの整理を行ってきましたが、今回からいよいよ分析編に入ります。
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<欧州連合の旗:画像はこちら [6]からお借りしました>

ネット界でも様々な説があるようですが、その中から代表的なものを紹介し、検証していきます。欧州主導説、米国主導説、民族意識主導説という切り口で、各々を見て行きますが、どれか一つというわけではなく、それらが複雑に絡まっているかも知れません。最終的にはそれらを構造化することにチャレンジしていきたいと思います。

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代表的な欧州主導説を紹介します。基本的な分析は、中東におけるアメリカ覇権の終焉に伴って、欧州がアメリカの追い出しにかかったというものです。

中東におけるアメリカ覇権の終焉か(「中東の窓」より引用) [7]
>アメリカが国連安保理において、イスラエル入植地非難決議に拒否権を発動した。しかしアメリカ以外の14理事国は決議案を支持。
>今、世界で孤立しているのはアメリカとイスラエルだ。揺れる中東情勢の中、アメリカの覇権力が目に見えて弱まってく。

中東で追い込まれる米国戦争屋:前原総理誕生シナリオを絶対に許すな!①(「新ベンチャー革命」より引用) [8]
>この意味で、欧州寡頭勢力がオバマ政権を誕生させた究極の目的、それこそ、もともと、欧州寡頭勢力のシマであった中東・北アフリカから新参者・米戦争屋(=デビッドRF勢力)を追い出すことであったとみなせます。

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<カダフィ派の車両を狙って行われた多国籍軍の空爆:画像はこちら [9]からお借りしました>

さて、ここでいくつか疑問点がありますので、検証してみます。
①米国がパレスチナ国連加盟に反対なのはなんで?
上記の「中東の窓」の記事 [7]では、米国覇権終焉を示す事例として、国連安保理での孤立を挙げていますが、同様の問題として、パレスチナ国連加盟問題(パレスチナの春)があります。国際社会が加盟を認める方向であるのに対し、米国は反対の構えです。
『なぜ今、中東民主化が起きているのか?』【4】ニュースの整理:イスラエル隣国諸国編より [10]
★米国はなぜ反対なのでしょうか?
・イスラエルはもともとロスチャイルドによって作られた国ですが、その後はロックフェラーの影響力が強くなっています。
・米国がアラブ諸国を敵に回してパレスチナ国連加盟に反対するのは、戦争屋ロックフェラーにとっては、イスラエルVSアラブの対立を煽って戦争のネタにするのが常套手段であるからだと思われます。
・しかし、米国以外の国際社会が賛成に回っており、米国が孤立化しつつあるのはやはり注目点で、欧州優勢、米国劣勢をうかがわせます。
・オバマ大統領が拒否権に慎重な構えを見せているのも、背後の欧州(ロスチャ)勢力に配慮したものと思われます。

②東欧民主化との共通点?
上記の「新ベンチャー革命」の記事 [8]では、欧州主導である根拠として以下の点を挙げています。
>反政府運動家は東欧関係者から作戦成功の秘訣を教示してもらっているとのこと。この情報から、中東・北アフリカ騒乱の扇動勢力は米国系ではなく、欧州系であることがわります。
★東欧関係者から反政府運動作戦成功の秘訣を教示してもらったというのは本当でしょうか?東欧民主化との関係を調べてみます。

ロシア周辺諸国民主化とアメリカの戦略 [11]
■2000年から始まった東欧の「カラー革命」
>セルビアの「ビロード革命」に端を発し、グルジアの「バラ革命」、ウクライナの「オレンジ革命」そしてキルギスの「チューリップ革命」と、旧ソ連の4ヶ国が「民主化」という名でアメリカの陣営に接近した。
>このカラー革命を仕掛けたのがアメリカのネオコン派で、(中略)そしてここでのキーパーソンが、米国共和党のマケイン議員である。

・東欧の民主化(カラー革命)は、米国が仕掛け人という説です。「新ベンチャー革命」の言うところの東欧関係者とは??

●中間まとめ
・歴史的には中東・北アフリカは元々欧州の縄張りでした。
(例えば、チュニジアはローマ帝国に征服され、近代はフランスに支配された国でしたし、エジプトもローマ帝国の属州で、近代はイギリスに支配された国でした。またリビアもローマ帝国に支配された国で、近代はイタリアの植民地でした。)
・しかし、第二次大戦後、米国が石油利権を支配し、欧州の縄張りを荒らしてきました。
(例えば、エジプトのサダト〜ムバラクの傀儡政権がその代表。)
・中東地域では、元々の支配者であった欧州(欧州貴族・ロスチャ)VS新興勢力の米国(ロックフェラー)のし烈な覇権争いが繰り広げられてきたと見るべきでしょう。

・ところが、近年になって(とりわけリーマンショック以降)米国の衰退が明らかになり、中東における米国覇権も終焉してきています。中東情勢は基本的に欧州優勢、米国劣勢と見るべきでしょう。

・マクロ的な流れを見ると、今回の中東民主化は、このような情勢変化を踏まえて、欧州(欧州貴族・ロスチャ)が米国に荒らされた縄張りの奪回にかかってきたものと考えられるのではないでしょうか?
★しかし、東欧の民主化(カラー革命)を仕掛けたのは米国であるとか、エジプトで民主化運動の先頭に立った若者は米国で訓練を受けてきた等の情報があり、欧州主導には様々な疑問が残ります。

次回は、視点を変えて、やはり米国主導なのではないか?という説を分析してみます。お楽しみに!

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