2010-01-29

新シリーズ「お金の本質に迫る!」3〜国家と貨幣の関係〜

%E5%8F%A4%E4%BB%A3%E5%9C%B0%E5%9B%B3.jpg
シリーズ第3弾は「お金の本質に迫る!」3〜国家と貨幣の関係〜です。
お金の誕生から始まり、お金の勢力拡大を前回、前々回と展開してきました。
過去の記事はココから!
シリーズ第1弾「お金の本質に迫る!」1〜お金が生まれてきた背景〜
シリーズ第2弾「お金の本質に迫る!」2〜市場拡大の原動力〜
さて、今回は国家と貨幣の関係に着目してみたいと思います。
今から5〜6千年前に人類初の国家である武力支配国家が誕生しました。その当時の国家での貨幣のあり方と現在、私たちが使う貨幣あり方は同じだったのでしょうか?
貨幣のあり方…形、使われ方、使用目的と考えてみましょう。
当時の国家の治め方、周辺国家との関係、人々の生活と想像を膨らませてみると今とは違うあり方がありそうですね。
そこに着目して当時の国家と貨幣の関係ついて一緒に考えていきましょう!
いつもありがとうございます。クリックお願いします。
   

にほんブログ村 経済ブログへ


るいネット「貨幣の古代史①」

国家と貨幣の関係について、滅亡カテの辻さん、熊谷さんの投稿も踏まえて考えていきたいと思います。
中央アジアにおける遊牧部族たちの中から始まった略奪闘争を止揚するためには集団が不可欠であり、略奪という※私権原理を核にしながらも集団原理でもって、一対婚規範と私有財産規範によって国家を統合した。さて古代国家内での経済関係はどのようになされたかというと、基本的には王による再分配というシステムが採用されている。国家内のイザコザを防止するためには財産は全て王の権力のもとに集中させてから分配するのである。性闘争を縄張り闘争へと変換させ、成員同士の無用な対立を防ぐという真猿集団と同じ集団原理が採用された訳だ。
※誰もが私権(金、地位、異性)の獲得を目指しそれを認める事で集団としてまとまっている。男女が一対一で結婚する事、みんなが自分の財産を持てる事を制度とし、国が統治されている。
そこでは確かに熊谷氏が指摘しているように銀もつかわれていますが、この時代の交換は牛や奴隷などいわゆる物品貨幣も多く使われています。ここで注目すべきは、他国との関係が戦争→支配・略奪が支配的な時期ではむしろ貨幣の意義は支払い責任の数量化にあったということです。熊谷さんが例にあげたように罪人に対する支払い義務はもとより、国家の周辺をうろちょろする荒くれ集団に対して支配後、牛を差し出すことを要求するといった具合だったようです。
今日に見られるようなコインとしての貨幣が登場するのはBC7世紀末ごろ、現在のトルコの一部に建国されたリディア王による貨幣がその始まりのようです。
%E3%83%AA%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%A2%E3%80%80%E8%B2%A8%E5%B9%A3.jpg
リディアは本来農業を中心とする専制君主制国家であったが海を隔てているとは言うもののギリシャに近いという地理的条件もあって、染織、冶金、採鉱にも優れていた。これらの繁栄はアジアとヨーロッパの十字路であり、東西貿易の中継地であることからもたらされた。(貨幣の誕生 三上隆三 朝日選書)
つまり今日いわれる交換の媒介物としての貨幣が形になったのは国家の内部統合の必要性からではなく、国家と国家の間の貿易においてなのです。

古代国家とリディアを比べて着目したいのが【他国との関係】です。
古代国家の時代は他国との関係は戦争がメインでした。しかし、次第にリディアの時代になると、他国との関係は貿易が盛んになります。
国家と貨幣のあり方を決定するのは、その国が周辺諸国とどのような関係にあったのかで変わってくるのです。
<古代国家とリディアの特徴>
■古代国家:戦争状態(緊張状態)の為、国民同士による争いの防止
     序列原理の頂点にいる国王が国(=国内の財産)を支配していた
モノは中心(国王)に集中→再分配される。ここで重要なのは【数量】
国王の絶対的な力(序列の力)があれば国内のモノは集まる。その後、いくつあるのか管理する必要があった。結果として数が重要となる。
■リディア:国の立地条件から材料確保→加工技術に優れていた
      貿易の結節点であった
      国家と商人、商人と商人の貿易が他国との間で行われる
モノのやり取りが商人によって国家間で行われる事で、古代国家の時代に比べて大多数の人が貿易に加わった。当然、大多数の人が動けば大量のモノが移動します。ここで求められたのは【流通性】であったと考えられます。流通性能の向上を求めて誕生したのが鋳造貨幣(コイン)でした
%E4%BA%A4%E6%98%93%E5%95%86%E4%BA%BA.jpg
     
国家が貨幣流通を支配するために、国家による鋳造貨幣が作られるが、貨幣発行の国家権力の独占をめぐって、私鋳業者や偽造人との間で熾烈な闘いが繰り広げられるなど、その支配の確立への道は平坦ではなかった。
そこで鋳造貨幣の登場以降、次第に経済力が国力を決める時代となり、国家にとっては金銀の調達が至上命題となる。とりわけ大航海時代前夜から、ヨーロッパ及びイスラム各国は金銀を求めてアフリカ大陸やアメリカ大陸へと侵略する。
・・・GRAND THEORY Vol.4 経済破局は来るのか?〜金貸しが創りあげた近代市場の崩壊〜

上記の引用にあるようにこの後、国家は支配領域を拡大します。中でもイスラムの支配領域には驚くべきものがあります。
次週は、何故イスラムが驚異的な拡大を成し遂げたのかみていきたいと思います!

List    投稿者 wacky | 2010-01-29 | Posted in 06.現物市場の舞台裏2 Comments » 

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.kanekashi.com/blog/2010/01/1158.html/trackback


コメント2件

 hermes bags purple | 2014.02.02 7:41

hermes constance 金貸しは、国家を相手に金を貸す | BRICs徹底分析〜ロシア編その1 小麦禁輸措置に垣間見えるロシア政府の姿勢

 wholesale bags | 2014.02.09 18:45

金貸しは、国家を相手に金を貸す | BRICs徹底分析〜ロシア編その1 小麦禁輸措置に垣間見えるロシア政府の姿勢

Comment



Comment