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「お金の本質に迫る!」11〜お金の出自は借金発〜

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いつもご愛読ありがとうございます。
当シリーズも、いよいよ次回で最終回を迎えることとなりました。
今回は前回に引き続き”お金”の構造を分析して参ります。焦点はお金の出自。
一体、今私達が日々使っているお金とは、どのように生まれているのか
お金の構造から提起される問題点、いかがわしさとは一体何か
その本質に切り込んでみたいと思います。
☆前回までの記事がお読みになりたい方は、こちらからどうぞ
「お金の本質に迫る!」10 〜お金のウソ〜 [1]
「お金の本質に迫る!」9 〜金為替本位制→変動相場制→投機マネー〜 [2]
「お金の本質に迫る!」8 〜債務からマネーを創造〜 [3]
「お金の本質に迫る!」7 〜ユダヤ人による金融市場の構築〜 [4]
「お金の本質に迫る!」6 〜紙幣の起源・中央銀行・金本位制の崩壊〜 [5]
「お金の本質に迫る!」5〜貨幣戦争という名の外国貿易〜 [6]
「お金の本質に迫る!」4〜イスラムが生んだ商人国家〜 [7]
「お金の本質に迫る!」3〜国家と貨幣の関係〜 [8]
「お金の本質に迫る!」2〜市場拡大の原動力〜 [9]
「お金の本質に迫る!」1〜お金が生まれてきた背景〜 [10]
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「お金のウソ〜その構造分析②〜」 [11]より

『JanJanニュース』 [12]「お金の世界的崩壊」を構造分析してみた〜青木秀和氏の講演を参考に [13]〜より引用 
〜つづきより〜
 この構造は、サブプライムローンの構造とちょっと似ている。比較的貧しい人たちが住宅購入時に組む住宅ローンが、サブプライムローンである。サブプライムローン問題では、次のような構造で証券を売っていた。
 サブプライムローンは他の優良債権などと組み合わせて証券化し、買い求めやすい小口の商品にするなどして、売りまくった。100億円のサブプライムローンが、他の債権と組み合わせた上で、1万円の証券になって買い求めやすくなったことで、金融商品として普及したわけである。この構造は、「数兆円規模の国債を1万円の日本銀行券に小口にして発行する」のと似ている。ドル札や1万円札は、それぞれの国の巨大な借金を少額に小口化し、取り扱いやすくしたものだと見なすことができる。
 ……「おカネは国債を小口化したもの」だとすると、奇妙なことに、「国の借金を全部返してしまうと、日本銀行はおカネを発行することができない」ということになる。実に奇怪ではあるが、ドルや円などの現在のおカネがそのような構造をもっている以上、論理的にはそうした帰結となる。おカネの価値の裏付けは、「借金」でしかないからだ。現在のおカネは、基本的に3つの方法で「借金」から生み出されている。国の借金、銀行の借金、レバレッジである。
 国の借金からおカネが生まれる様子は、すでに書いた通りである。「銀行の借金」というのは、信用創造のことだ。信用創造を少し説明しよう。
 ある人が、1,000万円のおカネを銀行に預けたとしよう。すると銀行は、100万円程度を手元に残して、900万円をおカネが足りなくて困っている人に貸す。その人はその900万円を支払いに使うだろう。すると、そのおカネをもらった人はたいてい、そのおカネを再び銀行に預ける。すると銀行は、90万円だけ手元に残して、残り810万円を別の人に貸す。
 この結果、もともと1,000万円しかなかったはずの現金で、900万円+810万円=1,710万円のおカネの流れが生まれたことになる。これが信用創造だ。この信用創造を繰り返すと、1,000万円のおカネから1億円のおカネの流れを作り出すことができる。
 だが、この「信用創造」というカラクリが成立するには、銀行が貸したおカネが無事に返されることが大前提となっている。信用創造で膨れあがったおカネの流れは、実はたくさんの人が借金することで生まれている。つまり、信用創造で生まれたおカネは、借金から生まれていることが分かる。
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 3つ目のおカネの作り方、レバレッジは「テコの原理」と言われている。「近い将来、大もうけできる話があるからおカネを貸して」というものだ。この方法だと、手元に100万円しかなくても、「あの企業を買収したら10億円の収益が上がるから、10億円貸して」ということができる(レバレッジド・バイアウト)。この方法なら、手元に資金がほとんどない人でも巨大企業を買収できることになる。
 だが、そもそも、まだ自分のものではない他人のものを、まるですでに自分のものになったかのような前提でお金を借りることができるこの方法は、実に奇妙きてれつだといえる。ともかく、この方法でも、「儲かったら返すから」という借金の約束から、おカネが新たに生まれている。
 国債、信用創造、レバレッジ。この3つの「借金」によって、現在のおカネは生まれている。つまりおカネは「借金」でできている。このことは、おカネの値打ちは「借金は必ず返す」という信用で支えられていることを意味する。借金が返されないならば、おカネのメカニズムは崩壊する。
 問題は、「借りたつもりのない人がいつの間にか借りたことになっている」ことだ。10年満期の国債は、「10年経ったら借金を返します」というものだ。ということは、10年後の国民が税金から返すことになるわけだ。実際には、「借金で借金を返す」という国債の借り換えを繰り返しているので、実質「60年経ったら借金を返します」という状態になっている。このことは、「60年後に子孫が借金を返すと思います」ということになる。まだ生まれてもいない子どもが借金を背負わされているのである。
 こんなおカネのでたらめさが、いよいよ崩壊しつつある。それも、世界的な規模で。青木秀和氏の「『お金』崩壊」が、今、現実となり始めているのである。
〜引用おわり〜

世にいう経済成長とは、貨幣流通量の増加を指すことといって過言ではないのですが、当の貨幣は3つの借金「国の借金(国債)」「銀行の借金(信用創造)」「レバレッジ(テコの原理)」という将来的な借金返済を信じることによって生まれ出ているわけですね。
しかし、その貨幣を用いて便益を得る者が将来の借金返済に責任を持てるとはもちろん限らないわけで、そこにはどうも幻想共認的ないかがわしさが感じられます。
因みに、当ブログ作成にあたり日本銀行にも確認してみたのですが、関係者曰く
「1998年の日銀法改正前までは市中の紙幣残高と同等の資産を日銀が持っていなくてはならず金・銀・国債などを同額分保有していた。しかし法改正により紙幣発行量の制限、紙幣発行保証の必要性はなくなった」と述べています。
つまり、現在は当に何の資産の裏づけもなく、ただ国民が“その紙幣はお金として通用すると信じているから成り立っている”という状況なのだそうです。
ただ、日銀から市中銀行にお金が発行されるには、国債を買い取るか貸し出し(金利を上乗せ)することになるので、いずれにしても“借金発”ということには変わりません。
そしてこの借金発というお金の在り方こそがGDP信仰と共に、「経済成長」を前提とした政策、メンタリティを強要する元凶なのではないか、と思うのです。
さて、次週最終回は「お金の本質に迫る!」の総まとめとなります。
どうぞ、ご期待下さい。 😀

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