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『実現論:序』国家紙幣によるゼロ成長の経済運営

前回のエントリーでは、共同体企業ネットワークを実現すべく具体策の提案を紹介しました。ネットワーク化の際、民主主義者による弊害が壁となりますが、リセット後の必要意識の高まりによって実現へのスピードは加速するはずです。
 『実現論:序』共同体企業のネットワークをどう構築してゆくか [1]
 
リセット後の混乱期の下、改めて社会を統合していくことは困難を極めますが、そんな中でまず新勢力が打ち出すべき政策とは何なのか、今回はその中身に迫りたいと思います。
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写真は「コチラ」 [2]からお借りしました。
 
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◆中央銀行の廃止と国家紙幣の発行

【新勢力の政策方針】
それでは、リセット後の大混乱の中で、共同体企業のネットワークを中核とする新勢力が打ち出すべき政策は、何か?
次の社会が共認社会である以上、当然、『共認社会の実現』が、リセット後の全ての社会運営の大目標となり、経済運営の大前提となる。
まず最初に断行する必要があるのは、中央銀行の廃止と国家紙幣の発行である。


前々回の投稿(『実現論:序』 経済破局の下で秩序は維持できるのか? [5])で、中央銀行制度のままではインフレの沈静化は困難であるとことが解りました。また、大衆側も既存の制度が国家破綻の原因であることに気付き始めており、中央銀行制度に変わる新たな制度への期待が高まると考えられます。よって、中核勢力が打ち出す政策のひとつが「国家紙幣の発行」 です。金貸し支配から脱却する唯一の機会と捉え、まずは国家主導の社会へと転換する必要があります。
 

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◆循環型社会へ向けて 〜ゼロ成長路線への転換〜

そして経済運営としては、自然に適応した循環型社会に転換するために、ゼロ成長を基本としつつも、農と新エネルギーの振興に重点を置く必要がある。
ゼロ成長とは、簡単に言えば、売り上げUPゼロ、従って給与UPゼロ、預金UPもゼロということであり、何がしかの余裕蓄積(企業の利益蓄積や家計の貯蓄)が必要になるが、その必要分は、国家が企業と国民に新紙幣を配給すれば足りる。ただし、インフレを沈静化させる必要があるので、最初は最低限度分のみ支給し、インフレが治まるのを見ながら追加支給をしてゆくことになる。
また、マイナス1%成長とは、売り上げマイナス1%、給与もマイナス1%ということであり、これは物価がマイナス1%になる(or物価が同じなら物量がマイナス1%になる)のと同じである。従って、もしゼロ成長に戻す必要があるのなら、その場合は、その1%分の国家紙幣を国民に支給すれば足りる。


経済成長とは、国内総生産(GDP)の値が増加することをいいます。GDPとは、その国での一年間の生産量・消費量を概念化したものです。ここでは、ゼロ成長路線を打ち出しており、ゼロ成長とは即ちこのGDPが横這いであることをいいます。
 

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そもそも経済を閉塞させた主な原因は、経済成長を善しとするGDP信仰に駆られた特権階級が国債の大量発行をし、ムリヤリ市場を拡大・維持し続けてきた ことにあります。
しかし、大衆の私権活力(身分・お金に収束)や物欲といった欠乏は著しく衰弱しており、現在の市場では物余りの状況が続いているのが実態です。
グラフを見れば、借金してまで生産力を高めようとする今の経済政策が、明らかに大衆の意識潮流に逆行した路線であるか一目瞭然です。
 
 
◆必要な産業には大型助成

同時に、市場ではペイしないが、社会に絶対必要な生産活動、すなわち農業や介護や新エネルギー開発etcに対する大型の助成が必要になる。(ただし、助成金を一律にばら撒くのは愚策であり、農業や介護については、例えば売上高に応じてその50%〜150%を助成する生産高方式をとる必要がある。)
当然、財源が問題になるが、初めの一年間で市場の回転に必要な国家紙幣を支給して以降は(=2年目からは)、国家支出=税収を厳格に守る必要がある。そうでなければ、国家紙幣が水膨れしてゆき、インフレになってしまう。


リセット後の1〜2年の間は国家からの新紙幣の支給となります。そのような状況下にあれば、大衆の間で「必要か否か」の意識が今より遥かに顕在化してゆくでしょう。大衆が改めてお金の使い道を考えるようになった時、幻想価値の創出で生きてきた企業(仕事)は一気に淘汰されていくこととなり、皆が必要と認める仕事(農業・福祉・自然エネルギー開発)にお金が投入されていくことは必然です。
現在、このような仕事は収入が低く、働き手の減少傾向が続いていますが、労働者が活力をもって取り組める仕組みづくり、またそのための支援金の調整がこの時の課題となってきます。
必要なものに使われる税の徴収ならば、大衆の同意が得やすいのは明白です。後は、どのような税のとり方としていくか、そこを考えていく必要があります。
 

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◆国家税収の方法 〜所有税の強化で徴収〜

従って、税の取り方が重要な課題となるが、税制の基本は、所有税(土地や株式の所有税や相続税)を重くし、次に消費税(売り上げの例えば3%という形の売上税が望ましい)、そして生産税(所得税や法人税)を軽くすることである。
これは、何も生産していない単なる所有者の税負担を重くし、生産者の税負担を軽くすることによって、社会と経済の活性化を促そうとする政策である。


現在、生産者に対する税率が高く、生産しなくても不動産収入が得られる人からとる所有税の税率が低いという、働かない人が特をする税収形態になっています。
生産者・特に社会に必要なものを生産する者の税を軽くし、そうでない者の税を重くすることは議論の余地はないでしょう。
 
 
◆もうひとつの税収 〜銀行からの利子徴収〜

例えば、土地所有税を3%に引き上げ、相続税を65%に引き上げるだけでも、相当の税収と、地価下落による投資需要の増大が期待できるが、国家紙幣体制の下では、もっと別の財源が新たに生まれる。
それは、国家が銀行に貸し出す資金に1%の金利をつけることである。
それだけでも、6兆円ほどの金利収入が得られる。
これまでは、逆に国家が銀行etcに1%以上の国債利息を支払ってきたのが、まったく逆になるわけである(日本の場合は、日銀から政府に一部返還されているが、これまでに円売り・米債買いで生じた欠損は金利1%どころではない)。
特にリセット後2〜3年は、誰も銀行に預金しようとはしないので、銀行は企業に貸す資金の大半を、国家からの借り入れに頼るしかない。
従って、農業や介護や新エネルギー開発に対する大型の助成を実施しつつ、国家支出=税収を守ることは十分に可能である。


現在、国債利払いの為に9〜10兆円の負担が国家にかかっており、利息返済のために更に国債を発行するという自転車操業ともいうべき状態が続いています。中央銀行制度とは言い換えれば、国が借金をし、金貸しが儲かるという仕組みそのものなのです。一方、国家紙幣体制とは国が必要な分だけお金を刷ることができ、今まで銀行に利息を払っていた形が逆転することを意味します。この制度をとれば、金貸し支配の社会に終止符を打ち、持続可能な経済運営のスタートがきれるはずです。
 

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この新しく動き出した体制も、永く社会の為に機能し続けられるかが極めて重要です。一部の人間のみが特をする社会となってしまっては、現在の二の舞となってしまいます。
次回は、常に社会に目をむけた経済運営、強いては政治を可能にする統合機関のあり方を提示してみたいと思います。
 
最後まで読んでいただき有難うございました。

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