- 金貸しは、国家を相手に金を貸す - http://www.kanekashi.com/blog -

世界の闇の支配勢力から日本の支配史を読み解く【歴史No.8 江戸時代とは武力支配から資力支配への移行期だった】

シリーズでお送りしていた『世界の闇の支配勢力から日本の支配史を読み解く』も今回で最終回となります。最終回と言うこともあり、今回はこれまで勉強してきたことを図解にして因果関係を整理してみたいと思います。(過去の投稿は以下をご参照ください。)
No.1 市場拡大を狙う欧州勢が日本へ来た理由〜江戸時代前夜〜 [1]
No.2 金貸し(カトリック)の狙い⇔時の為政者の思惑 [2]
No.3 鎖国の狙い 〜貿易を独占し、大名の経済基盤を奪った江戸幕府〜 [3]
No.4 幕藩体制の確立 〜諸大名の「武力」+「資力」を削ぎ落した江戸初期の政策〜 [4]
No.5 江戸時代の貨幣経済 〜何をするにも金のかかる時代へ〜 [5]
No.6 江戸時代に拡大した性市場 [6]
No.7 江戸時代は商人が創った? [7]
いつも応援ありがとうございます。


今回は江戸時代を中心に勉強してきましたが、改めて上記(No.1〜7)の史実と仮説を検討、検証の結果、図解としては以下のように纏められました。ご覧ください。
[8]
以下、補足とその解説です。
※1 武器の確保⇒江戸の支配体制の確立

%E9%96%A2%E3%83%B6%E5%8E%9F%E3%81%AE%E6%88%A6%E3%81%84%E3%80%80%E9%89%84%E7%A0%B2.jpg
●商人無しに天下統一は実現しなかった?
そもそも商人は、戦国時代以前から暗躍していた。会合衆と呼ばれる、商人たちは室町時代からその歴史を持つ。織田信長は彼らに軍資金拠出を強要し、言う事聞かなければ「皆殺しにするぞ!」と脅し、豊臣秀吉も商人を利用しながら天下統一を図ったが、統一後は相当に無理強いをした。
(中略)
信長の天下統一が商人の調達した鉄砲によるものである事は有名である。信長、秀吉、家康、と覇者交代の戦を重ねるたびに商人(武器商人)の戦(いくさ)における影響力が大きくなっていく事を示しており、戦国時代最終の家康は、もはや商人の後ろ盾が無ければ天下統一できなかったのではないでしょうか?
信長の時代から、堺の豪商「今井宗久」「三好三人衆」など、武器商人として暗躍し、天下に影響を及ぼしていた事を考えると、その覇権争いの最終勝利者の徳川家康は、最も商人の影響を受けていたのは当然なのかもしれません。
No.7 江戸時代は商人が創った? [7]

⇒武器の確保が天下統一の絶対条件だったと言うことです。そしてその武器は商人達によって調達されていました。となると、武器商人を味方にすることが絶対的に有利になる訳ですね。
※2 御用商人が誕生・・・

%E8%B6%8A%E5%BE%8C%E5%B1%8B%EF%BC%92.jpg
「江戸時代は鎖国体制では無い」
実際は朱印船貿易を始め、特権を商人に与えて貿易をさせていたのであって、これも商人達の意のままに施策されたと疑わざるを得ない。
このほかにも、海運都市、大阪は歴史的に豪商が尽力して水路を切り開いたなどとの美談も聞かれるが、実際は開発の見返りに、朱印・糸割符などの特権割賦、酒造や興行の権利、年寄り役の任命、などを得て商人たちは成長していった。(←水路開発の実態は現代のデベロッパー。金を集めて水路、海運事業を行いその権利や周りの土地を売り払うと言うもの。)
No.7 江戸時代は商人が創った? [7]

⇒武器商人に“恩を請けた(=貸しを作った)”家康。泰平の世となり武器が不要となった暁に、商人には恩恵として旨みのある仕事を与えたんですね。
※3 何をするにもお金の掛かる社会に・・・

%E3%81%8A%E9%87%91.jpg
天下泰平の世を実現するため、貨幣経済を浸透させ、大名への経済統制を行った幕府。当初は狙い通り、大名の力を抑止することに成功します。しかし結果として、何をするにも金のかかる時代となり、生産せず、差益で大きく稼ぐ商人階級が台頭してきます。
No.5 江戸時代の貨幣経済 〜何をするにも金のかかる時代へ〜 [5]

⇒市場が拡大する背景には、単に需要が増える構造があるだけではなく、“何をするにも金のかかる”と言う構造が基盤にあるんですね。
※4 市場拡大(権力需要△→贅沢需要△→大衆需要△)

・権力需要とは・・・例えば、手伝普請(土木、治水事業)等によるもの。
・贅沢需要とは・・・例えば、参勤交代、鎖国(朱印船貿易)等によるもの。遊郭(No.6 江戸時代に拡大した性市場 [6] 参照)をはじめとする解脱需要等によるもの。
・大衆需要とは・・・例えば、娯楽(歌舞伎等)、ファッション(衣類、化粧等)、茶屋遊び等によるもの。『宵越しの金は残さない・・・』ことが粋であると評価された。

⇒権力需要によって人を集め→それらを管理する立場の人間が潤って贅沢を始める→そしてそれらを見て、余裕のでてきた庶民が真似をして一気に市場が裾野まで広がるんですね。
◆江戸時代とは武力支配から資力支配への移行期だった・・・
以上のように江戸時代を俯瞰してみると“江戸時代とは武力支配から資力支配への移行期だった”ことが見えてきました。家康が行った様々な施策も当初の意図はどうであれ結果的には商人に旨みがもたらされ、またその結果として『金を沢山持っている者(引いては金貸し)』が社会を支配する世の中が出来上がりました。
追伸:“当初の意図はどうであれ結果的には商人に旨みがもたらされ・・・”と記載しましたが“どうであれ”の部分、『誰が、何を目的に、どのようにして』と言ったところがまだ明確になっていません。要するに商人(金貸し)はどのようにして旨みを学んだのか?また、幕府の背後でどのように入れ知恵をしたのか?それとも偶然か?
●江戸時代は誰が作ったのか? [7]に触りがありますが、その辺りは今後の追求課題としたいと思います。

[9] [10] [11]