2013-11-18

中央銀行支配からの脱却(3)〜「政府紙幣発行」という歴史的第一歩を踏み出したハンガリー

map_hangary.bmp
 
2008年のリーマンショック以降、国家が銀行に借金をして穴埋めをするという矛盾した構造が明るみに出始め、それと同時に世界各国で見られる中央銀行制度からの離脱の動きについて、見ています。
 
1.銀行を潰して復活したアイスランド
2.南米・中東・アジアのバーターシステム
 
 
今回は、リーマンショックによる国家財政危機から「政府紙幣の発行」によって国家の建て直しに成功しているという「ハンガリー」に焦点を当てます。
それがどのような状況下で実行されたのかを見ていきます。
 

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■ 8年ぶりの政権交代が起点に
リーマンショックから1年半後の2010年4月、総選挙でオルバン元首相が率いる中道右派フィデス(右派)が圧勝し、8年間に亘った社会党政権に終止符が打たれます。そして、国会総議席の3分の2以上を単独で有するフィデス政権は、国会議員定数の削減、地方議員定数の削減、中央銀行法の改正、裁判官、検察官の定年引き下げ、憲法裁判所の権限縮小、メディア規制等の重要法案を次々と可決しました。
 
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※オルバン首相
 
 
ここで特に注目される法案は二つあります。
 
一つはメディア規制法。その中身は国家メディア通信局に属するメディア評議会が「バランスを欠く報道」と判断すれば、新聞・雑誌、インターネット・ニュースに最大2500万フォリント、テレビやラジオには最大2億フォリントの罰金を科すことが可能になるというもの。
 
政府がメディアを監視する権限を持つということで、マスコミの暴走に歯止めをかけられるようになる点で画期的だと言えるでしょう。
 
 
■ 新国立銀行法の導入
もう一つ注目すべき重要な法案として、2011年12月可決された新国立銀行法があります。この新法は下記のような内容で、政府によって中央銀行を掌握する目的であることが明確にわかるものでした。
 
 1.副総裁の指名権を首相に移す
 2.副総裁と金融政策委員会の定員増
 3.金融政策委員会の会合に政府の代表者を参加させることができるという条項
 4.会合前に議事案を政府に提出しなければならないという条項
 5.国会が選出した外部委員を含めた金融政策委員会が外貨準備の管理権も持つ
 6・国立銀行と金融監督庁(PSZAF)の将来の統合を可能とする条項
  (その際、シモール中銀総裁を統合後の新機関の副総裁に降格させる)
 
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まさにこの記事テーマでもある「中央銀行支配からの脱却」を狙いとしている内容ですが、この法案可決を受け、ハンガリー通貨フォリント、そしてハンガリーの国債が急落。ハンガリーは金融支援を受けざるを得ない状況に追い込まれてしまいます。
 
そこでEU、IMF、欧州中央銀行(ECB)は、金融支援の条件として中央銀行の独立性を脅かす新国立銀行法の修正を求めたのです。
(この状況を見ると、フォリントや国債急落は、彼ら金貸し勢力の仕掛けではないかとすら思えますが、、)
 
さすがにハンガリー政府も、一定この条件を飲まざるを得なかったようで、何度か修正案を国会に提出し、12年7月に可決されています。この改正案では上述の3、4、6は削除されました。
しかし、その後もIMFが年金削減や特別銀行税の撤廃などを融資条件として提示し、オルバン首相がこれを拒否。結局ハンガリーはIMF支援を拒み続けました。
 
 
※また、2012年1月1日施行の新憲法には、ハンガリーの公式通貨を「フォリント」とする旨明文化されます。これは、ユーロには加盟しないという政府の意思表示でもありました。(ユーロを導入する際には、憲法改正が必要となるからです)
 
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※フォリント
  
 
■ 政府紙幣の発行
その後ハンガリーは、IMF支援ではなく政府紙幣の発行によって、国家財政の建て直しに成功しているとの情報が出てきました。
 

●ハンガリーは銀行の足かせを捨て去るより
http://americanfreepress.net/?p=12418
【8月23日 American Free Press】
 ハンガリーは一級の歴史的ステップを踏みつつある。
 1930年代のドイツ以降、ヨーロッパの主要な国がロスチャイルドが支配する国際的銀行カルテルの支配から逃れようとすることは無かった。これは驚くべきニュースであり、金融的専制から自由になるための戦いを世界的に拡大させるよう愛国的民族主義者に勇気を与えるものとなろう。 
 
 既に2011年、ハンガリーのヴィクトール・オルバン首相は、国際通貨基金(IMF)とテロ国家のイスラエルのの鞭の下に、無限に続く債務にあえぐ奴隷状態に国民を売り飛ばした彼の社会主義者の前任者に対して、正義で応えると約束していた。以前の行政は責任ある立場にあるイスラエル人によって穴だらけにされていたため、大衆の怒りを買い、それで大衆はオルバンのフィデス党を選択した。
 
 ドイツ語サイトの「National Journal」によれば、オルバンはこの高利貸し達を彼らの王座から追い出す動きを始めた。この人気があり民族主義者である首相はIMFに対して、ハンガリーはロスチャイルドの所有する連邦準備銀行の代理者から、更なる「支援」を受けたいとも思わないし必要ともしていないと告げたのだ。これでハンガリー人は民営で訳の分からない中央銀行に高利を搾り取られることがなくなることだろう。
 その代わりに、ハンガリー政府は通貨に対する主権を発揮し、必要に応じて負債なしの通貨を発行する。その結果は顕著なものである。国家の経済は、以前は債務のために停滞していたものだったが、急速に回復しつつあり、国家社会主義のドイツ以来見られなかったものになっている。
 経済大臣は、厳格な予算政策のお陰で、IMFから借りていた22億ユーロは約束の2014年3月よりかなり前倒しして2013年8月12日に支払いを済ませたと宣言した。オルバンは「ハンガリーは投資家から信頼を得ている」と語り、それはIMFでも連邦準備銀行でも、その他のロスチャイルドの金融帝国の手先のことではないと語った。むしろ彼は、それはハンガリー人のためにハンガリーで何かを製造している者たちで、真実の経済成長を生み出している者たちのことを言っているのだ。これは、金権政治の海賊どもの「紙上の繁栄」ではなく、実際に人々を雇用し彼らの生活を向上させる何らかの生産的なものである。
 債務奴隷の足かせ生活から解放されたハンガリーなので、私的な金儲けではなく民間の福利厚生のために政府によって機能するハンガリー中央銀行の総裁が、IMFに対して古いヨーロッパの地にあるその事務所を閉鎖するよう要請したことは驚くに値しない。加えて、アイスランドの努力に共鳴して、司法長官が過去三人の首相に対し、多大な負債を国家にもたらしたことで訴訟を起こした。
 ハンガリー内の銀行家らの権力を根底的に破壊するであろう残りのステップは、国家社会主義のドイツにあったような、そして現在ではブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ、つまりBRICS諸国が行っているバーターシステムを導入することである。そしてもしもアメリカがハンガリーの動きを真似るならば、アメリカ人はこの高利貸しの専制から解放され、平和的な繁栄が戻ってくることを期待できるだろう。

 
 
■ 中国との通貨スワップ
さらに13年9月、ハンガリー中央銀行は中国人民銀行と期間3年、限度額100億元(16億3000万ドル)の通貨スワップ協定を結びました。欧米金貸し勢力から決別し、独自の経済圏の構築を模索しているものと思われます。
 
 
■ 政府紙幣発行の報隠が隠蔽されている?
マスコミ規制、国立銀行法改正(中央銀行の掌握)、「フォリント」を公式通貨認定、IMF締め出し、中国との通貨スワップ協定、とここまで見てきた内容からは、ハンガリーは確実に金貸し支配(その中核となっている中央銀行制度)からの脱却を志向⇒実現していることは間違いありません。
しかし「政府紙幣発行」の情報が日本のネットやマスコミからはほとんど出てきません。これにはかなり大掛かりな情報隠蔽が行われているという指摘(リンク)もあります。
 
 
ハンガリーが政府紙幣発行で国家再建を実現しているのだとすれば、この事実をもっと発掘し、世に広めていく必要があります。その行為そのものが中央銀行支配からの脱却と直結します。
 
今回は一旦、情報収集した内容をまとめましたが、更なる追加情報があれば、ぜひるいネットへの寄稿をお願いします。
 

List    投稿者 nishi | 2013-11-18 | Posted in 未分類 | No Comments » 

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