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シリーズ「活力再生需要を事業化する」16〜【書籍紹介】伊賀の里 新農業ビジネスただいま大奮闘(モクモクファーム)(3/3)〜

Posted By kaz-tana On 2010年9月21日 @ 8:45 PM In 未分類 | 4 Comments

「活力再生需要を事業化する」シリーズの第16回!となりました。
[1]
過去のエントリーは以下を参照ください。
新シリーズ「活力再生需要を事業化する」〜活力源は、脱集団の『みんな期待』に応えること〜 [2]
シリーズ「活力再生需要を事業化する」2〜ワクワク活力再生! [3]
シリーズ「活力再生需要を事業化する」3〜老人ホームと保育園が同居する施設『江東園』〜 [4]
シリーズ「活力再生需要を事業化する」4〜企業活力再生コンサル〜 [5]
シリーズ「活力再生需要を事業化する」5〜企業活力再生需要の核心は「次代を読む」〜 [6]
シリーズ「活力再生需要を事業化する」6〜金融、ITビジネスはもはや古い?!新しいビジネス“社会的企業”〜 [7]
シリーズ「活力再生需要を事業化する」7〜社会起業家の歴史・各国の状況 [8]
シリーズ「活力再生需要を事業化する」8 〜社会的企業を支える「アショカ財団」〜 [9]
シリーズ「活力再生需要を事業化する」9〜『生産の場として、儲かる農業』が、みんな期待に応えるのでは?〜 [10]
シリーズ「活力再生需要を事業化する」10〜就農定住の成功事例 山形県高畠町〜 [11]
シリーズ「活力再生需要を事業化する」11〜農業参入が企業の社会的使命となる〜 [12]
シリーズ「活力再生需要を事業化する」12〜農業は医療や教育と同じく人類(集団)にとって不可欠の事業であり、脱市場原理の最先端可能性といえるのでは?〜 [13]
シリーズ「活力再生需要を事業化する」13〜コンセプトは、『私、気付いたら就農してたみたいです♪』かな? [14]
シリーズ「活力再生需要を事業化する」14〜【書籍紹介】伊賀の里 新農業ビジネスただいま大奮闘(モクモクファーム)(1/3)〜 [15]
シリーズ「活力再生需要を事業化する」15〜【書籍紹介】伊賀の里 新農業ビジネスただいま大奮闘(モクモクファーム)(2/3)〜 [16]    
前回、前々回のエントリーは新農業ビジネスの成功例として「伊賀の里 モクモクファーム」について紹介しました。
今回は「モクモクファーム」の3回目として前2回までを整理し、成功した要因を整理するともに、農業に限らず「活力再生需要を事業化する要点」を再度押さえてみようと思います。
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1.外圧(農をとりまく)= 内圧(組織論、工夫、戦略) → 成功!の構図
   
モクモクファームが成功した要因を前回、前々回のエントリーの中から再度抽出すると、
(1)農をとりまく外圧状況を的確に捉えている。
シリーズ「活力再生需要を事業化する」14〜【書籍紹介】伊賀の里 新農業ビジネスただいま大奮闘(モクモクファーム)(1/3)〜 [15]より
“モクモク”代表:木村修氏講演㊤より引用

なぜ農協の脱藩組がモクモクをやり始めたか。三重県が発祥の大手スーパーに亮り込みに行ったのが契機だった私自身、初めて売り込みに出かけて、農協同士が産地間競争で戦っているのが分かった。
当時、豚の販売をしていたが、主産地の鹿児島や宮崎などからも売り込みに来ていて、いつも天秤にかけられる。そこで同じバイヤーに向かって商談すると、「買ってもいいが、産地(九州)と値段を合わせてくれますか」と言われてしまう。値段では、われわれのような零細な県は負けてしまう。>同時に、大手商社も輸入豚を売り込んでいる。国内はもとより、海外競争にもさらされていることを感じた。
そこで消費形態を地域に根差そう、生活圏エリアの中で自分たちのものを買ってもらおうと考えた。いまで言う「地産地消」だ。農協時代、消費者アンケートを行ったことがあった。「地元の物を食べたいですか」と問うと、何回やっても7割以上の人が「はい」と回答してきた。潜在的二ーズはあるのに、流通形態がそれに対応していなかった。だから、地域の中で物を売っていくのが生き残りのカギだと考えた。地域内なら生産方法も見せられるし、交流もできる。つまり「安全・安心」だ。

“モクモク”代表:木村修氏講演㊦より引用

≪交流できる範囲基本>>〜理解され「共感してもらう時代」〜
最近は東京からもたくさんのオファーが来る。しかし絶対に進出しない。生活圏エリアで、交流できる範囲で事業するのが基本。イベントがあれば来てもらえる範囲でないといけない。
(中略)
これからは、食べていただく人たちに自分たちの存在をどう知らしめ、理解してもらうか。それを「共感してもらう時代」だろうと思う。人の金儲けは誰も応援してくれない。しかし良い考えや良いことに挑戦しているところは応援してもらえるし、事業が成長していくのではないか。 今後は、農業のカテゴリーを破り、医療・福祉・教育分野へも挑戦していきたい。百聞は一見にしかず。関心のある方はぜひ見に来てほしい。

(2)外圧に対して適応するための内圧(組織化、戦略、工夫)を高めて対処している。
   
シリーズ「活力再生需要を事業化する」15〜【書籍紹介】伊賀の里 新農業ビジネスただいま大奮闘(モクモクファーム)(2/3)〜 [16] より
まず組織化し、そして戦略を立て、現実を直視して工夫を施す、の構成になっています。
<組織化と戦略>
木村氏講演より

どうしたら零細な農業を再生できるかを思い描き、農協を辞めた”脱藩組”と従業員で資金を出し合い、「モクモク」を設立した。いまは「6次産業化」というが、原料を作る(1次)ことから、それを自ら加工(2次)し、販売(3次)するところまでやれば、飯が食えるのではないかと考えてきた。実際売り上げも地域雇用も、思い描いてきた以上のものになった。
▽結果的には地域おこしにもなった。しかし自分には、その気負いは全くない。 当初から、どうしたら農業で飯が食えるか、若い人に農業が夢やロマンや可能性のある産業であることを伝えられるか、その挑戦の連続だった。
▽そして、当社のコメや加工品は決して安くない。むしろ高い。それでも買ってくれている。安くて売れるのは知恵の要らないことだが、どうやって自分たちの価値を知らしめるかには知恵が要る。だからモクモクでは、その伝え方や知恵の出し方に一生懸命取り組んでいる。生活者というのは、”価値”が分からない限り、その価値に見合ったお金を出してくれない。だからその価値を知らしめることがわれわれの仕事だ。

<工夫>

  
第3章 活況呼び込む手づくりアイデア群
1、新しい職人気質の芽生え—地ビール製造
2、地元農家にもメリット—ファーマーズマーケット
3、お客さんに信頼感を−−−加工品販売所
4、手づくり結婚式も−−−レストラン
5、自然と一体となった学習の場
第4章 目に見えない工夫の数々
1、消費者の顔が見える通販を
2、通販でも多彩な企画
3、印刷物にもこだわり
4、ファームの理念を具体化
5、本部自らが活性化の努力
6、信頼感を支える縁の下の力持ち

つまり「(農をとりまく)外圧=内圧(組織化、戦略、工夫)」で対処することにより成功したと云えると思います。
2.成功例 モクモクファームの可能性  =可能性(将来性)と課題=
次にモクモクファームの可能性(将来性)と課題を紹介します。

4、徹底した消費者重視の考え
1)増産の為の工場増設計画でも、当初依頼した大手コンサルティング会社を断り、つくる者が主人公みたいな小さな工場を点在させる案こそが消費者が望んでいるはず、と言う構想を実現。
2)伊賀豚ブランドが消費者との接点をつくる事で地域に密着し、集客の母体が消費者の提案を受入れたウインナー教室から広がり、現在の公園コンセプトづくりが一人の外部の忠告から生まれた、と言う事は消費者の意見をうまく汲み取り、これを見事に花開かせた結果といえる。
5、関係者の声
1)「いまの木村社長や吉田専務は、時代のニーズに合ったものを生み出した。これが農家だけだと失敗しただろう」 
「モクモクは来るたびに変わってますね」といわれるのが嬉しい。
「他社に比べてマニュアルも決まっていないから、自由に発想ができる。やり方も決まってないから。ものごとにとらわれないですね。ふっとひらめく環境があります。研修もよくやっている。あちこちに出やすい状況も作っている。そして情報収集がものづくりに生かせる。モクモクのものづくりには、消費者のダイレクトな声が生かされている。通販なんか、お客さんが書いてくださるメッセージは、どの会社にもないものです。応援が友達感覚。味が変だったら変やと言ってくるし、おいしいとなると細かく書いてくる。モクモクそのものをお客さんが支持していると言う感じ。たいていは明るくサポートしてくださってますね。作り手の顔が見えるというのは、メッセージポイントとなっている。手もかかりますが、吉田専務は非効率の効率と言っていますよね。こういったことが商品作りにも生きています。これらの声を生かして、次世代商品を開発していく事も必要ですね。

    
3.脱集団のみんな期待に応えることが活力源
    
では、モクモクファームが成功した理由は、「外圧を的確に捉え、それに対抗するための内圧を高めた(組織化、工夫、戦略)」ことだけなのでしょうか。
実は根底にある理念がこれらの対応を可能にしたと見て取れるのです。
その中味は、農で取り上げたモクモクファームが特別なものではなく、どんな職種・業種においても、それは同じなのです。

新シリーズ「活力再生需要を事業化する」〜活力源は、脱集団の『みんな期待』に応えること〜 [2]より引用

ポイントは『活力源は、みんな期待に応えること』にあるのです。
つまり現在起きているあらゆる集団のガタガタ現象は、実は「私権」によって統合されていた「私権集団」の崩壊の現われだったのです。
貧困の消滅 → 私権への収束力の衰弱 → 私権集団の崩壊 

シリーズ「活力再生需要を事業化する」2〜ワクワク活力再生! [3]より引用

★何で『みんな期待に応えること』が活力源になるの?
このことを構造的に捉えるには、前エントリーでも示したように『圧力構造』を見ていく必要があります。
  
‘70以前であれば、社会全体に貧困の圧力がかかっていたので、その圧力に伴って私権(金や身分等)に人々が収束していきました。この私権が活力源になっていたのです。しかし、‘70貧困の克服をした現代、生存の危機を脅かすような「貧困の圧力」というのは消滅したと言っても過言ではありません。ではまた貧困の圧力がかかれば活力が沸くの?社会は統合されていくの?という疑問が出ると思います。
しかし決してそんなことはありません。人類ならではの唯一残った圧力(=活力源)が実はあるのです。それが人と人との間に生まれる「期待圧力と評価圧力」(=同類圧力)です。これは本能⇒共認⇒観念といった人類の塗り重ねた機能があって初めて発揮する「圧力」なんです。
例えば、みんなから期待のかかった重要な仕事を任されたら、やる気が出ますよね。そして成功して成果が出て、お客さんや周りの人が喜んでくれたらより活力が沸きますよね。「周りが喜んでくれた」というのは、周りからその評価を受けたことを示しています。
つまり、周りの「期待」に応え、周りの「評価」を受けることで活力が沸く構造が人類には元々備わっているのです。
(しかし外からやってくる(本能を直撃する)貧困の圧力とは異なり、この同類圧力(=期待、評価)は、自ら掴みにいくことが必要になる!

この内容は「モクモクファーム」木村氏が実践してきたことと全て繋がります。
地元の人々や消費者の期待、外圧状況を的確に察知して、みんなの出資で「モクモクファーム」を組織化して立ち上げ、協働者とともに消費者と生で接する中で、あらゆる工夫を施してきました。そして同類圧力(=期待、評価)を受けながら、いえ自ら掴みにいきながらこれまでに至っているのです。
そして7つのテーゼには、はっきりとこの内容が記されています。

[17]
<モクモクファーム7つのテーゼ>
4.今後の課題(社会再生のために)
さて、これまで取り上げてきました「活力再生需要を事業化する」ための要点として『脱集団のみんな期待に応える』という点について、既存の集団を再度押さえてみたいと思います。
既存の集団としては、家庭、学校、地域、企業、国家と大小様々ありますが、総じて云えることは、どの集団でも共通なのは、「活力がない」、「背後には私権の体制が残存している」ことが挙げられます。
ではその中でも、すさまじい社会外圧に対して成果を求められる、最先端の位置にあるとも云える「企業」について見てみましょう。
◆私権企業の壁
「企業」は最も外圧に晒される集団で、社内でも社外でも、みんな期待に応えていく(=成果を出していく)ことが求められます。しかしその「企業」の現状といえば、閉塞して活力も成果も上がらない状況で
・私権体制の残存→上司から部下への押し付け(保身・責任回避)
・団塊世代の大量退職→技術継承(後継者)なし+外圧の高まり→少人数化(に反して高い成果度を求められる)
参考)・「年間7万社が後継者不在で廃業」 [18]
    ・「従業員に心の病」増加傾向は44% 上場企業調査 [19]
    ・「長時間労働と管理能力ゼロの上司」 [20]
等々が現象として見られます。
つまり、私権企業の現体制には、大きな壁があると考えられるのです。
「企業」だけでなく、地域、国家などの集団が現状の閉塞状況から、活力を持てるようにするために取り組めることは何なのでしょうか?
そして、その壁となるものは何なのでしょうか?
次回は、「企業」の取り組み事例を参考に、活力再生を考えてみたいと思います。


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[2] 新シリーズ「活力再生需要を事業化する」〜活力源は、脱集団の『みんな期待』に応えること〜: http://www.kanekashi.com/blog/2010/03/001222.html

[3] シリーズ「活力再生需要を事業化する」2〜ワクワク活力再生!: http://www.kanekashi.com/blog/2010/03/001223.html

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[9] シリーズ「活力再生需要を事業化する」8 〜社会的企業を支える「アショカ財団」〜: http://www.kanekashi.com/blog/2010/05/001271.html

[10] シリーズ「活力再生需要を事業化する」9〜『生産の場として、儲かる農業』が、みんな期待に応えるのでは?〜: http://www.kanekashi.com/blog/2010/05/001273.html

[11] シリーズ「活力再生需要を事業化する」10〜就農定住の成功事例 山形県高畠町〜: http://www.kanekashi.com/blog/2010/05/001276.html#more

[12] シリーズ「活力再生需要を事業化する」11〜農業参入が企業の社会的使命となる〜: http://www.kanekashi.com/blog/2010/06/001283.html

[13] シリーズ「活力再生需要を事業化する」12〜農業は医療や教育と同じく人類(集団)にとって不可欠の事業であり、脱市場原理の最先端可能性といえるのでは?〜: http://www.kanekashi.com/blog/2010/08/001378.html

[14] シリーズ「活力再生需要を事業化する」13〜コンセプトは、『私、気付いたら就農してたみたいです♪』かな?: http://www.kanekashi.com/blog/2010/08/001382.html

[15] シリーズ「活力再生需要を事業化する」14〜【書籍紹介】伊賀の里 新農業ビジネスただいま大奮闘(モクモクファーム)(1/3)〜: http://www.kanekashi.com/blog/2010/09/001387.html#more

[16] シリーズ「活力再生需要を事業化する」15〜【書籍紹介】伊賀の里 新農業ビジネスただいま大奮闘(モクモクファーム)(2/3)〜: http://www.kanekashi.com/blog/2010/09/001392.html#more

[17] Image: http://www.kanekashi.com/blog/%E3%83%A2%E3%82%AF%E3%83%A2%E3%82%AF%EF%BC%97%E3%81%A4%E3%81%AE%E3%83%86%E3%83%BC%E3%82%BC.html

[18] 「年間7万社が後継者不在で廃業」: http://www.smrj.go.jp/kikou/info/shinko/sinko/h18/018066.html

[19] 「従業員に心の病」増加傾向は44% 上場企業調査: http://www.asahi.com/health/news/TKY201008210184.html

[20] 「長時間労働と管理能力ゼロの上司」: http://www.ne.jp/asahi/amano/matsuo/oh/10q&a/qa053.htm

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