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中央銀行支配からの脱却(4)〜ビットコインの可能性と危険性〜

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1.銀行を潰して復活したアイスランド [1]
2.南米・中東・アジアのバーターシステム [2]
3.「政府紙幣発行」という歴史的第一歩を踏み出したハンガリー [3]
につづく「中央銀行支配からの脱却」シリーズの第4段です。
今回は、まさしく「中央銀行支配からの脱却」そのものとなる仮想通貨「ビットコイン」について扱っていきます。
「ビットコイン」とは、簡単には、中央銀行を介さずにネット上PC同士で、現在の通貨と同様の取引ができる分散型仮想通貨のことで、紙幣や貨幣といった『モノ』がない、まさしく「仮想」の電子マネーです。
「中央銀行支配からの脱却」と捉えると、今後の市場における可能性と捉えられますが、様々な問題を挙げる識者もおり、実際、疑問に思う点も多々あります。その辺りをもう少し詳しく見て、検証していきたいと思います。
1.広がるビットコイン
2009年に誕生しましたが、それから5年が経とうとしている現在まで、急激に普及しているようです。
ビットコイン専門の取引所大手のマウントゴックス(MTG)によると、MTGの利用登録者数は57万人おり、米国人36%、英国人7%という構成。(但し、日本人に至っては約1650人と1%にも満たないようです。)
最近では、中国の利用者数が大幅に増えてきているようです。11月22日には、中国の大手Bitcoin取引所であるBTC ChinaがMTGを抜いて取引量で世界一になり、世界最大のプラットフォームになりました。(リンク [4]) 
この背景には、以下の10個のファクターがあると分析しているサイト [5]があります。
①違法ドラッグ取引サイトSilk Roadの閉鎖
→投資家はよりBitcoinに投資する際のリスクが減ったと捉えた
②アメリカ政府の債務不履行問題
→中央制御機関とは無縁な新しい通貨制度を求める
③中国のBitcoin市場
→中国全体でBitcoinへの関心が高まっている
④優良投資家の興味を引く
→豊富な資金をもった投資家たちが大量にBitcoinを買っている
⑤Bitcoin関連の新興ベンチャー企業の乱立
→Bitcoin関連のスタートアップ企業への投資が増えた
⑥さまざまなプラットフォームの存在
→現在50の異なるBitcoin交換所が存在
⑦採掘の困難さ
→利益をあげながら採掘を続けるのは不可能な状態→多くの採掘者たちは採掘をあきらめてBitcoinの買いに走る
⑧政府からのサポート
→カナダや中国、ドイツ、オランダなどを含む複数の国々の政府では、直接的もしくは間接的にBitcoinをサポート
⑨Bitcoinを利用した取引の広がり
→世界的な規模でさまざまなサービスがBitcoinへの対応を始めている
世界初のBitcoin対応ATM「Robocoin」が登場、仮想通貨が現実世界へ進出
リンク [6]) 
⑩メディアに取りあげられる
→複数のメディアに取りあげられることでBitcoinの露出が増えた
このほかに、上記の影響もあり、その価値も飛躍的に上昇していることも、広がりに拍車をかけている要因となっています。
発行から4年(2013年4月段階)で、2万倍(200ドル/BTC)にも膨れ上がり、さらには最近も話題になりましたが、なんと900ドルにも跳ね上がりました。(その後すぐに、450ドル程に急落し、また、700ドルに戻すといった乱高下の様相になっています。)
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こちら [7]から拝借しました
そして、先日(11/27)ついに、1000ドルを突破しました。(リンク [8]
(参考)
Bitcoinが広がっている理由 [9]
このように、最近特に注目を集めているビットコインですが、我々庶民にとっては、まだ「海のものとも山の物とも分らない」といった感覚です。
そこで、もう少し詳細にビットコインとは何か?・・・その仕組みについて考察していきます。


2.ビットコインとは?
ビットコインとは、「中本哲史」と名乗る人物の出した「ビットコイン:P2P 電子マネーシステム」という論文からすべてはスタートしました。
リンク [10]
この中本哲史なる人物が何者かについては明らかにされておらず、ハッカー(とその集団)であるとか、某国政府であるとか諸説あります。アメリカのコンピューター学者テッド・ネルソン氏(今のネットにおけるリンクの概念の元になる世界最初のハイパーテキストによる「プロジェクト・ザナドゥ」を始めた人物)は中本哲史の正体が京都大学教授の望月新一博士であると主張しますが、真相は闇の中です。
リンク [11]
ビットコインについては、以下の記事に詳しく載っています。
『ビットコイン〜国の中央銀行や金融機関に左右されない純粋なユーザー同士の交換貨幣〜』 [12]
『仮想通貨「Bitcoin」とは一体何か、どういう仕組みかが一発で分かるまとめ』 [11] 
それを簡単にまとめると、以下のようになります。
1)分散型仮想通貨
Peer to Peer(P2P)方式:対等の者(Peer、ピア)同士が通信をすることを特徴とする通信方式で、ネット上で取引される(リンク [13]
これにより、以下のメリットがあるとされる
①中央銀行や銀行を介さずに個人間でお金の取引ができる
②為替リスクがない
③手数料が低く抑えられている
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2)入手経路は以下の2つ
①両替所で既存通貨と交換
②自らの手で「採掘」(演算式を解くことによって手にする)することも可能
→但し、採掘の人数が多くなればなるほど、発掘量が多くなればなるほど、演算式が難しくなり、何台もコンピューターが必要になったり、莫大な電気を使用したりしないと採掘ができなくなるようです。費用対効果を考えると採掘のメリットはどんどん薄れてくるとのこと。
そこで、採掘が困難になるとチームによる協働採掘:「プール採掘」を行えるシステムがとられているそうです。

但し、もうすでに普通の人では採掘は困難になっているようで、入手は専ら両替所での交換になっていると思われます。
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こちら [14]こちら [11]より拝借 
3)ビットコインは、デジタルウォレットに蓄えられるオンラインバンクのようなもの
4)取引は匿名情報として永久にネットワーク上に記録される
→上記採掘の演算式から、取引の情報がタイムスタンプされ、ハッシュとして記録されていくタイムスタンプ・サーバー。つまり、それらの情報そのものがビットコインであるといえる。
5)ビットコインソフトは完全なオープンソースで、だれでもコードを確認することが可能。公平性とセキュリティが担保されている。
→参加者みんなが確認できることにより、不正を防止するための監視機構としても機能する。
6)米ドルやユーロ、円などに簡単に交換することができ、ネット上で物を買ったり、サービスを受ける際の支払いにも利用できる。
7)流通量はプログラムによって決められる。
①あと20年ほど(2033年)で供給量がピークになるように設定されている
②流通量:通貨発行量は20,000,000 BTC
③特別なビットコイン”採掘”ソフト「miner」により、発行量と発行時期がきめられている
④分割は1/1億まで想定されている
⑤現在11,969,600枚発行されている
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3.ビットコインの特徴
ビットコインは、金に似ているといわれています。
生成することを「採掘」と命名している点や、埋蔵量⇔生成量が有限で設定されていること、当初の採掘は比較的容易であるが、採掘量が多くなり、埋蔵量が減ってくると、採掘が難しくなること(相当な設備投資をしなければならない)、生成量は有限であるが、それをどんどん切り刻んでいけることを想定している点等、明らかに「金」をイメージした仮想通貨といえると思われます。
そこに、信用をどのように担保させていくのか?がこの通貨を流通させる鍵になってくると思われます。
それは、ビットコインという仮想通貨の仕組みに起因することで、素人には難解な中本哲史のレポートを、素人なりになんとか理解しようとすると、以下のように言えるのではないか?と思います。
ビットコインとは、「採掘技術」となる演算式の解法や、使用される際の履歴等の情報がラインとして延々と連なりネットワーク上に浮遊している、実態情報そのもののようです。
つまり、どのような演算式が解かれ生成されたか、そしてそれをどのような人(但し匿名)を経由し現在に至っているか、それら解法や受渡し履歴そのものの情報が、ビットコインの存在を規定しているのです。これらの情報は、一定のまとまりとしてブロック化され付け加えられるようにプログラムされているようで、イメージとしては、(浮遊という意味でDNAというよりは)RNAのような印象を抱きます。
仮想通貨といわれますが、その中身を見ていくと、大勢の人たちの手を経てきたという実態の情報がビットコインの正体で、それが信用に一役買っているのだと思います。また、この情報がサーバー等の特定場所にストックされるのではなく、タイムスタンプ・サーバーとして、ネットワーク上を浮遊し、常に形を変えていっているという点で、容易に改変できないということが信用を担保しているようです。
さらに、この情報は、生成の際における演算式の解法の難解さや、流通の過程で参加した人数:情報コードの長さにより、その信用を担保しているようです。ビットコインを不正に利用しようとすると、これらの情報全てを解読しなければならないようで、どんどん増え続ける利用情報を追い越すだけの解読スピードが要求され、中本氏のプログラムによると、解読スピードが指数関数的に増大し、追い付くことがほぼ不可能になるとのことです。
つまり、過去に比較的容易に採掘されたビットコインは、参加した人数:情報コードの長さにより、その情報が担保され、最近、或いは今後生み出される(まだ情報コードが短い)ビットコインは、採掘されればされるほど難解になる演算式により、人数:情報の長さを補う役割を果たしているようです。
この多くの人たちが参加することで信用創造が高められるという仕組みは、中々画期的なことだと思います。このシステムの安全性は確かに高いと思われます。
最近、ビットコインが騙し取られたという事件が起きていますが、これは、被害者のパスワードの変更申請を利用したもので、システムへのハッキング等とは異なる犯罪のようです。
麻薬取引に利用されていたということも報道されていますが、逆に言うと、それだけ信頼のおける通貨ということも言えるのはないかと思います。
気になるのは、最近、これらの事件や価格上昇等の報道が目に付くことです。
ご存知のように、マスコミは金貸しが牛耳っています。しかも、ビットコインに賛同しているマスコミにロイター通信があります。ロイター通信は、ロスチャイルド傘下にあります。
中央銀行を介さないこのビットコインを何故、中央銀行制度を確立し、利益を得てきた金貸しが推し進めようとしているのか?この辺りも睨みながら、もう少し、ビットコインについて見ていきたいと思います。

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