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コロナの影響でイタリアでは連立政権が崩壊

K10012813851_2101141345_2101141431_01_02 [1]前回はスペインで軍事蜂起の動きがあること [2]をお伝えしましたが、今回はイタリアの状況を調べてみました。コロナ対策を巡って政権与党内で対立が発生し政権崩壊に向かっています。マスコミは政権権力をめぐる醜い争いと報道していますが、その背景にはもっと根の深い問題があるようです。

政権崩壊の発端は、コロナウイルスで疲弊した経済対策を巡り、連立政権の参加するイタリア・ビバのレンツィ元首相が、医療や教育への配分が不十分だとして批判し連立政権を離脱したことです。その結果、コンテ首相は議会での多数派を確保できなくなりました。

マスコミはこのことを指して、レンツィ元首相が権力争いをしていると批判しているわけですが、事はそう簡単ではありません。イタリアでは連立政権内の争い以前に、EU派と反EU派(民族派)の対立 [3]があり、少数派だった反EU派が勢力を伸ばしてきているという状況があります。

その背景には、イタリアの南北格差(地域による経済格差)や世代格差(若者の就職難)といった問題があり、社会に対する不満や不安が蓄積していたのです。それが、コロナによるロックダウン、それに伴う経済悪化で、さらに社会全体の不安や不満が高まっているのです。

イタリア・ビバのレンツィ元首相が連立政権を離脱したのも、そうした危機的な状況が背景にあると思われます。イタリアではここ数年、政権が不安定な状態が続いており、親EU派と反EU派で政権交代が続いてきました。それは概ね南北格差をめぐる対立でもあり、イタリアの分裂につながる可能性を抱えた問題でもあります。政策を間違えば、反EU派に政権を奪取されかねない危機感が連立政権内にあり、まさに、そのような危機的な状況に至っているから政権内部で政策を巡る対立が起きたのでしょう。

今回の政権崩壊は、南北格差、経済格差の問題が、コロナによる経済悪化で増幅され、イタリアは国家を統合することが困難な状況に至っているという事を表しており、単なる政治家の権力闘争というレベルではありません。

■イタリア 連立政権が崩壊のおそれ ウイルス対策めぐり対立2021114 [4]

イタリアでは、連立政権が経済の立て直しのため、日本円にして28兆円余りの予算案をまとめましたが、連立に参加する政党「イタリア・ビバ」は、医療や教育への配分が不十分だとして批判し、政権内部で対立が深まっていました。イタリア・ビバ」を率いるレンツィ元首相は13日、記者会見を行い「政府はウイルスを止めているのではない。政治を止めている」と述べ、所属する議員2人が閣僚を辞任すると発表し、連立政権からの事実上の離脱を表明しました。政権は議会上院での過半数を失い、ウイルス対策をめぐる対立によって崩壊しかねない事態に陥っています。

イタリアでは、13日に新型コロナウイルスの死者が8万人を超えるなど深刻な状況が続いていますが、地元メディアは、コンテ首相が辞任する可能性や新たな連立を模索する可能性を伝えていて、政治の混乱が予想されます。

■イタリア非常事態、4月まで延長 新型コロナ拡大続き2021114 [5]

イタリア政府は14日までに、新型コロナウイルスを受けた非常事態宣言を430日まで延長することを決めた。1月末で期限切れとなる予定だったが、感染拡大が続いていることから、政府に強い権限を与える宣言の延長が必要と判断した。イタリア政府は昨年1月に非常事態宣言を出して以降、延長を繰り返している。

政府の今月13日の発表によると、新型コロナの1日での死者は約500人で、新規感染者は約15千人。これまでの死者は計8万人を超えており、累計感染者は約230万人に上っている。

■伊上院もコンテ内閣を信任、解散総選挙は回避するも支持縮小2021120 [6]

イタリア議会上院は19日、コンテ内閣の信任投票を行い、賛成156、反対140の僅差だったものの、賛成多数で信任した。前日には下院で賛成321、反対259の圧倒的多数で信任されており、解散総選挙は回避された。ただ定数321の上院で絶対多数に必要なのは161議席で、信任票はこれに届かなかった。

コンテ首相は僅差での信任だった場合に辞職するとの憶測もあったが、今後は議会での支持拡大を模索すると表明。新型コロナ流行による公衆衛生面と経済面の2つの危機への対応に専念すると約束した。

アナリストによると、多くの議員は再選されないことを恐れて解散総選挙を避けたいと望んでいる。だがオルシーナ氏は、一部の議員は今回の信任投票でコンテ首相続投を支持したが、選挙禁止期間に入って総選挙の可能性がなくなれば、コンテ首相を退陣させ、新政権樹立を図るとの見方を示した。

■イタリア首相、連立内からも辞任圧力 政局混迷深まる2021125 [7]

連立与党の一角である中道左派「民主党(PD)」のジンガレッティ書記長(党首)はこの日、連立拡大に向けたコンテ首相の取り組みを支持するとし、コンテ首相は辞任すべきではないと述べた。ただPD所属議員は、コンテ氏が辞任し、新たな連立政権樹立に向け正式な交渉を開始する必要があると主張。辞任しなければ、週内に上院で実施される司法制度に関する採決で敗北すると警告した。

政局の混迷が深まる中、連立与党内からも、直ちに解決策を見いだせなければ、解散総選挙は避けられないとの見方が出ている。

■イタリア首相が辞任、新型ウイルス対策めぐり内紛 新連立を模索へ2021127 [8]

イタリアのジュゼッペ・コンテ首相は26日、セルジオ・マッタレッラ大統領に辞表を提出した。コンテ氏は新たな連立政権の樹立を目指すとみられるが、先行きは不透明だ。コンテ氏は辞任したが、マッタレッラ氏がコンテ氏を再び首相に任命し、より強固な政権の樹立を命じる可能性がある。一方で、他の人物が新首相に就任することや、解散総選挙を求める声が高まることも考えられる。

2週間前にマッテオ・レンツィ元首相率いるイタリア・ヴィヴァが連立政権を離脱し、政局は危機的状況に陥った。レンツィ氏はコンテ氏が要求をのめば連立政権に加わるとした。

レンツィ氏は主に、新型ウイルス危機に対する欧州連合(EU)の7500億ユーロ(約945500億円)規模の救済策の一環である、EU復興基金に2090億ユーロ(約263500億円)を拠出するというコンテ氏の計画に反対している。レンツィ氏はEU復興基金について、デジタル分野や環境保全技術といった将来性のある分野に投資されるべきだと主張。官僚らではなく国会議員に資金の割り当てを決めてほしいとしている。一方で、苦境に立たされている医療サービスへの投資も増やしたいとしている。

■荒波に揺らぐイタリア、コンテ首相続投への希望2021130 [9]

政権に革新の風をもたらしてはくれるけれど経験の少ない五つ星運動と、国民の権利や自由・平等を大切に考え、経験もあるけれど、内部でもめてまとまらないきらいのあった民主党が、何とか一つの旗のもと、イタリアが、新型コロナウイルス感染症の拡大や経済の危機という大きな荒波を乗り越えられるようにしていくためには、コンテ首相が舵を取ることが不可欠のように、イタリアに暮らす一外国人としての個人的感想ではありますが、そう感じています。

現在の野党である右派の代表政党は、ベルルスコーニ率いるフォルツァ・イタリアはさておき、イタリアの同胞代表のジョルジャ・メローニも北部同盟代表のサルヴィーニも、移民や亡命者、イスラム教徒など、異なる宗教や文化を持つ人々に対して、差別的な発言を公然と繰り返し、また、多くのイタリア人が感じる経済的困窮の原因を移民になすりつけ、国民のやりきれない不満や怒りを移民に向けてきました。そして、現在もまた、長いロックダウンや経済的苦境に対する人々の不満に訴えて、現政府の無能を説き、右派からなる内閣を、あるいはすぐに選挙をなどと主張しているのです。二人ともトランプの熱狂的な支持者でもありました。

■レンツィ元伊首相、ドラギ前ECB総裁の次期首相就任望む=関係筋202121 [10]

イタリアの連立政権から離脱して政局を不安定化させたレンツィ元首相は、欧州中央銀行(ECB)のドラギ前総裁を首相の座に就かせたい考えだ。

伊紙ラ・スタンパは31日、マッタレッラ大統領が既にドラギ氏に首相就任を打診したと報じていた。しかし大統領府は政局危機中の両氏の接触はないとして否定した。

マッタレッラ氏は29日にフィコ下院議長に対し、連立政権を構成してきたイタリア・ビバと民主党、「五つ星運動」などの仲介役となるよう指示。フィコ氏の調整によって新たな連立交渉は30日に開始している。

しかし実際は、イタリア・ビバ所属の議員らは、ドラギ氏が最終的に首相に就き、支持基盤の広い政権を率いることを望んでいる。これまでの連立政権を維持した上でドラギ氏を首相に擁立することを求めているかは不明。

■イタリア、新たな連立に向けた協議難航 主要政策で溝=関係筋202122 [11]

イタリアの連立政権樹立に向けた協議は、新たな首相候補を誰にするかという問題以外にも、主要政策課題を巡り各党の間の溝が埋まらず難航している。

レンツィ元首相の「イタリア・ビバ」は、これまでの政策からの大幅転換を示すため、中道左派「民主党(PD)」のグアルティエリ経済相の退任も含めた抜本的な内閣改造を望んでいる。ただ、PDの関係者などによると、PDはこれを受け入れない方針。また、マッタレラ氏は、経済省などの主要省庁で政策の継続性を望んでいるという。

連立を組んでいた与党の民主党と五つ星運動は、コンテ氏が再び首相に就くことを望んでいるが、レンツィ氏はこれに難色を示している。

イタリア・ビバは、コロナウイルスの打撃を受けた医療部門を支援するため、ユーロ圏の救済基金からの融資を求めているが、五つ星運動はこれに強く反対。一方、五つ星運動は、低所得層の所得支援という党の看板政策のために追加財源の確保を望んでいるが、イタリア・ビバが反対している。

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